予備(スペア)の本領発揮
「アンディ!!!」
「兄上」
2人がアンドリュー殿下に駆け寄る。
「心配をかけたな2人とも」
エリックさん。。じゃなくてエリカさんは、殿下にしがみついて大泣きしている。
ニコラス殿下も目が潤んでる。
そして私の方にやってきた。
「エリカも呪いにかかって、あの日から男になっていたんだ。そりゃ、魔女を倒したのはエリカだからな。呪われないはずがない」
それもそうね。。呪い!ニコラス殿下の呪いは解けたの??
「ニコラス殿下、ニコラス殿下はりんご食べましたか?早く呪いを解かないと」
「いや、あのりんごは全て2人に渡すつもりだったんだ。俺はこのままでも良い。誰かさんは、子供の俺の方が好きみたいだからな」
。。。ブレンダさん裏切ったわね。
「それに夜は大人になるんだから、結婚しても大丈夫だな?」
「何が大丈夫なんですかね。。。あ、やっぱり言わなくて良いです」
「リナはなんであのりんごを潰した物を持ってたんだ?」
「あ、昼間に箱を片付けたトムさん達が、私が前日に仕込んでおいたリンゴが凍ってて美味しかったって言ってたんです。1日経ってもまだ氷がかなり残ってったらしくて。我ながらすごい保冷箱作っちゃいました。それに気がついた時は殿下達はもう出発した後で。氷のりんごが固くて切れないといけないので、あれを用意しておいたんです」
マッシュポテトが食べたくて作って貰ったのに、こんな所で役に立つとは。
そうこうしているうちに、国王陛下が馬車で戻られたようだ。
「アンドリュー!!よく目覚めてくれた。エリカも戻ったんだな」国王陛下の声は震えている。
「ニコラス、お前の呪いも解けたのか?」
「いえ、リンゴが1つしか残らず」
「そんな、2個もダメになってしまったのか、すまない。きちんと入れたつもりだったんだが」
「2個?ダメになったのは1個ですよ」
「ん?私はちゃんと3個のりんごを入れたぞ、お前達の呪いを解くのに1人1個ずついるかと思って」
私は保冷箱に駆け寄った。もう1枚布があったが、何かが包まれているとは思ってなかった。
布の下の缶を取り出すと、やや解凍し始めたりんごが入っていた。
「良かった、これでニコラス殿下の呪いも解けますね」
私はそれをハンドプレスで潰し、シャーベット状になったりんごをスプーンで掬って、ニコラス殿下の口元に運ぶ。
しかし、殿下は顔を背けてしまう。
「ニコラス殿下、私は子供の殿下も好きですが、大人の殿下の方がもっと好きですから、呪いを解きましょう」
「俺もエリカが兄上にしたみたいにしてもらいたい」
。。。こんなギャラリーがいる中でそれをしろと。
「あーりんごが溶けてなくなっちゃうぞ」
ニコラス殿下はニヤニヤしてる。
「リナ様、私達は後ろを向いてますので」
「弟がすまないな」
「愚息が申し訳ない」
なんの罰ゲームこれ?
