Ep5 よくあるネタ
「なあ・・・。」
おれは俊にそう話しかけた。
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「そういや私は女の子で女子トイレに行かなくちゃなんだよね・・・。今まで外でトイレ行くことなかったから問題なかったんだけどつい男子トイレに入っちゃった・・・。」
「なんだ、そんなことか。」
「そんなことはとはなんだ!人がいて凄く恥ずかしかったんだから・・・。」
思い出すだけで耐えきれない思いに包まれる。
「別に少し間違えるくらい問題ないだろ。」
俺は首を横に振る。
「少しじゃないってどれくらいだよ。」
「あの・・・小便器の前に立つまで・・・。」
「お前って少し抜けてる部分があるよな・・・。それが可愛いんだが。」
「可愛いで済む問題じゃないよぉ・・・。」
「大丈夫、お嫁に行けなくなっても俺が貰ってやるから。」
俺は俊を睨みつけた。
「その目がまた・・・ゲフン。でもそんなに気にすることでもないと思うが?」
「俊は女子トイレに入っても恥ずかしくないのか?」
「それは社会的にまずい気もするが・・・でもお前は元々男だったんだし今までに数えきれないほど入ったことがあるんだから問題はないだろ。」
「そう?」
「そうだって。それなら俺と一緒に入るか?」
「は・・・?」
「いや、気にするな。」
なんか俊のバカらしさを見てたらどうでもよくなってきた気がした。
「ほんと、俊も変わったよな。前からそんなバカだったっけ?」
「バカって何だよバカって。人が折角励ましてあげようとしてるのに。まあバカと言われるのも・・・。」
「バカ。それも大バカ。・・・でもありがとう。」
「え?最後聞こえなかったからもっと大きな声で言ってくれない?」
そう言う俊の顔はニヤニヤしている。
「バカ、アホ、クズ。」
こう言ったら余計にニヤニヤしやがった。
俊のこのポジティブさを見習いたいよ。