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テコの原理で呪いを解く

ほんの一瞬だけ、人命救助の為に男性が男性にキスをするシーンがあります。苦手な方はご了承ください。

次の日の朝、また子供になったニコラス殿下に起こされた。

寝ぼけてたので、ぎゅっと抱きつかれても抵抗しなかった。

「殿下。。まだ日が明けたばかりですよ。今日は体力温存しないと。。。ていうかなんでまた抱きついてるんですか!!!!」


「ごめんリナ、また失敗するのが怖くて寝れなくて。流石に大人の姿で女性の部屋に来るのはと思って、日が明けるまで待っていたんだ」


中身は大人だから今でも十分問題な気がするが。気持ちはわかるので、黙ってくっついてくる殿下を抱きしめながら、頭を撫でていたら寝てしまった。


寝落ちした殿下がむっちゃ可愛い。


子供って体温が高いのねと思っていたら、私も二度寝してしまい。


もうお昼に近くなった頃、すごく微妙な顔をしたエリックさんとブレンダさんに起こされた。


「殿下。。寝室だけではなく、ベットに潜り込むなんて」と殿下をまた引きずって部屋を出て行った。


私はブレンダさんを見て

「つい殿下が本当は成人男性って事忘れちゃうんですよね」というと、


「殿下はリナさんの前では、子供っぽい仕草しますからね。でも騙されてはいけません。中身は23歳成人男性です!」


「殿下、ずっとあのままでいてくれないかな」


「リナ様、それはいくらなんでもちょっと殿下が可哀想です」


すっかり寝坊してしまったので、遅めの朝食兼昼食を作っていると、昨日の職人さんがキッチンにやって来た。


「お嬢ちゃんできたぞ。これであってるか??」


私がマッシュポテトや果物を潰してジュースにする時に使うハンドプレスだ。生のりんごなどは、手では潰す事はできないが、テコの原理を使ったこれなら私でもジュースにできる。もちろん、大きなリンゴは切らないとダメだけど。


「ええ、この端の繋がっている所に支点があり、動かす所(力点)が離れている第二のテコの原理を使っているので。小さな力で大きな力を生み出すことができるんです。だから押す部分をちょっと長くしてもらったんですよ。まあ長すぎるとキッチンでは使いにくいので、これが限界ですが」


「よくわかんなけど、この形がいいんだな!」


私はりんごを数個潰して、職人さんにリンゴジュースを作ってあげた。


「こりゃ美味いな。俺も家内の為に作ろうかな」


「これで茹でたジャガイモを潰しても美味しくなりますよ、ミルクを混ぜるともっと食べやすくなります」


「ジャガイモって、あの硬いのか?たまに焼いてくれるが、硬くて食えないからあんまり好きじゃないんだよ」


。。。どんだけ焼いてるんだ?


私はジャガイモを茹でて、熱いうちにハンドプレスで潰し、バターとミルク、塩を混ぜたマッシュポテトを作った。


職人さんもシェフ達もこんなもの食べた事がないって大喜びだ。


私は折角マッシュポテトを作ったので、挽肉と野菜を炒めマッシュポテトを上に乗せて焼いたシェパードパイをニコラス殿下の朝食兼昼食に作った。今日はいっぱい食べて、体力をつけてもらわないと。


ニコラス殿下の部屋に食事を持って行くと、殿下とエリックさんが今夜の予定について話し合っていた。


北の山へは国王陛下、陛下の護衛、ニコラス殿下、エリックさんで馬車で行く。


山の麓まで着いたら、エリックさんは先に王宮に戻り、アンドリュー殿下の部屋のバルコニーで私と待機。


国王陛下が護衛と山に登り、氷のりんごを収穫し、りんごを保管した保冷箱をニコラス殿下に託し、早馬で王宮まで帰ってくるという計画だ。


ニコラス殿下の体調を考えて。国王陛下も参加する事になったらしい。


「だったら、ニコラス殿下はここにいて、エリックさんが早馬で帰ってくれば、いいのでは?」


「それが出来れば良いのですが、この国で殿下より速く馬に乗れる人はいないのです」


「あら、ニコラス殿下が1番の事があるじゃないですか」


「そうなんです、殿下は自己評価が低すぎるんですよ。だから女性にもモテないって思ってるし」


「え?殿下の部屋に鏡ありますよね。目が悪いとか」


「おい、お前ら、俺はここにいるの忘れてるのか?」


殿下を揶揄うのはちょっと楽しいな。


「あ、食べ終わったら。昨日、アンドリュー殿下の部屋に置いておいた箱の中をチェックしたいんですが」


「え?あれは何かを調べていたんですか?さっきここにくる前に、キッチンに持って行って、今夜に備えて中身を空にして置くように言ってしまいました」


「あ、すみません。言ってなかったですね。まあ昨日のうちに氷がどれぐらい溶けるか2時間後にチェックしする予定だったんですが、すっかり忘れてました。大丈夫です、ありがとうございます」


箱と一緒に持って行く塩、缶も全て多めに入れた。滑車も滑りやすいように油を塗ってと、最終チェックをする。そしてキッチンで馬車の中で食べられるサンドイッチを作った。サンドイッチができた時にはニコラス殿下達が出発する時間で、もう外は暗くなっていた。


大人に戻ったニコラス殿下は緊張した顔で、馬車の前に立っていた。


私は今キッチンで作っていたサンドイッチを殿下に渡す。


「なんだこれは?」


「カツサンドです。豚にパン粉をまぶして揚げたもので、パンに挟んであります。私の国ではこれをトンカツというのですが、勝つとカツをかけて、ここ1番の勝負の時に食べるんですよ。これを食べて、呪いに勝ちましょう」


ニコラス殿下は包みを握り締めて、半分泣きそうな顔で笑った。


「ありがとうリナ。俺もこの国の願掛けをしてもいいか?リナの協力が必要なんだ」


「勿論です、私は何をしたらいいですか?」


「両手を出して俺の手を握って、目を瞑って」

「こうですか?」


お祈りでもするんだろうか?


