おまけ2-1 ブロックされた
「ブロックされた―!!!!」
「マジか!!」
「ダセー!!」
「アホだ。」
「間抜め。」
「マジ?ソンジが?退出でもなくブロック??」
今、控室はソンジがレインをブロックされたという前代未聞のことに盛り上がっている。ここはアイドルエナドリの事務所の一角。
功が紹介してくれたお姉さんに、功のキューピッドになるがごとくきっかけのメールを送り続けているのに、逆に撃ち落されてしまったのである。
「うそ…………」
喪失感がハンパない。なんなら、最近手の空いた時にいつも打っていたので寂しすぎる。
「え?女性にされたの?ソンジが?」
「プライベートの女性に?」
ブロックした事はあっても、ブロックされたのは初めてである。しかも現行で会話中の人に。
「うわぁ……」
「日本人は恋人や身内ですら頻繁な連絡は嫌がるっていうのは本当だったのか………」
「は?俺、生粋の韓国人だが正直俺もウザい。」
「しつこいのはなぁ……。俺もちょっと。」
「まあ、ファンや恋人でもない限り、アイドルであろうが果てしなくどうでもいいんだろ。」
「え?しつこい?俺しつこかった?」
みんな方々に言うので通りがかった女性マネージャーさんにスマホを見てもらう。
「どう?」
「……………」
じーと眺めるマネージャーさんをソンジは心配気に見つめる。
「うざっ!」
「!!」
「ソンジ、ストーカーで訴えられないでね。」
ショックである。うざかったらしい。
「え?お前が訴えられるの?」
「ネットニュースに載せられるなよ。」
「え?マジ?!お姉さん、怒ってるかな??」
なにせ連投しても、しつこいとかやめてとか言われないので送りまくっていた。小学生男子同士のくだらないノリに似ている。小学生の頃は、しょうもないSNSや動画を見付けたら友達と山のように送り合っていた。
ちなみに功にも送りまくっているが、功は読むのは速いが返信はすこぶる遅いか無視だ。実務の用事以外は気が向いた頃に一言送ってくるのみ。お姉さんの方がまだ返信頻度が多いので楽しかったのに。
「お姉さん、ココアはやってないかな……。」
「やめろ、何の嫌がらせだ。」
「日本人はレインだろ。」
そこでハジュンが気付いた。
「あっ?日本のヌナ?」
「?ハジュンもヌナと言えるほど仲がいいのか?」
みんな気になる。
「日本は知らない人にもヌナって使える。てか、いつ交換したの??」
ヌナはお姉さんのことだ。
「……なになに?美人なん?」
「……美人ではない……、ハードルを上げてほしくなさそうだった。というか、顔は知らない。」
よく考えたらマスクをして、フードも被って夜間の数分、顔はよく分からない。存在を消したそうであった。
「写真は?」
「ない。」
「日本人は写真も自撮りも嫌いな人が多いぞ。」
「日本人、難しすぎる……。」
「コウと同じだし。」
功も写真や自撮りが嫌いである。セルカをするようになったのは本当にここ最近で、仕事の撮影も基本嫌いだ。自分が写っている動画とか見たくないらしい。
「礼儀正しくて普通に日本のファンの子にいそうな感じ。ファンじゃなかったけど。」
年齢すら分からなかったが、多くのファンやここにいるエナドリスタッフより地味であった。
今思えば幻のようだ。
本当に功が気に掛けている人だったのか。そういえば功本人から明確に聞いていない。道さんが、功君が遊びに行くお家のお姉さんと聞いていただけである。
「コウ、嫌われたかな……。どうしよう………」
「いや、お前が嫌われたんだろ。」
心配するソンジにみんな辛辣である。
「でも、コウは俺には全然返してくれないのに、お姉さんにはすぐ返信するって聞いたから。」
「それ邪魔してんじゃん。」
「お前の嫉妬だろ。」
「俺の嫉妬が火をつける?」
「ただの邪魔だ。やめろ。」
「同じ生活圏にいれば連絡が多いのは仕方ないだろ?」
でも、尚香は章にもほとんど返信しないかスタンプですます。後で返そうと思ってそのまま忘れることも多い。
「コウの大変な時に支えたのは俺なのに、道さんが最近功がめっちゃ楽しそうだって!」
一緒にいた頃は、道といる時か仕事でしか笑うこともなく、張り詰めたようにほとんどの時間キリキリしていた。
ここ最近、話さなくていいほど話すし、周りにまで愛想も振り撒いているらしい。そんなことがあっていいのか。
「ヌナに嫉妬だ。」
「お姉さんがいいとこ取りしたと思っている。」
「お姉さんに、6月焼肉行きましょうって言ったのに無視されたし………」
「マジ嫌われてる。」
「でも議論途中だったのに……。まだ議論閉店してないからお姉さんと飲み直さないと。」
「議論?」
と、うだうだしていると返信が来た。
「あ、コウから来た!」
図々しくも、『お姉さんにブロック解除頼めない?もう連投しないから』とココアに送ったのである。
しかし、功からの返信は『SNS中毒なの?他のストレス解消見付けたら?』であった。
「なんで!!」
こちら日本。
それで功は尚香さんに電話を掛ける。
「尚香さん、ソンジとレイン交換したの?」
『したけど?』
「なんで?」
『章君の様子見てって。あ、でもブロックした。騒がしいから。』
「しておけばいいよ。」
……しかし尚香、彼から功に何かあった時知らせてねと言われていたことを思い出す。
『でも、彼、章君のことすごく心配してるから、章君も何かあったら周りにすぐ相談するんだよ。道さんとか三浦さんに。』
「うん。」
『いい友達がいてよかったね。章君ごめんね。まだ仕事だから切るね。』
「うん、がんばってね。」
そして、また控室。たまらず日本の功に音声通話を掛けるソンジ。
「コウ、なんで繋いでくんないわけ?」
『………逆になんで繋がないといけないの?尚香さんだよ?俺が怒られる。』
「え?怒ってた?」
『怒ってなかった。』
「だろ?」
なぜそんなことをして怒っていないと思うのだ。怒っていなかったけれど。
『なんなん?彼女に振られたの?ヒマしてるの?なんで尚香さんに構うの?彼女怒らないの?』
「彼女いない。」
『できたら怒られるよ。やめなよ。』
「これは事務連絡だから。お姉さんは討論会の同志みたいなもん。」
『忙しくないの?討論なんていつするの。』
だいたいなんの討論なのか。
「お前連絡くれないし、俺が赤い糸を結んでやる!」
『却下。』
「え?!なんで?」
『なんでかっこいいって言われてた人が間に入るの?』
尚香、初対面の時ソンジを見て思わず「かっこいい!」と言ってしまったのだ。思わず。
「え?俺、惚れられてた?」
『………………。バイバ~イ!』
「えー!ちょっと待って!!待て!」
功が一瞬止まる。
「お姉さん、そういうのに関心無さそうだったし!」
『ないよ。でも、そういう問題じゃない。』
「男とか女とか関係なく、話してて面白い!」
『数分話しただけじゃん。』
「数分じゃ足りない。どっぷり話したい。結論が出るまで。」
『……………』
というところで、仕事に入る功。
『じゃあね~。呼ばれてるから。』
「え?待って、ブロック解除してもらって!」
と、言うも切られてしまうので、喪失感のハンパないソンジであった。
尚香との会話以外は全部韓国語です。
●日本のヌナと話す
『スリーライティン・中』26 これはかっこいい
https://ncode.syosetu.com/n1546jw/26
●ブロックされる
『スリーライティン・中』63 進んでみようか
https://ncode.syosetu.com/n1546jw/63/




