Ep15 後輩
朝、普段通りに登校し、普段通りに・・・
「ウッチーってあなたのことですよね。」
そこには知らない女子がいた。制服的に一年か。
「えっと、どちら様でしょう?」
「そんなことよりちょっとこっちに来てくれません?」
「そんなことって、ちょっと!」
無理やり校舎裏に引っ張られる。まああまり抗う気もなかったけど。
「あの、私に何か用なの?」
「あなたと俊兄ってどんな関係な訳!?」
凄い剣幕で聞いてきた。『しゅんにい』って俊のこと?
俺は昨日の俊のラブレターを思い出した。
そんなことを聞いてくるってことは・・・えっと・・・うーんと・・・。
「もしかして、りんちゃん?」
「結衣です!」
何故りんちゃんって言ってしまったんだろう・・・。二文字なのは覚えていたからそのせいか・・・。
「そんなことより早く私の質問に答えて下さい!」
「いや、俊とはただの友達だけど・・・俊と何かあった?」
そう聞いたらうつむいて何も喋らなくなってしまった。
「ど、どうしたの?」
そう聞いても何も喋らないどころか水滴がぽろぽろと落ちている。
わかった、何となく察した。
「結衣ちゃんは俊のこと好きなの?」
「あなたに気軽に結衣なんて呼ばれたくない!」
これは知らない間にずいぶんと嫌われちゃってるなぁ・・・。
「あのね、確かに俊は絶賛オレ・・・私に片思い中なんだけど、私はそれを振ってるんだよね。まああいつは懲りずに片思いを続けているんだけど。」
そう言うと彼女は顔を上げた。目には涙が浮かんでいる。
「昨日あなたと俊との間で何があったかは知らないけど、もしあなたがまだ俊のこと好きなら私は応援する。」
「本当に?」
そう彼女は聞いてきた。
「モチのロンだって。私を信じなさい。」
彼女は黙ってこっちを見ている。ただその目に敵意はほとんどない。
「で、あなたは俊のことどう思っているの?」
「・・・好き、大好き!」
「なら諦めちゃだめでしょ。何度振られたって諦めない男と付き合いたいなら、何度振られたって自分の気持ちを伝え続けなきゃ!」
「・・・そうですよね!内田先輩、ありがとうございます!そしてすみませんでした。お恥ずかしい所をみせてしまって・・・。」
可愛い後輩じゃないか。
「別にいいよ、気にしてないから。まああいつを振り向かせるのは大変だと思うけどファイトだよファイト!何かあれば私を頼ってもいいからね。」
「はい!」