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俺の嫁は黒炎剣【なろう版】  作者: 木原ゆう
第二章 《疑と欺の狭間》
23/66

俺、騙されていた事を知りました。


『学園要塞:体育倉庫』


 目の前で腹を割かれて絶命する裸の同級生。


 体中に返り血を浴びながらも背筋が凍るほどの笑みを浮かべているレミィ。


 そして俺の『脳』に声が響き渡る。


「な、何だよ……これ……?」


「ふふ……」


 レミィが妖艶な笑みを俺に向ける。



 ……声が……聞こえる……?


『お前はこれを望んでいたのでは無いのか?』


 ……誰だ……?……望んでいた?俺が、これを……?


『今までお前が受けてきた仕打ちは何だ?生きる事に絶望し、疲れ果てたお前は何を望んだ?』


 ……俺が……望んだ事……?


『誰がお前を助けてくれた?誰がお前の味方に付いてくれた?誰がお前の苦しみを、痛みを分ってくれた?』


 ……それは……グロリアム、が……。


『あやつはお前を利用しているだけだと何故気付かない?お前の持つ《力》を欲しがっているだけだと言う事が何故分らない?……いや、何故「認めよう」としない?』


 ……あいつが……俺を……利用……?


『この学園を異世界へと転移させたのもあやつの仕業。お前の持つ《力》を利用するのもあやつの計画の為。もしや、あやつの「過去」に同情でもしているのか?何故その「過去」が真実だと思い込む?』


 ……全てが……全てが『まやかし』だとでも言うのか……あいつの『想い』も全部……?


『ならば何故あやつは先の未来を予測出来る?それらは全てあやつが企て、計画していた範疇だからであろう?ならば何故、この学園の危機を事前に察知出来なかったのだ?未だに助けに来ない理由は?』


 ……グロリアム……俺は……最初から……?


『真実はお前の目の前にあるだろう?お前は何を見た?何も出来ずに、ただ友人が犯され、殺されていくのを目の当たりにしただけだ。お前は非力だ。一人では何も出来ない、非力な、ただの人間だ。』


 ……俺は……どうして……まだ、生きているんだ……?


 ……どうして……あの時……あのまま死なせてくれなかったんだよ……。



「レミィ様。《魔女の目》が反応を」


「ふふ……。分っている。思っていたよりも早くに堕ちたな。ゼノン達がまだだが……頃合か」


 剣に付着した血を払い、レミィは押さえつけられている俺に近付く。


「な、に、を……?」


 再び俺の前に屈み込んだレミィは俺の左頬を軽く摩る。


「陛下。少々痛みますが、我慢を」


 言い終わるか終わらないかのタイミングで俺の左目に激痛が走る。


「ああ……あああああ!!!!!!」


 レミィの右の三本の指が俺の左目の眼球を捉える。


 まさか……!


ずりゅっ


「うわあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


ブチチチィ!


「あああああ……ああああああああああああああああ!!!!!!」


 何かが千切れる音。

 そして視界が半分、闇に消える。

 そして俺の右の目は。

 足元に転がる『それ』を発見する。


「ああ…///随分と良い声を上げるではありませんか……陛下ぁ……。わたくしも、ついつい感じてしまいましたわぁ……///」


 左目の部分から大量の出血。

 熱い。焼けるように熱い。

 意識が遠のく。

 何故、どうして、俺がこんな目に……。


「陛下?左目がもがれてしまって、さぞ苦しいでしょう。今から陛下に『新しい左目』をプレゼントして差し上げますわ」


 そう言いレミィは部下から、あの気持ち悪い《目》を箱から取り出し受け取る。

 明らかに人間の『目』では無いそれを、愛おしそうに優しく撫でるレミィ。

 そしてレミィの手の中で、まるで意思を持っているかのごとくクルクルと動く眼球。


「良かったですわね、陛下。これは我が王、アリアンロード様よりお預かりしている《暗黒の国》より手に入れた《宝具》で御座います。以前に頂いた『カンデンチ』のお返しの品だと思い、お受け取り下さいな」


 そう言いレミィは手にした目を口に含んだ。


「!?」


 そしてそのまま俺の左目の部分に口を当て、舌で口に含んだ『眼球』を押しやり、嵌め込む。

 そして再度、俺の左目の奥が激痛に見舞われる。


「ぐああ……!!ああああああああああああああああ!!!!!!」


 左目の奥で動いている感触がする。

 その度にちぎられた視神経の部分に激痛が走る。


「ぐわあああああああああああああああ!!!!!」


「ふふ……そうです、陛下…。もっと、もっと叫んで下さい…。陛下のその声に、私は感じてしまっておりますので……」


 俺が悶える姿を見ながら、自身の下腹部に手を伸ばすレミィ。


「レミィ様。ご自重下さい。只今『宝具』とこの男の《力》が同化を始めようとしております。必要以上の刺激を与えるのはどうかと」


「あら。隊長の行為に歯向かおうと言うのかしら?エリアス?」


「……いえ。決してそういうつもりでは」


「貴女も女の身で生まれたのであれば分るでしょう。自分よりも遥かに勝る《力》を持っている男を、こうやって自身の制御下に置ける『快感』を……」


「……」


「……んもう。相変わらず貴女は頭が固いわねぇ…。……いいわ。なら、後でまた『お相手』をしてもらうわよ?エリアス・アグネフィ副団長?」


「……はい」




 激しい痛みに苦しむ最中。


 視界の向こうには何人もの男に抱かれ、辱めを受け、壊れてしまった最後の一人の女学生の姿が。


 ここは……地獄か。


 俺は……こんなにも酷い地獄に連れて来られたのか……。


 信じて、信じていたのに……。



 グロリアム――――。


















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