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滑車は手助け魔法

次の日、私は子供の姿の殿下とエリックさんと作戦会議をした。


私はニコラス殿下をつい見てしまう。あのイケメンが朝になるとこうなるのか。まあ今も美男子だけど。


毎朝、殿下がおはようの挨拶代わりに抱きついて来たが、今日から禁止だ。


「ちぇ、リナの意地悪」


いや、、、子供だと思ってたから許してただけです。


「だから言ったのに」とエリックさんが言ってるが、それは誰に対しての言葉なのか?


それより作戦について考えないと。


「ではまず輸送方法から検証して行きましょう。ここから北の山まではどれぐらいかかりますか?」


「通常なら3時間だが、俺は2時間でここまでついた」


「途中に村はありますか?」


「ああ、2箇所ある」


「では途中の村に代わりの馬を用意するのはどうでしょうか?。2時間全速力で走れば馬も疲れます」


「確かにそうだな。わかった、手配をしよう」


「次にアンドリュー殿下の部屋はどこに位置するのでしょう?」とエリックさんが用意してくれた王宮の地図を広げる。


「この王宮の奥だな。このバルコニーがある2階の部屋だ」


「ではここから1番近い門は、私と殿下があった森を抜けた所にあるんですね。この門から北の山に行くにはどうしたらいいんですか?


「門を抜けたら、この街道を真っ直ぐいけばいいだけだ。あのリナにあった日はもう体力がなく馬に乗っているのが精一杯で、森すら抜けられなかったがな」


「森を抜けた後はそこからどうやってアンドリュー殿下の部屋まで行くのでしょうか?」


「この横のドアから入って、階段を上るんだが、階段が少し奥にあって、そこまで行ってからまたこちらに戻る事になる。


「ではりんごを入れた箱を持って王宮内の中を走る代わりに、バルコニーから吊り上げるのはどうでしょうか?」


「それをやろうとしたんだが、木箱とはいえ重さもあり、不安定で壁にぶつけてしまいそうで、断念したんだ」


「大丈夫です、滑車システムを使えば、少ない力で重いものを持ち上げる事ができます」


私は絵を描いて説明する。

「この様な木の車輪を3個使い、上に2個の滑車、下には1個の滑車を配置します。そして全ての滑車ににロープを通せば、力が分散され、少しの力で重い荷物を楽に2階のバルコニーに持ち上げることができます」


私は絵を描いて説明した。


「おそらく馬車などの車輪を作る職人さんなら作れるのではないでしょうか?壁に滑車を取り付けるなどの作業も必要ですが」


「わかった、これは事前に作って試そう」


「では、1番重要なりんごを入れて運ぶ箱についてです」私はまた絵を描いて殿下とエリックさんに見せた。


「まずは断熱です。その名の通り外からの熱を中に伝えない様にします。アルミのシートが欲しいところですが、おそらくここにはないので木箱に入る少し小さめな鉄の箱を入れて、その隙間に綿を入れましょう」


「何故隙間を作るんだ?」


「そうすれば外からの熱が直接伝わらない様になるからです。そして冷却はアイスキャンディを作った時の凝固点降下を使いましょう」


「塩は氷を溶かします、その氷が溶ける時と塩が水に解ける時に周りから熱を奪います、そして塩が溶けた水は凝固点降下が起こり、ジュースを凍らせる様な温度に下がっても塩水が凍る温度はもっと低くなっているので凍らないので、冷たさを長く持たせられます」


