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女王様とお呼びっ!  作者: 庭野はな
後宮と獅子編
65/88

[65] 剣の下で

暴力的なシーンを含んでいます。引き続き苦手な方はご注意を。

いつの間にか、エリス夫人に叩き込まれた王への言葉遣いなんてふっとんでる。

そのくらい、この部屋に連れ込まれた時から私の中では余裕がなかった。

そして今は更に追いつめられていた。

がっちりと足首を掴まれて、王の手元に引き寄せられる。

どうにか逃れようと足をばたつかせると手が離れ、体勢を立て直そうとマットレスに手をついた所でガウンを掴まれ、無理矢理それを脱がされる。

露になった腕に冷たい寝室の空気を感じ、鳥肌が立った。

私は手元の枕を王にぶつけヒステリックに叫ぶ。


「嫌だって言ってるでしょ、この変態!」


私って馬鹿だ。

つい本音が出てしまった。

今、私の前で嫌な顔で笑っている。

喜ばせてしまった。


「ふむ、たまにはそういうあばずれの調教も良いだろう。息子の為に従順で王にかしずく女にするのも一興」


だめだ、感情的に叫んだら煽るだけ。

落ち着け、落ち着け私。


「誰がかしずくものですか」


私は深呼吸をすると、顔をあげた。

そして膝立ちになるとあえて王の目の前ににじり寄った。

そして彼の胸ぐらをつかむ。


「ただ嬲るだけなら今まで散々やってきたでしょ、いつも馬鹿の一つ覚えじゃ器の小ささが知れるわよ。ああ、あそこの小ささかしら」


途端、私はベッドの上に叩き付けられた。

王は先ほどの余裕がなくなり、顔を赤く染め、目をむいている。

なに、何か地雷を踏んだ?

私は内心慌てた。

それでも、彼に動揺を与えたことで良しとする。


「それでどうするの。押さえつけて、殴って、噛み付いて、首をしめて、懇願させるの?王よお慈悲をくださいませって?」


私は嗤った。

うまく口の端を持ち上げられたかはわからなかったけど。


「小賢しい。余は王ぞ、王を愚弄すると命がないことだというのが分からぬか」


王はベッドを離れたかと思うと側に置いていた剣を取り抜いて柄を投げた。

そして思いがけない身軽さでベッドに飛び乗ると倒れ込んだままの私に剣をつきつける。

恐怖よりも私はジャックにされた時のことと重なり気分が悪くなった。


「はっ、結局口ばかりか。そういえば剣のない世界から来たといっておったのう。剣で嬲られるのは慣れておるまい」


そう言うと、王はうつぶせになった私のネグリジェのうなじの下に剣をあてる。

ひやりとした感触に私は息を飲む。

そしてそれは、一気に引き下ろされた。

私は何が起こったかわからず言葉もでず固まっていた。

縫い目をやすやすと越え、裾まで一気に裂かれ布切れとなったそれは、背中から開かれ、そのまま王の力で易々と剥ぎ取られる。


「どうだ、よく切れるであろう」


「切れ味じゃなくて馬鹿力だけでしょう」


「人の首を刎ねる時は叩っ切るがな。切れ味もなかなかのものぞ」


「私の世界ではね、刃物は人に向けちゃいけませんと子どもの頃に叩き込まれるのよ。だからこういうのは生理的に受け付けないの」


「はははははっ、どこまでお前のいた世界は平和だったのだ。剣がないと言ってはいたが、そこまで民が爪を折られていれば国がひっくりかえる心配もないのだな。だがな、ユカ、ここはお前のいた世界とは違う」


剣が、私の胸のふくらみに押し付けられる


「ここは剣を持ち、力のあるものが全てを得る世界ぞ。お前の世迷い言は通用せん。さあ、次期王妃よ、お前は知らねばならん。王がどういうものか、王妃は王にかしずく存在ということをな。ほう、これか、切られた傷というのは。まだ少し肉が盛りあがっているがこれならすぐに消えるだろう。なあ」


「ひっ」


ふいに王の肉厚な舌が私の傷跡を舐めあげ、不快な感触に思わず声をあげてしまった。


「いい声を出せるじゃないか」


再び同じ場所に舌を感じ、身体を振るわせながらも声を押し殺す。


「つまらん、余の命令だ。声を出せ」


私は髪の毛をつかまれ後に引っ張られ、再び喉に剣が突きつけられる。

痛みと共に顎があがって口が開き、かはっと喉の奥が鳴る。


「まさしく漆黒、そして艶やかで真っ直ぐ、美しい髪だ。うむ、匂いもいい」


私の間近に王の顔があった。

掴んだ黒髪を自分の顔に押し付けている。

風呂上がりに、ナナが丁重に気持をこめて梳いてくれてたのに。

髪フェチめ。

私は涙目で睨みつけると、胸に痛みが走った。

剣を持っていたはずの手が、握りつぶすように私のふくらみを掴んでいた。


「ほう、こっちもなかなかいい実り方だ。欲を言えば、もっと慎ましいほうがいいがの」


「そういうのを、私の国では貧乳好きっていうのよ」


「まだそんな口をきくか。これは長く楽しめそうだな」


王は若い頃は筋骨隆々だったのだろう。未だその名残があり更に脂の乗った厚い身体を私の上に覆い被せてきた。

私の手足が繰り出す必死の抵抗は、蚊の一撃にもならない。

散乱する衣類の中で、ガウンの帯を探り当てた王は私の手を頭の上で縛った。


「夜は長い。あまり暴れると体力を消耗して最後までもたんからな」

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