Ep17 同性だと恋人の家に行っても後ろめたくない気がする
只今昼休み。
「海斗君、今日空いてる?」
南からそんな風に聞かれた。
「フリーだよ。」
「ならうちに遊びにこない?」
「もちろん行く!」
「ちょっと待ったー!」
俊が割り込んできた。
「俺の家に来てゲームしないか?」
「悪い、今日は予定があるんだ。」
「さっきフリーって言ってなかったか?」
「いや、数十秒前に予定が出来たんだ。」
「そうか、予定があるなら仕方がないな。」
あれ、俊のわりにやけにあっさり引いたな・・・。まあいいか。
「でも南ちゃん家かー。楽しみだなー。」
「喜んでもらえるといいんだけど。」
「何かあるの?」
「内緒。」
何だろ、楽しみだな。
放課後なう。
「海斗君、一緒に帰ろ。」
「そういえば南ちゃん家ってどこらへんにあるの?」
「学校まで歩いて10分くらいの場所なの。」
「結構近いんだ。」
「海斗君は?」
「隣駅だよ。電車時々自転車通学。今日は自転車だけど。自転車おいておける場所はあるかな?」
「うん、あるよ。」
「なら自転車取ってくるから少し待ってて。」
「私も一緒に行くよ。」
「あ、うん、そうだね。」
何で取ってくるって発想になったんだろう?
「せんぱーい!」
不意にそんな声が聞こえた。つい最近聞いたことがある声だ。
「結衣ちゃんじゃない。」
「あっ、休み時間の時の子だ。」
「えっと・・・。」
結衣は南の方を見て誰って顔をしている。
「初めまして、この人の恋人の福井南です。」
「ふぇ?えっ、でも、あの、女性同士です・・・よね?あれ?」
結衣は戸惑っている。
「恋は性別を超えるってね。」
「そんなものなんですか・・・?」
「まあそういう人もいるんだよ。それで、何か用事でもあった?」
「いえ、先輩を見かけたので声をかけておこうと思っただけです。」
「あ、そうなのね。」
律儀だなぁ。
「そうそう、俊のことだけど、気にしなくていいみたいだよ。」
「え・・・?どういうことですか?」
「本人は結衣ちゃんのこと大切に思っているみたいだったから。」
「そうなんですか!?」
そう言った結衣の目は輝いていた」。
「ただ結衣ちゃんのことを妹として見てるっていうのがあれなんだけど・・・。」
「それでもいいんです。良かった・・・。」
何だか喜んでいるようだ。
「そういうことだから。それじゃあ私たちはそろそろ行くね。」
「先輩、ありがとうございました!」
「またね、結衣ちゃん。」
「それでは失礼します!」
そう言って結衣は去って行った。
「結衣ちゃんって素直でいい子ね。」
「何であの子が俊なんかを慕ってるんだろうって思っちゃうよ。まあ俊も悪い奴じゃないけどさ。それじゃあ行こうか。」
ということで南の家へと向かう。