私がりんごを口に入れた瞬間。ニコラス殿下から私の顎を掴んで強引に食べにきた。
「スプーンで食べるより断然に美味いな」
絶対に同じだと思う。
すると、ニコラス殿下の髪の毛の色が徐々に黒から金髪になった。
「え??髪の毛の色が」
「ああ、俺は兄上と同じ髪の色だ。呪いで黒くなってたが」
「えーーーー私、黒髪の方が好きだったのに」
「。。。。子供の姿が好きだったり、黒髪が好きだったり、やっぱり呪いを解かない方が良かったのか?」
「あのーーー、私達、そろそろそちらを向いても良いでしょうか?」とエリカさんが俯きながら聞いてきた。
「は!!はい、すみません、私はこちらで失礼します!!!!」
「どこ行くんだ、リナ」とニコラス殿下に抱き込まれた。
「父上、と言うわけで俺はリナと結婚する、王子と旅人なら身分も大丈夫だろう。だから、もし兄上が王位を継がずにエリカと結婚したいならそうすれば良い。俺だけでは力不足でもリナがいてくれる」
「ニコラス、お前は俺たちの事を知っていたんだな、だからあんなに必死に俺の代わりになろうと思ってたのか?」
「兄上にも、幼馴染のエリカにも俺は幸せになって欲しかったんだ。兄上はどんな縁談も断るし、エリカは兄上のそばにいたいって護衛騎士になるし」
エリカさん、好きな人の為に騎士にまでなったのかすごいな。
「ニコラス、エリカはアンドリューの為にここまで尽くしてくれたんだ、もし2人が結婚したいなら、もう私に異存はない。爵位が必要なら私が授ければ良いだけの事だ」
その言葉を聞いて、アンドリュー殿下とエリカさんはしっかりと手を握った2人とも凄く幸せそうだった。
「兄上、寝ている間は意識はあったのか?」
「ああ、全部聞こえてたし、視覚以外の感覚はあったぞ。エリカの声が野太くなって、手がデカくなってたから混乱したが、そうか男になってたのか。どんな姿だったか見たかったな」
「あ!写真ありますよ」
「「「「写真??」」」」
「このスマホで撮れるんです。もう充電ができないので、長くは見られませんが」
私はエリックさんと子供のニコラス殿下の写真を見せた。
「おお、これはすごいな。生きているようだ。エリカ、かっこいいぞ。ニコラスは随分可愛らしいな。これを絵師に見せて、絵に描いてもらうのはどうだ??」
「是非!!ならこちらもお願いしたいです」
私は子供のニコラス殿下が寝ている時の写真も激写していた。
「お前、いつのまに!」
それから3ヶ月が過ぎた。
結局、アンドリュー殿下を救ったエリカさんが王太子妃になる事を反対する人は誰もいなかったので、エリカさんは護衛騎士の仕事はやめて、今は妃教育を受けている。
私とニコラス様がお茶をしていると、エリカ様が部屋に飛び込んできた。
「リナ様、助けてください」
「また逃げ出してきたんですか、エリカ様」
「騎士の鍛錬より、こっちの方がきついです。コルセットとか拷問道具ですよあれ」
「大丈夫です。今、お針子さんと共同開発で私の国の下着を作ってます。苦しくないのに形を綺麗に整えてくれるんです」
ニコラス様がニヤニヤしながら、
「それに片手でも外せるしな」
何言ってんだ、このスケベ王子。
エリックさんが前にニコラス殿下は女性に免疫がないとか言ってなかったけ?
するとドアが開いて、アンドリュー殿下が入ってきた。
「それは良い事を聞いた。出来たら結婚祝いに1番に作って貰わないとな、エリカ」
「ぎゃあ、見つかった」
「今日はドレスを着て、私とダンスの練習だろ。迎えにきたよ」
エリカさんは有無を言わせない笑顔の殿下に捕まる。
「あ、リナ嬢。絵師からあの絵ができたのでどこの部屋に持って行ったら良いかと言う連絡があった。どうする?」
「寝室一択です」
「ちょっと待て、どの絵だ」とニコラス様が引き攣った顔をしている。
「。。。。。ちびっ子殿下が寝てるやつ」
「却下!!!!」
「えーーあの顔を見て眠りにつきたいんです」
「俺の顔見て寝れば良いだろう!」
「もう私のスマホ、充電なくて写真が見られないんですよ」
ギャーギャー私達は騒いでると、ブレンダさんがアップルパイと紅茶のおかわりを持ってきた。
「またですか2人とも、アンドリュー殿下、エリカ様もアップルパイはいかがですか?」
「そうだな。ダンスという気分でもなくなったし、私もアップルパイは大好きだ」
「あの2人の分も食べちゃいましょう」
今では王宮の食事もかなり改善されて、私は食事係からニコラス様の婚約者兼補佐官になった。
ニコラス様はアンドリュー殿下が王位を継ぐ時に宰相になる事が決まっている。
私達は私が持っている知識でこの国を豊かにしていこうと誓い合った。
でも私には早急にしなくてはいけない事がある。
専門外だけど。。絶対にスマホを充電できるようにして、あの写真たちを取り戻すわ。
エンジニアの転生者とか来てくれないかな?
2025年の最後のお話になりました。
また来年も宜しくお願いします。




