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スリーライティング・中 Three Lighting  作者: タイニ
第十六章 あっちもこっちも

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46 そういうことにしておこう


題名を見て気が付いた方もいるかもしれませんが、上下改め、上中下になります!





「尚香さ~ん!これ見て!!」

ディスクにいる尚香を呼んで走ってくるのは川田。

「これ、庁舎君のお母さんでしょ?」


見せてもらったSNSを見ると、LUSH+のアカウント。マスクをした道が花束を持ってみんなに囲まれている。花束でさらに顔が隠れていたが満点の笑顔だ。

「保育士の試験受かったんだって!」

「保育士?ほんと?!」

知らなかったので驚く。事務所のみんなにお祝いされていた。


「………」

そう言えば道さんは2年半も看護大学に行ったのだと思い出す。スクロースしていくと、功が抱きしめている写真もあり、英語や韓国語でもたくさんのお祝いのコメントが入っていた。エナドリからのファンは、道が幼い功を見るために看護大学をやめたことを知っている。昔の知り合いにファンがいたからだ。海外は日本ほどいろんな事情が伏せられないない。



実は功がイットシーで安定した場所を持ってから、韓国事務所の社長が希望なら看護学校か看護大に通い直すお金を貸してくれると言ってくれたこともある。

けれど、章の世話をしながら仕事で各家庭を回るうちに、個々の事情に対応できる仕事をしたいと思うようになった。30に入ってから看護師資格だと、土台があるとはいえ体力的にも生活がそれだけになってしまう。悩んだが、介護はできるので次は子供たちの事をしっかり知ることから始めることにしたのだ。


嬉しそうな道を見て、ほっとする。




***




そしてこちらは居酒屋。


「カンパーイ!」

と、なぜか定例になっている男同士の飲み会。


メンバーは庁舎君と兼代、時々部長、そして本部長久保木だ。今日は部長はいない。


「緑川学院付属か?金持ちだろ。高望みしなければいい学校だと思うが?」

「やっぱそうなのか。」

よく分からんが優秀なのかと章は悔しい。

「そんでそれが又従弟なの?」

「……あいつ俺を不審者のような目で見やがって………」

「……つうか尚香さん。俺に仕事押し付けてそんなところで遊んでいるとは………。」

兼代は納得がいかない。


「金本さんの代わりが入っただろ。」

久保木は、飲もうとする兼代のウーロンハイを取り上げる。

「……ウーロン茶です。」

「………」

嘘をつくなと言う顔で久保木がウーロン茶に取り替えた。


「章、又従弟の高校生男子に何、嫉妬しているんだ。」

「………俺は気が付いた。すっごい関係が近くなったと思ったのに、尚香さんと俺って敢えて頑張らないと日常に接点がない!!」

「おーーー!!!」

兼代、意味なく楽しい。こいつ、やっと自分の不可解行動の原理を発見した。だからこそ、今まで無謀な行動をしてきたのだろう。


「考えてみれば道さんずっと金本家に行ってたのに、最初尚香さんの存在すら知らなかったもんな。」

最初どころか、自分が遊びに行くようになってからも子供がいることは知っていたが、尚香という人は知らなかったのだ。

「何もかもがダメだ。諦めろ。」

「兼代さん黙っててください。ちょっと運命なこともあったんです。」

「ああ?」

「俺、親の胎内にいた時、尚香さんに触ってもらったんだって。」

「…………ん?」

兼代は少し酔っている。

「……なにそれ、新しい歌?無理やり過ぎないか?全然ラブソング違うんだけど。宇宙とか来世とかでも歌うの?スピリチュアルBGM?」

「……いや。尚香さんが8歳くらいで、僕は妊娠8カ月のめっちゃめっちゃ可愛い時期!もうおメメもあるし。品川ロイヤルルーナホテルで会ったらしい……。」


「?!」

「まじか!!」

久保木と兼代驚く。

「何その運命!」

「……尚香さんには呪いって言われたけど、俺は運命だと思う。運命にしておく。蹴っ飛ばしたらしいけど。」

「?!」

呪いとな!

「そうしておけ。俺は応援する。運命だ!」



しかしここで下げるのは久保木。


「……なんで従姉に触られて運命なんだ。親が兄弟同士ならなくもない話だろ。」

「…………」

章と兼代は思わず久保木を見る。


「章、本当にお姉さんを卒業しろよ。本気なのか?」

久保木はさすがにちょっと引いてしまう。


「………あれ?久保木先輩、知りませんでしたか?」

「?!」

章が止めようとするも、兼代が早かった。


「こいつは尚香さんのお見合い相手ですよ?」


「?」


は?

と、なっている久保木。


「………従姉弟で?」

「そんなわけないでしょ!他人っす!!」

「……………お見合い?」

「そうです。」


あー、言ってしまったという顔をする章。従弟ということにしておきたかったのに。

「え、……え?ならなぜ従弟?」

「若いバンドのボーカルとお見合いしたって会社に知られたくなかったから、その場しのぎで尚香さんがごまかしただけです。こいつが目立つことしてバレそうになるから。」

「兼代さんが広めたって、尚香さん怒ってたけど?」

「……あー、そういうの申し訳なかったから、今尚香さんの分も仕事してるんだけど!」

兼代とて反省するのだ。


「え?………!会社の人は知ってて?」

「うちの部署内の人で、近い席や身近な人はみんな知ってんじゃないっすか?」

「!」

久保木、信じられない。本部長室までそんな話は届かなかった。


「………で、結婚するのか?」

「いや、断られてるよな。庁舎君、どこまでも逃げられてるんですよね~!まあ、10も違えばなあ……」

「9なんだけど。」


「…………」

微笑ましい兄弟だと思っていた久保木が、放心状態に陥っていた。




ここで兼代はやっと酔いが飛ぶ。


あれ?


