86孤島の頂
86話更新しました
ブクマ、レビュー評価よろしくお願いします
「やっぱり何処にも入り口がねえ」
どう考えても断崖絶壁の山にしか見えない
「登頂不可能な山じゃねえか、この崖を登れってかムチャ振りも大概せえよ」
文句も言いたくなる
マジでゲームならクソゲーの極みだ
「しかし登らな始まらんのだろうな」
俺だけならまだ良い、だがマリアンヌは女性だこの崖を登るには体力的に無理があるだろう。
「私にはこの崖を登るのはとても無理です、見捨てても構いません」
「バカな事を言うんじゃねえ、そんな事は俺には出来ん」
「しかしこのままでは先に進めませんし」
確かにそうだ、さてどうしたものか
まぁ考えるまでも無い
「行ける所まで行こう、無理になった時は俺が背負う」
「そんな無茶ですわ」
「無茶だろうと何だろうと俺は諦めねえし協力してくれたマリアンヌを見捨てねえ、義理を欠いちゃただのボンクラや」
「あなたって男気があるのね」
「後悔した生き方はもうしたくないだけだよ」
「私も出来る限り頑張るわ」
「急がずマリアンヌのペースで良いからな、じゃあ行こうか」
俺達は険しい崖を登り始める。
あれからどれくらいの時間が経ったのか
かなり登ったつもりだが山の頂はいまだ見えない
「マリアンヌ平気か」
「えぇまだ大丈夫よ」
「限界が来たら無理せず言ってくれよな、それから絶対に下は見るなよ」
「分かっているわ、下を見たら足がすくんで動けなくなるもの」
しかし何時になったらこの地獄の様な時が終わるのだろうか
登れど登れどテッペンが見えない
ゴールが見えないものほどシンドイものは無い
「テンションも下がる一方だな」
だがそれでもやらないと今の状況は何も変わらない
黙々と崖を登る
更に数百メートル登ってふと下を見る
「ヒェ~見ちまった、落ちたら即死だよな、まぁ途中でショック死してるだろうけどな」
「ジン一体いつまでなんでしょうか、私そろそろ限界に近づいています」
「分からねえ、だが上を向いてひたすら行くしかない、マリアンヌ俺の背中に乗ってくれ」
「本当に大丈夫なの」
「あぁペースは落ちるが俺はまだ大丈夫だから」
マリアンヌを背負い突き進む
いまだテッペンは見えない
「あの雲みたいな上に頂上があると信じて頑張るか」
ただ黙々と登っても疲れるだけ昔の事でも考えながら行こう
そういえば昔誰かは忘れたがゲーセンでドハマリした話
「どうしてそんな話になったのかは覚えて無いがゲーム名は確かクレイジークライマーだったか、障害物を避けながらひたすらビルの屋上を目指すゲーム、今がまさにそんな感じだ、リアルクレイジークライマーだな、まぁ本家は確かビルでコチラは崖」
実際俺が生まれる前のゲームだから知らん
「ジン何をブツプツ言ってるの」
「スマンな独り言でも言っとかないと気が滅入るからな」
「ごめんなさい、私が足手まといですね」
「何言ってんの気にする必要は無いよ、一緒にいてくれるだけでも心強いから」
とは言ったものの
流石に疲れて来た
手が痛いし、感覚も少し無くなってきている
体力が残り少ない
「持ってくれよ」
そして少し集中力を欠いた瞬間
掴んでいた岩が崩れ落ちた
「しまった」
左手一本で二人分の体重を支える事になった
「ジン、私を落として下さい」
「ダメだそんな事は出来ない、落ちるなら一緒だ」
「でも」
「仲間だろ、頼むからそんな事は言わないでくれ」
「ジン・・・ありがとうございます」
しかし後この体制がどれくらい持つか
「何とかしないと」
右手をかける場所が無い
「諦めるな、考えろ」
しかし左手の握力がどんどん無くなっていく
「マリアンヌ、スマンもう限界だ」
「いいのよ、ジンありがとう、一緒に逝きましょう」
岩に引っ掛けていた左手が離れ俺とマリアンヌは落ちていく
「クソが、クソが、クソッタレが、皆スマン俺はここまでだ、後は頼んだ」
俺とマリアンヌは溶岩の海に向かって落下していく。
「・・・アレ生きてる、俺達溶岩の海に落ちたはずなんだけど」
どうやら気を失っていた様だ
現状が良く分からないが助かったみたいだ
「おっ目が覚めたみたいだな」
「誰だお前」
「何だよ寂しいのう、我の声を忘れたか相棒」
「その声はライアンか」
「あぁギリギリ間に合って良かった」
「お前何で」
「相棒が落ちる瞬間に覚醒したんだよ、それで我は召喚出来る様になったんだ」
「俺ライアンを召喚してないけど」
「ま、まぁ緊急事態だ細かい事を言うな」
「それはまぁ良いとして今目の前が真っ暗なんだが何故だ」
「そ、それはお前達は今我の口の中にいるからだ」
「口の中だと」
「仕方無かったんだよ時間も無かったし、お前達を抱えたまま登るのはちとキツイので咄嗟の判断だ、我慢せえ」
「チェ仕方ないな、ただヨダレは垂らすなよ」
「それぐらいは心得ておる、後は我に任せてゆっくり休んでくれ」
「あぁライアンありがとよ」
そして俺は又意識を失う。
「おい相棒起きろ」
その声で目が覚める
「ライアンか」
「あぁ着いたぜ、今口を開けるから出て来い」
「あぁ分かった」
ライアンが口を開けた途端光が射し込んできた
俺はまだ気を失っているマリアンヌを抱え外に出た
「これが頂上か」
「らしいな、それに前を見ろ」
言われて前を見ると
「何だアレは」
それは天に続いている様な長い階段だ。
「あの先が出口であったら良いな、まぁそんなわけないか」
まだまだ先は長そうだ。
87話「激突」をお楽しみに




