Ep13 昼休み
授業が終わるチャイムが鳴った。これから昼休みの時間だ。
「南ちゃん、一緒に食べよ!」
ということで南のところに行く。咲も一緒だ。
「いやー、二人がくっついてくれてお姉さん嬉しいよ。」
「オレは嬉しくない。」
「何で俊がいるんだ?」
「それが昨日まで一緒に食べていた奴に言うセリフか?」
「・・・確かにそうか、悪い。」
そうだよな、急に友達が離れたら嫌だもんな。南と恋敵ではあるが。
「そういうウッチーの優しさがまたいいんだよな。」
「そうなんですよね。」
そう言ったのは南だ。二人は恋敵じゃなかったっけ?
「でも海斗君が許したのは友達としてだからであって好きな人だからってわけじゃないのをわかっていて下さいね。」
「南も言うようになったねー。やっぱ二人でデートさせて正解だったね。」
咲はそう言った。
「なっ、デート・・・だと?おい、いつ行ったんだよ、ウッチー?」
こんな反応するのは俊に決まっている。でも・・・
「デート『させた』ってどういうこと・・・?」
「気にしたら負けだよ、ウッチー。」
風邪じゃなかったのか。実は咲におみやげ買って渡したのだが、そんな気配り必要なかった・・・。
「おい山田、デートさせたってどういうことだよ。」
そう聞いたのは俊だ。
「私が風邪を引いたってことよ。」
「まさか三人で遊びに行く約束をして、でもって二人にさせるためにわざと風邪を引くという自己犠牲の技か・・・?」
俺はツッコまないぞ。
「そうだったの、咲ちゃん?」
あれ、南ちゃん?冗談だよね?
「知られたくなかったんだけどね・・・。」
「そんな事実ないからね。」
一応ツッコんどいてやる。
「エ、ナンノコト?」
わかりやすい棒読みだ。
「よしウッチー、それじゃあ今度の日曜は俺とデートしよう!」
「却下。」
「即答ってどうよ。」
「恋人いるのに他の好きでもない奴とデートするのってどうよ。」
「残念でしたね、稲葉君。」
そういう南はなんだか嬉しそうだ。
「そんな南を見ているウッチーも嬉しそうだがな。」
「オレの心を読まれた!?」
「ウッチーはすぐ顔に出るからわかりやすいね-。こりゃ浮気とかできなさそうだね。」
咲にそう言われた。俺そんなに顔に出してるのか・・・。
「そんな正直な所がまたいいんですよ!」
そう南は言ってくれた。
「そうなんだよな。」
俊もそれに同意する。恋敵って好きな人のことで気が合う仲のことだったっけ?
「モテまくりだねぇ。」
咲がそんなことを言ってくるが気にしない。
「冷静を装ってるようだけど顔赤いわよ~。」
・・・顔に出さないよう練習しないとな。