そう言えば久保木本部長…………。

今までの様子と、この前の柚木川田の会話を思い出す。


そして自体内答え合わせをする。

尚香さんのことが気になっているのか?と。



変な雰囲気になって、どうしたもんかと悩む兼代であった。





春からまた章は少し忙しくなる。




***




そして、外国人は動きが早かった。



仕事帰り、時間を取ってもらい少し話をしながら尚香と久保木、二人は街を歩く。


そして、そのまま次の駅付近まで来てしまった。

「お腹空きました?どこかカフェとか入りますか?」

尚香が言うも、すぐ近くに無いのでもう少し歩く。



久保木は日本人で日本の大学も出ているが、中身はほぼ外国人だ。章以上に感性は外国人である。


日本人は、付き合うにもけじめがいるとは知っている。

「………金本さん、あの………」

と言うも雑談をしてしまう。



久保木、自分がおかしいのは分かる。


過去数人と付き合ってきたが、自分の中がドキドキするのだ。


ドキドキ?

なんだこれは??



少し低い視線に、控えめな会社員。



これまで何となくスムーズに関係を持ってスムーズに付き合って、いいなとか好きだとはもちろん付き合った女性にも思ってきた。でも、何かが違う。


こういうのは感じたことがない。

この歳で小学生かと思ってしまう。



ここに来て久保木は部署の人間が言っていた意味がやっと分かった。

何かを言って断られたり、別れて社内で気まずくなったら困る。そうなりたくないのだ。


けれど、尚香も立場が変わったので、敢えて会わなければ社内でそこまで頻繁に会う位置関係でもない。


今までいくつかの国で久保木は女性社員にアプローチされたことはある。それなりに。でも、気まずくはならなかった。少なくとも自分は。なのになぜ、今、それに怯えるのだ…………



…………と考えるが、そうか、今は自分が緊張している側だからかと分かった。




「………山名瀬章のことだけど……」

「章君?」

「お見合いしたのか?」

「!?」

びっくりしている。

「あ、ごめん。少し聞いて………。自分知らなかったから………」


「………お見合いと言うかなんというか………」

少し困った顔をしている。


「断ってはいるけれど……保留のような感じです………」

「保留?」

断って保留?それは久保木にはない感性であった。キープか?

「…………」

尚香を再度見るも、そんな大胆なことをする女性には見えない。なんだ?断って先延ばし?章がしつこいからか?



付き合っていないならと、覚悟を決めて言ってしまう。いや、思わず言ってしまう外国人気質。



「金本さん………隣に誰もいないなら………」

「………」

尚香が顔を向けた。


「私ではダメですか…………」


「……………?」

久保木、すごく緊張しているのだが、尚香はスルーだ。

ん?と言う顔で見られるので、久保木は真っ赤になる。


「…………」

「…………」

何も言わずに少し歩く。



なんだ?これはんなんなんだ??……と久保木は思いながらも、無言で進むふたり。



「……………………」



そして急に尚香は気が付いた。


「っは?!」

と、久保木の方を見る。

「?」



……へ??

と、なってしまう尚香。え?それはどう意味で?あれ?席替えの話?兼代を移動してほしいと言っていたから?



え?え?え?……



急に、久保木を残して早歩きになってしまう。



そして突然振り向く。

「……それはどいう意味で?!」


「付き合ってみませんか…………」

「!!」

「ずっと、ステキな人だと思っていました。」

今度は尚香が真っ赤になる。



二人して遊歩道で真っ赤だ。



何故なら、尚香は今まで誰かから告白されたことなどなかった。

営業や飲みの場で絡まれたことはあるが、個々人という自分と対等の立場の人間からはなかったのだ。婚約していた人は……今思えば……尚香を見下していたのだろう。


「…………あの……私!あの………」

「金本さん、いいですよ。ゆっくり考えて下さい。」

「…………」

「もちろんこの歳だし……先もずっと一緒にと考えています。」







前作も書き始める前までは、長くても3部で終わると思ったのですが………。


今作も頭の中で10年以上回っていたので、書きながらもう半分のキャラは割愛しようかな…と思っていました。非常に長いし、小説にしたり、部分部分映像が流れていた物をまとめて主人公に集中しようとすると不要なシーンや不要なキャラも出てくるためです。


また、前作では登場人物と画面転換が多過ぎて、だんだん読者さんがいなくなる現象がもありました。ノベルデイズさんの方がそうです。


でもせっかくなので、メインに関わる脇役はやはり出そうと思っていたら、案の定、全体が長くなってしまいました。ただこれも、他での連載時に短縮版にしようと思い、なら本編はがっちり書こうと!


それで3部にしました。あまり読者さんがなくご意見反応も分からないので、好きに練っていきます。自由ですみません!よかったら、下にあるいいねなど応援や評価くださいね(´;ω;`)ウゥゥ


いらない会話をなくせば大分短くなりそうなのですが……。また、前作のように最後の部だけ、話数少ない状態になるかもしれません(泣)でも、よろしくお願いします!



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