Ep14 手紙
朝、普段通りに登校し、普段通りに教室へ向かい、普段通りに席に着いた。
これだけ普段通りを強調するということは当然普段通りではないことが起きるというわけなのだが・・・
それは俺ではない。
俊も教室に入ってきた。しかしその顔はいつもとは違った。
「俊、何かあったの?」
「・・・これを見てくれ。」
そういって手渡されたのは手紙だった。俊に似合わない可愛らしいものだ。
「オレがこれを読んでいいの?」
「あぁ。」
そういうのなら遠慮なく読ませてもらおう。
『稲葉俊君へ
今日の放課後、あの公園で待ってます。
広瀬結衣』
書かれていたのはそれだけだった。
「これで俊にも彼女、か・・・。」
「他に言うことはないのか?」
「他に?・・・この広瀬結衣さんって誰か知っているの?少なくとも同級生にはいないよね。」
「知り合いだけど、そうじゃなくてさ・・・。」
「そうじゃなくて何なのさ。あっ、あの公園ってどこなのか、とか?」
「ウッチー・・・、」
・・・何なんだろ?
「・・・何で嫉妬してくれないんだよ!」
「お前に惚れてないからな。」
「あの時のことは遊びだったって言うのか・・・?」
「友達同士の遊びだな。」
「うぅ、ウッチーが冷たい・・・。」
「で、広瀬さんどうなの?可愛いの?」
「可愛い・・・のかなぁ。」
「のかなぁ、ってどういうこと?」
「結衣は妹みたいな感じにしか思ってなかったからなぁ。」
「俊って確か一人っ子だったよね。」
「結衣は一つ年下の幼馴染なんだよ。今年からこの学校に通っているのは知っていたんだが、まさかこんな手紙をもらうことになるとはな。」
「で、返事はどうするとか決めてるの?」
「・・・いいや、まだ。」
「まあ受け入れるにしても断るにしてもきちんと考えて結論だしてあげてよね。相手も女の子なんだから。」
でもこの俊の様子だと・・・。