act.14 一見男前の中身純情娘の出来た理由
「なんだよ」
むすっとした同級生はそう言って僕を見下した。
これは僕が小学校3年の時の記憶。深葉をちらちらとよく見ていた同級生を呼びたした時のことだ。
「また虐められたいのか」
そう僕はこの同級生に虐められていた。と言っても表面上だけのことであって大した虐めではなかった。
その頃には僕はもう年の割には強かな子供だったから、ひどくはならなかった。あくまで虐められることは深葉の意識を僕に留めるための手段。
だけど、まさか逆をやられるとは思わなかったのだ。
「おい、聞いてんのかよ」
この同級生は僕をからかい虐めることで必ず止めに入ってくる深葉のほうが大事だったのだ。子供らしい茶番劇。
彼女の気を引きたいがためには彼女自身を虐めるより、僕を虐めたほうが効果的だと思ったのだろう。
まったくもって嫌気がさす。
「おい、無視するな!」
胸ぐらを掴まれて、思考が冷めた。だからわざとにっこりと笑ってみせた。相手はぎょっとしたようだった。それもそうだ。いつも泣いて、女の子に助けられるような奴がこんな状況で笑うはずがないと思っているんだから。
だから、追い打ちをかけるように言ってやった。
「ねぇ、深葉ちゃんが好きなの?」
「なっ」
案の定、顔を赤くした彼に僕は一層微笑んだ。それに怯んだ彼が滑稽で、笑みが深くなる。
「でも、君にはあげないからね」
そこからは、まぁ想像にお任せする。
後日談を語るとすればもう僕は彼に二度と虐められなかった。僕としては多少、虐めてくれたほうが深葉に泣きつく理由になるから残念だったのは言うまでもない。
そうやって、今まで器用に深葉から男を遠ざけてきたのに、
「こいつと付き合うのは俺だ」
……とりあえずは宮嶋くんとお話しなくちゃ、ね?
そろそろタイトル詐欺にならないか不安。
この子、可愛いの、か?