Ep7 デート?のお誘い
ということで只今放課後の教室の中。
「何で稲葉ンもいるのよ。」
そう口に出したのは咲だ。
「何でってそりゃあ俺はウッチーの親友にして恋人にして保護者にして彼氏だからだ!」
そんなことを言うのは一人に決まっている。バカで変態で自称俺の彼氏で認めたくないが一応親友の稲葉俊だ。
「残念ながらあんたはお呼びじゃないのよ。」
「残念ながら俺はあきらめが悪いんだ。」
威張って言うことではないぞ・・・。でも今回は諦めてもらうとするか。
「ほら俊、恋人同士の想いは離れた場所にいる時に育まれるって言うし。」
恋人とは少しもも思ったことはないが。
俊は少し考える仕草をしてから、
「確かにそうだな・・・。わかった、今日は俺は帰るとするか。また今度は二人でな。」
そう言って俊は帰って行った。
「ウッチーもあいつの扱い方に慣れてきたようね・・・。」
「まあね。で、これからどうするの?」
「デートよ、デート。」
「はいはい。」
まあどうせいつもの冗談だろう。
やってきたのは喫茶店だった。咲と南もいる。
それぞれ飲み物を頼む。
「ということで次の日曜日行きたい場所ある?」
そう切り出してきたのは咲だ。
「ちょっと待って、オレ何も聞いてないけど?」
「だってあんたいつも稲葉ンと一緒にいるでしょ。あいつに聞かれるとついてきかねないでしょ。」
「まあ確かに・・・。でも日曜日空いてるなんて一言も言った覚えは・・・」
「空いて無いの?」
「・・・空いてます。」
「で、二人はどこか行きたい所はある?」
行きたい所と言われてもなぁ。
「私は特には・・・。」
そう答えたのは南だ。
「オレも同じくないかな。」
「なら映画館でも行く?ちょうどここにチケットが三枚あるし。」
そう言って咲は鞄からチケットを取り出した。
「あるなら最初から言えばいいのに。」
それはホラー映画だった。
「この映画怖いって評判なのよ。」
・・・俺はホラーはあまり好きではない。怖いというよりもグロいという点がね・・・。
「いや、女の子だけでホラー映画ってのも・・・。」
「そうだよ、もうちょっと女の子らしい映画に・・・。」
「何、ウッチー怖いの?」
「いや、怖いというか何というか・・・。それに南ちゃんだって反対してるし。」
そう言ったら咲は南に何かひそひそ話をはじめた。
「いいでしょ、南。」
「それなら・・・。」
南も賛成側に移ってしまったようだ。
「というわけで南もいいって言ってるし問題ないでしょ?」
これは断れない・・・。
「わかったよ。」
というわけで日曜日に映画に行くことになった。