18平穏な日常
18話更新しました。
よろしくです
俺は帰りの馬車の中でハイン先輩の話を整理する。
「まさか俺の親父がそれほど強く、有名人だったとは」
普段は何処にでもいる優しい父親にしか見えない、まさか家では完全OFFモードにしてるのか。
「まさかクラウダーかぁ、生まれて初めて親父の名前を知ったな」
今日は驚きの連続だった。
ハイン先輩には日課として基礎体力向上トレーニング表を渡してある
俺が王宮に指導に行くのは週1回その間はメニュー表の通りにこなすだけの地味な訓練だ。
「嫌気が差さなければいいがな」
ナンダカンダ考えている間に家に到着した
中に入ると珍しく親父が帰っていた。
「おう、ジンお帰り」
「親父今日は早いんだな」
「たまにはな」
俺は少し考えてから
「親父少し話したい事があるんだけど」
「どうした急に」
「今から外で話せないかな」
「訳ありか、よしわかった」
俺と親父は外に出る。
「それで話しは何だ、もしや恋愛相談か」
親父は何故だか知らんが超ノリノリ
「そんなんじゃない、実は武道大会の事だよ」
「何だ、そんな事かつまんねーの」
「子供か」
思わずツッコミを入れてしまった。
「親父が武道大会の優勝者なんだと聞いた、しかも2連覇」
「別に隠すつもりは無かったんだけどな、大した面白い話しでも無いしあんなもん各国のお偉いさんの自慢ネタにしかならん、知り合いに頼まれて無きゃ出とらんわ」
流石は親父考え方が俺にクリソツだ、イヤこの場合は俺が親父に似てるのか。
「親父今度手合わせをしたい、ダメか?」
「おおー、いいぞ月に1~2回なら時間が出来そうだ」
そんな約束を交わし家に戻る。
「あっ、そういえば親父の名前今日初めて知ったわ」
親父は盛大にコケた、まるで昭和のお笑い番組を見ているかの如く。
「お前なぁ、俺の名前を知らなかったなんて大概やぞ、まさか母さんの名前も知らないなんて事は無いよな」
「うん、知らねぇ」
再度親父はコケる。
「母さんが聞いたら泣くぞ、エミリーだ覚えておけよ」
「わかった、多分忘れない」
「多分じゃねぇ、絶対忘れるな」
親父はブツブツ言いながら家の中に入る。
「本当はもう1つコケさせるネタはあるが流石にショックで立ち直れなくなりそうだから、止めとくわ」
そう、この家より皇太子の部屋が大きい事は黙っておこう。
翌日俺はあの日以来久々の学校へ向かう。
教室に着くと早速ロンギウス達が俺の机の周りを囲む。
「ジン昨日以来だな、話しは出来なかったけどな」
「あぁ、そうだな、余りにも大人しくて逆に気持ち悪かったわ」
「ところでランウスの所にいたメンバーが詫びを入れてきた、元々ランウスに逆らえなかっただけだからな」
「ふーんそれで」
「和解だ、これでSクラスも正式に統一出来るからな」
「ロンギウスに任せるわ」
面倒臭いから丸投げしよう。
「おーいジン君、ローズ様がお呼びだぞ」
アレ何の用事だろうか
「ローズ様どうしましたか」
「ジンギード様お昼をご一緒しませんか」
「あの、まだ朝なんですが」
「今から予約を取りにまいりましたわ」
予約ってなんだ?
「わかりました」
「では又お昼にお迎えにまいりますわ、ではごきげんよう」
良く分からない人だな。
その後昼にきっちりと迎えに来て俺が食べている所をただ眺めているだけの王女。
「何なんだこれは王女様の性癖かそれとも新種の羞恥プレイなのか」
金持ちのする事は分からんがタダ飯が食えるだけ有難いしかも超豪華ディナー文句のつけようがない。
「ご馳走様でした」
「いいえ、わたくしこそ喜んで頂き何よりですわ、それでは又明日」
それだけ言うと王女様はそそくさと帰っていった
「いやースゲー旨かったな・・・うん?又明日とか言っていた様な」
まぁ気にするのは止めよう。
まさかこの日から毎日だとは思いもしなかった
こんな感じで、
つかの間の異世界スローライフを楽しんでいる。
数日後、
皇太子の様子を見る為に王宮に足を運ぶ
「先輩は真面目にトレーニングをしてるのかな」
そこまで過酷なメニューは組んで無いが果たして続いているのか?
「ジン、待っていたぞ」
「先輩ちゃんと続けてますか」
「あたぼーよ」
きょうび使わん言葉やな。
「今日はどれくらい体力が付いたか見ます、まずは正拳突きを500回それではいってみよう」
「お前は鬼か」
「こんなもんまだまだ小鬼程度ですよ、無駄口叩かないでさっさとやる」
「お兄様、ジンギード様の言う通りですわ」
「おわっ、お前いつの間に現れたんだ」
「さっきからいましたわよ」
ハイン先輩はローズ王女に近づき
「ローズどっちの味方なんだ」
「勿論、ジンギード様ですわ」
「お前一途だね、だがあまり付きまとい過ぎると嫌われるぞ」
ローズ王女の顔が急激に青ざめていく。
「先輩何をしているんですか、早くしないと回数を増やしますよ」
「分かってるわ、ジンお前性格悪いな」
「気付くのが遅いんですよ」
それから数時間特訓に付き合い、ヘトヘトになって倒れているハイン先輩を尻目に俺は王宮を後にする。
今日も1日楽しい日々を過ごせた
明日も有意義な日を向かえる事を考えながら帰宅する。
次回19話をお楽しみに
最後までお付き合いありがとうございます