~先輩~
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キーンコーン…
チャイムが鳴り響く
その音と共に、生徒たちがちらほらと帰っていく
また部活へと足を運ぶ者、教室に待機する者と様々だ
「それじゃあ私は図書委員に行ってくるね」
「じゃ、アタシも…」
「私も部活見学行くね
桜はどうするの?」
「私は帰るよ」
そう言って私はバックを持って廊下へ出た
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「みんな部活決め始めてるのかぁ…」
(私はどうしよう…)
私はみんなみたいに自分に合う部活もないし
私は校門へと足を進める
すると…
ダム、ダム…
ボールの跳ねる音
隣の体育館の開いたドアから音が鳴り響く
「あ…」
見えた
「はぁ、はぁ、はぁ!!!」
男の人…茶色い髪の男の人がボールを軽快についている
体育館にはその人1人だけ
何度も何度もボールをドリブルしてから、ゴールへとシュートする
その軽やかさに私は目が離せなかった
ツルッ
「ヤベッ!」
ゴッ!!!
「あたっ!!??」
男の人がボールを滑らせ、私の顔面にクリンヒット
「ふ、ふにゅら…」
ダメだ…クラクラする…
私はその場に倒れてしまった
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───────……………
「ぶ…だい…」
声…誰だろう…??
「ん…?」
「あ、気が付いた!! 大丈夫!!??」
「あ、は……!!??」
私の目の前にはあの人がいた
「ごめん、大丈夫!!??」
「は、はい!!
…練習、してたんですよね…?
中断させてごめんなさい…」
「あはは、いいって
ちょうど休憩しようと思ってたところだから
それよりも…顔…」
その人は私の頬に触れる
「///!!!」
「顔…傷はないけど…痛かったよね」
「だだ、大丈夫です」
暖かな手
「あ、あぁあの!!!」
「ん?」
「ば、バスケ上手なんですね!!!」
「あはは、ありがとう
けど…俺なんてまだまだ…三年にもなってまだレギュラーにもなれてないんだし」
「で、でも…私は先輩のバスケとても好きです!!!」
「…へ?」
「あ…」
(わ、私何を言って…!!??)
「…あはははっ!!」
(わ、笑われた…///)
「ありがとう…良かったら練習してるとこ見る?」
「え!? い、いいんですか!!??」
「うん、いいよ」
そう言って先輩は立ち上がって練習を始めた
軽やかに動く身体に、それについていくボール
キレイだった
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~翌日~
「はぅ…」
翌朝、私はぼうっと浮かれていた
昨日は先輩…立花修二先輩の練習を見て、家まで送ってもらっちゃった!!
「桜!!」
「は、はい!!??
あ、ゆ、ゆうきちゃん…」
「どうしたの? ボーッとして…ほら、次教室移動」
「あ、う、うん」
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「…でさ、この間…」
「あ…」
渡り廊下、少し先には修二先輩の姿
「あ、桜ちゃん」
「こ、ここ…こんにちは!!!」
「こんにちは
次教室移動? 化学室かな?」
「は、はい」
「俺たちさっき化学室使ってたんだけど…臭いよ~
気をつけね」
「く、臭い…?」
ぽんっ
修二先輩の手が私の頭に乗る
「うん、スゴく」
「////」
じゃあね、と言って修二先輩は去っていった
(あ、あた…頭…撫でられた///)
「桜~…あんたいつの間にあんなかっこいい人と知り合ったの~?」
「ゆゆ、ゆうきちゃん///」
ゆうきちゃんがニヤニヤしながら聞いてくる
「あんたの彼氏?」
「ちち、違うよ///!!??」
「じゃあ片想い?」
「片…///!!??」
片想い…
私、修二先輩のこと…
*********
「はぁ、はぁ…!!!」
昼休み
私は体育館を覗く
ダム、ダム
(やっぱりキレイ…)
そこには昨日と同じようにドリブルする修二先輩
「はぁ、はぁ……ん?あ、桜ちゃん」
「あ、こ、こんにちは…」
「ははっ、こんにちは
見てたの?」
「は、はい!」
「よく練習してるって分かったね」
「昨日のお昼も…修二先輩が練習しているの見てたから」
「そっか」
修二先輩は私の元へ近づき、隣へ座る
「ちょっと休憩~」
ふぅ…と息を吐く
「…ほわぁ」
私はふとボールを手にする
「案外重たいんですね…」
「慣れちゃえばそうでもないよ」
私は立ち上がって修二先輩みたいにドリブルをしてみるが、思うようにいかない
「わわっ!!
…やっぱり難しいです~」
「シュートは?」
修二先輩に促されるまま、私はシュートを決めてみる
が、
ガコッ
「ありゃ」
入らない
「むむ…」
ガコッ…ガコッ…ガコッ…
鳴り響くのは外れた音
「は、入らない…」
「こうやるんだよ」
修二先輩が私の後ろへ回り、手を添える
「/////!!!???」
「そうそう、こうやって手は添えるだけ」
バク、バク、バク…
心臓が早い
「ほら、打つよ…せーの…」
パシュッ…
「あ…///!!!!」
入った
キレイな高を描いて、ボールは吸い込まれるようにゴールへ
「わぁ!! すごい!! すごいすごいです!!」
「こんなに喜んでもらえるなんて」
「あはははっ!!!」
修二先輩
どうやら私はあなたのことが好きみたいです。
「修二先輩っ」