「ではりんごが直接塩水に当たらない様にする為に、更なる容器も必要だな」


「そうですね。鉄製の容器に入れて。鉄の箱に当たっても大丈夫なように布で巻いておくのがいいかと」


「ではエリック、今話し合ったものを用意してくれ、リナ、一緒に来てもらえないか?」

「はい、どちらへ」


「兄上の所へ行く。場所を見ておきたいだろう」


私とニコラス殿下は、アンドリュー殿下が眠る部屋へと行った。


侍女と主治医が部屋にいたが、私達が入ると外に出ていってくれた。


アンドリュー殿下はニコラス殿下に似ているが、髪は金髪だった。こちらも大変整った顔をしている。美形兄弟なんだな。


ニコラス殿下はベットに近づいて、アンドリュー殿下の手を握った。

「兄上、こちらが”旅人“のリナだ。兄上を起こす為に色々な方法を考えてくれている。そしてリナの料理は最高に美味しいんだ、起きたら一緒に食べような」


「アンドリュー殿下、初めまして。今度は焼き鳥を作るので、お目覚めになったらみんなでBBQパーティーをしましょうね。楽しみにしていてくださいね」


「なんだそれ、美味しそうだな。兄上と食べれたらもっと美味いだろうな」


私達はバルコニーにも出て、滑車がつけられそうな場所を探した。


「やはり、この壁が良さそうですね。滑車をつり下げる棒を壁に取り付ける必要があります」


下を見るとエリックさんがちょうど職人と話しながら歩いている所だった。


「リナさん、ちょっと下に来て説明して頂いてもいいですか?」とエリックさんが私を呼んだ。


「殿下、私はちょっと下にいきますね」


「わかった、エリックはここに来い。リナ、俺たちは話したいことがあるので、後から行く」


私が庭に出ると職人さんが待っていてくれた。私は絵を見せて説明する。

食事のカート用の小さめな車輪を利用すればすぐできそうだと、午後には試作品を持って来てくるとの事で、その間に他の職人さんを呼んで、壁に滑車を取り付ける木の梁をつけてくれるそうだ。


そして私はある事を思いついた。


「こんなのできますかね?」


「お嬢ちゃん面白いものを知ってるね。何を作るんだい?」


「夕食を作る時に使えたらと」


「飯か?これで?」


その内ニコラス殿下がやって来た。


「あれ?エリックさんは?」


「。。。あいつはもう少ししたら来る。それより輸送の箱を用意しよう」

木箱と鉄の箱の間には鉄の箱を固定する為に木のブロックを挟み、空いた隙間に綿をぎゅうぎゅうに詰めた。中にはりんご1個分が入る蓋付きの缶を入れる。紅茶の缶がピッタリだった。


「何故缶を2つ入れるんだ?」


「りんごを2個持って帰る為ですよ。どれぐらい食べさせたらいいのかもわからないですし、予備があった方が安心だからです」


予備(スペア)か、俺みたいだな」


「予備はとても大事な物なんですよ。殿下みたいにね」と言うと殿下の顔が赤くなった。ぷくぷくのほっぺたを突っつきたいが、中身は成人男性と心で唱えて我慢した。


箱の準備が出来来た時、職人が滑車を持って来てくれたので早速設置する。


「車輪3個で重さがそんなに変わる物なのか?鉄の箱が加わった事でますます重くなっているだろうし」


「荷物を持つ時に2人や3人で一緒に持てば軽くなるでしょ?滑車はその助っ人の代わりをしてくれるんです。実際に実験してみましょう」


私はさっき作った箱にキッチンからもらって来た氷を入れ、缶には切った潰したりんごを入れた。塩を氷にたっぷりかけ蓋をする。そしてロープを箱の上に巻き付ける。


「なんでりんごを潰したんだ?」

「凍りやすいからですよ。ここには普通のりんごしかないですからね」


滑車のロープにはフックをつけてもらったので、それを箱のロープに引っ掛けた。


もう一方のロープの端をニコラス殿下に持ってもらい。アンドリュー殿下の部屋に行こうとすると、エリックさんはまだいるとのことでバルコニーに出てもらう。


「では殿下ロープを引きながら、こちらに歩いて来てください」


「俺は今は子供の体だ、この重さが引っ張れるのか?」


「大丈夫です。魔法みたいな事が起きますから」


「魔法や呪いは懲り懲りなんだが」


殿下がロープを手にしっかり巻き付け引っ張りながら歩いてくる。


箱はゆっくりだが上に上って行った。


「驚いたな、確かに力はいるが、そのままだと俺の力では持ち上げる事ができなかったのに」


「滑車の力で重さが1/3になりますからね。井戸の水を汲むのにも使えますよ。大人になっている時ならもっと早く引っ張る事が出来ますし、滑車はこれで大丈夫でしょう」

エリックさんは無事に箱を受け取り、バルコニーに箱を置いた。


「エリックさん、その箱は部屋の中に入れておいてください」


「では今夜北の山へ行けるのか?」


「いえ、もう1個実験しなくてはいけない事があるので。焦る気持ちはあると思いますが、不安要素はなるべく取り除きたいので、明日の夜に決行でどうでしょうか」


ニコラス殿下は空を見ながら

「わかった、俺はそろそろ元に戻る時間だな。一旦部屋に帰る」


「わざわざ部屋に戻るんですか?戻る所を見て見たかったな」


イケメンを拝みたいし。


「ああ、俺の体は戻るが、服はそのままだからな。初めに着替えておかないと。。」


。。。小さい体の服を着たまま大きくなるから。


「あーーー分かりました。すみません」

私は顔が赤くなるのが自分でもわかった。


ニコラス殿下は私の耳元で

「リナなら見せてやってもいいぞ」と呟いやいて、私の顔がますます赤くなったのを見てから、笑いながら去っていった。



そろそろニコラス殿下の本領発揮です。

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