ぐいっと引っ張られたかと思うと、唇に柔らかいものが当たった。


私が目を開けると、目の前にニコラス殿下の顔があった。


「これで、もう負ける気がしないな」と言って馬車に乗り込む。


私が呆然として立っていると。


近くにいたエリックさんが「リナ様、騙されてやすいですよね。そんな願掛け、この国にはないですからね」と言って馬車に乗り込んだ。


国王陛下もなんか申し訳ないって顔をして馬車の窓から見てる。


な。。なにいいいいい。


私は呆然としたまま馬車を見送り、キッチンに戻った。


キッチンでは多めに作ったトンカツをトムさんをはじめとするシェフ軍団が争って食べていた。


「焦らなくても、まだ材料はあるので作れますよ。他にも食べたいものがあればなんでも作ります」


殿下達は早くても真夜中になるまで帰ってこない。


それまで落ち着かないので、何かをして気を紛らわせたい。


「え?じゃあフライドポテトがいいです」と若いシェフが言う。


「俺はさっきのおやつがいいな。あんなの初めて食べたよ」とトムさんが言う。


「え?私は今日はおやつなんか作ってないですよ」


「え?お昼の時に持ってきてくれたやつ」


トムさんがどんなものだったか説明してくれた。それを聞いて私はキッチンを飛び出したが。。。。もう間に合わない。


そして後少しで真夜中になる時、エリックさんが帰ってきた。


「やはり、私では2時間半が精一杯です」と息も絶え絶えになりながら、アンドリュー殿下の部屋へ一緒に行く。


私はエリックさんに水を渡し、エリックさんが話せるようになるまで待つ。


「私が出てから1時間待ってからニコラス殿下が出発する事になってますが、ニコラス殿下の速さならおそらくすぐ来るでしょう」


「エリックさん、実はお話が」と言いかけた時に、外が騒がしくなった。


「え?もう来たのか?私とほぼ変わらないじゃないか」


バルコニーの下を見るとちょうどニコラス殿下が積荷を下ろして、トムさんと職人さんと一緒に箱を滑車に取り付けようとしている。


「殿下、私達が綱を引っ張りますんで、アンドリュー殿下の所へ。リナ様と練習したので大丈夫です」とトムさんが言う。


ニコラス殿下はややふらふらしながら、建物の中に入った。私とエリックさんはバルコニーで箱が上がるのを待つ。


箱は難なくとバルコニーに到着して、エリックさんが箱についている綱を剣で切る。


箱を開け始めた時にニコラス殿下が部屋に入ってきた。


エリックさんがもどかしげに鉄の箱を開けると、氷水の中に布の塊がある。


「うわ、冷たい」


布の中から出てきた缶は周りに氷がついていた。


しかし缶の蓋がちゃんと閉まっていなかったのか、中に水が入ってしまっていて、りんごは無くなっていた。


「大丈夫です。予備がありますから」


私は震える声を抑えながら、もう一つの包みをエリックさんに渡す。


エリックさんがそっと開けると、中に凍った黄色のリンゴが入っていた。良かった。


「とりあえず兄上に食べさせよう」


エリックさんがりんごをまな板の上に置いて、ナイフで切ろうとするがかなり硬い。

手で押さえた所からどんどん暖かくなってしまう。


エリックさんは腰につけている剣でりんごを真っ二つに切った。まな板も半分に割れたが。


なんとか1/4にしたが、これ以上は切れない。そして眠っているアンドリュー殿下には飲み込めない大きさだ。


「りんごをここに入れてください」


私はこうなる事を予想して、職人さんに作ってもらったハンドプレスを持ってきていた。


私はり溶かさないようにトングでりんごをつかみ。ハンドプレスに入れりんごをつぶす。するとシャーベットのようになった。それを器に入れ、スプーンと一緒にエリックさんに渡す。


「シャーベット状だとすぐ溶けます、早く殿下に!」


エリックさんがスプーンを殿下の口元に持っていくが、殿下の口は開かない。


エリックさんは手で口を開けさせて、スプーンを口に突っ込むが、飲み込む事はできない。


鼻でも摘めば飲み込むかもと思った瞬間。エリックさんはシャーベットを自分の口に入れて、アンドリュー殿下に口移しでりんごのシャーベットを飲み込ませた。


「アンディ、起きてよ!!!!」


エリックさんの声がいつもより高い。


いつのまにかエリックさんの髪が伸びている。そしてエリックさんはどう見ても女性だ。


「相変わらずうるさいな、エリカ。1年ぶりに目を覚ますんだ、眩しくて目が開けれないんだよ」



初めエリックはアダムと言う名前にしてたのですが、女性の名前に変えにくかったので、エリックに途中で全部変えました。もっと早く気がつけば良かった。

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