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こんなの想定外です!(後日談)

無事に婚約者になったアデリナとディルクの一コマです。

本編は少々甘さが足りなかったので、こちらで補給して頂ければと!

 卒業パーティーが間近に迫った昼休み。

 学園内のガゼボにて、私はディルク様と隣り合って座っていた。テーブルの上にはドレスのデザイン画が広げられている。


「……ミアにはこんなドレスを、わたくしから贈りましたの。デザインは少し違うのですけど、色はわたくしと同じ青で、お揃いのリボンをあしらって……」


 例の生徒会室での話し合いから間もない時期のこと。ミアが実家の経済的事情で卒業パーティーには制服で参加する予定だと知った私は、ドレスをプレゼントすることを決めた。卒業パーティーには制服で参加しても構わないのだけど、ほとんどの生徒はドレスで着飾るのが慣例だ。

 ミアはドレスなんて受け取れないと恐縮していたが、「親友とお揃いのドレスで出たいの。わたくしの我が儘に付き合って?」と、半ば強引に了解させた。


 ミアにドレスを贈ったのは、卒業パーティーに一緒にドレスで出たいからというのもあるけれど、婚約者交替事件のお礼の意味もあった。

 そう……あの生徒会室での話し合いの後まもなく、私の婚約者はアルベルト様からディルク様に変更になった。それはもう、迅速かつ円満に。

 後で聞いたところによると、あの時にはすでにアルベルト様とディルク様が結託して秘密裏に各家への根回しを終えていて、あとは私が同意するだけという状況だったらしい。


 ……王家と公爵家と侯爵家を、いったいどうやって丸め込んだのやら。

 ディルク様に尋ねてみたけれど、「おいおい、ね」と意味ありげな微笑みではぐらかされてしまい、ただただ私の心臓が止まりかけただけだった。いやいやいや! ちょっと待って!? ディルク様ってあんな腹黒策士っぽい表情もするの? 聞いてないんですけどー!?

 ……まずいわ、思い出しただけで動悸が……。他のことを考えて気を紛らわせなくては。

 胸を手で押さえつつ、私はデザイン画へと意識を戻す。


「えっと……ミアのアクセサリーも、わたくしとお揃いのデザインにしましたのよ。ミアはピンクダイヤモンド、わたくしはブラックダイヤモンドなので、かなり雰囲気は違いますけど」


 ちなみに私が身に着けるアクセサリー一式は、ディルク様からの贈り物である。ブラックダイヤモンドをリクエストしたのは私だけれど。


「……だけど、本当にブラックダイヤモンドで良かったの? あなたならどんな宝石でも似合うとは思うけど、少し地味じゃないかと……」

「あら、先日ドレスと合わせてみましたけど、ちっとも地味だなんてことはありませんでしたわ」


 すっごく悪役令嬢っぽくはあったけどね!


「それに青のドレスだけだと、元婚約者の色をまとっていると勘違いされては困りますし……」


 青のドレスを選んだのはディルク様の瞳の色に合わせたものだけど、元婚約者のアルベルト様も瞳の色は青だ。

 それで、ディルク様の黒髪に合わせた黒色の宝石を身に着けることにしたのである。


 ……ちなみに、ミアに贈るドレスを青にしたのは、アルベルト様へのお礼の意味もあったりする。

 意外なことにアルベルト様は好きな女の子の前ではヘタレ……じゃなくて奥手なようで、私とミアの周りをウロウロするばかりで何も行動に起こせていないのだ。ミアへの好意はカケラも伝わっている様子がない。自分の色のドレスを贈るなんて夢のまた夢……というわけで、お節介ながら私が一肌脱いだのである。ミアはその意味に気づいてはいないが……まぁ他の男性陣を牽制する効果くらいはあるでしょ。


「そうだね、アデリナは僕の婚約者なんだって、ひと目でわかるように……。ふふ、嬉しいな。あなたが僕の色で着飾ってくれるなんて、夢みたいだ」

「と、当然ですわ。だって、こ、婚約者なんですもの」

「うん。でも、どうしてアデリナは、さっきから婚約者の僕の顔をちっとも見てくれないのかな?」


 ギクリ。

 不自然にならないようにデザイン画を見るふりを続けていたのだけど、気づかれていたらしい。


「そ、それは……」


 こんな至近距離で『推し』のご尊顔を直視したら目が焼けるからですーーー!! なんて、本人に向かって言えないじゃん!?


「ねぇ、どうして? だってアデリナは、僕の顔、好きでしょう?」


 ひ、ひえっ、バレてる!? いや好きですけどね、大好きですけど! ディルク様ちょっと自信つけすぎじゃ……って、ぎゃー! 髪にちゅってキスするの無理無理反則! 余計に顔なんて見れないからー!!


「こっち向いてよ。アデリナの顔、僕に見せて? お願い」

「う、うぅぅ……」


 お願いと言われてしまうと弱いのだ……。だって『推し』のお願いですよ!? 拒否できるオタクがこの世にいる!?

 真っ赤に染まっているであろう顔をそろそろと上げて隣を見ると、蕩けるように微笑むディルク様と目が合った。や、ちょっ、待っ、眩しすぎるっ……!


「ああ、やっと顔を見せてくれた。可愛いアデリナ、早く僕に慣れてね? だって僕たち、もうすぐ夫婦になるんだから」

「ふっ……!」


 夫婦……! 『推し』と夫婦になったりして私大丈夫!? 朝起きぬけに旦那様の顔見るたびに心臓止まったりしない!?


「ね?」


 じっと見つめながら念押しされ、私は「は、はいぃ……」と息も絶え絶えに返事をする。

 ディルク様が満足そうに口の端を上げたかと思うと、ちゅっと音を立てて私の額に口づけた。


「はわ……」


 ふわぁ……と意識が遠のく。

 クールなディルク様が婚約者になった途端こんな甘々になるなんて……。

 こんなの想定外です……!




おしまい!

もう1話、後日談を投稿予定です。

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