112意外な再会
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俺は街を疾走する
少し寝てムカムカした気分も落ち着いている
それにあの塀の向こうにもしかしたらパラミア達がいるのではと密かに期待している
「ホンマにマジ頼むで」
北側に到着した俺は辺りを見渡し人の気配が無いのを確認し塀を飛び越える
塀を乗り越え見た景色はまるで別世界の様だ
「何だこりゃーまるでスラム街やないかい」
素人が作ったであろう掘っ建て小屋、鼻にツーンくる異臭、そこら辺に転がっている人影
壁を隔ててこんなにも世界が変わる
まさに天国と地獄
「クソが又ムカムカしてきたわ、欲にまみれた奴はやる事がえげつねぇ、ホンマ悪魔の所業やで」
顔をしかめながら更に周りを見渡す
アチラコチラに座り込んでる奴もピクリとも動かない
生きてるのか死んでるのかすら分からない程だ
「マジで同じ人間がやる事じゃねえな」
それから暫く見回っていると不意に背後から
「おい、お前」
「しまった、周囲に気を取られて気配に気がつかんかった」
俺はゆっくりと振り返る
「お前見ない顔だな、新入りか」
「はい、本日ここに来ました」
「そうか驚いただろう、その辺に転がっている奴はこの先俺達が辿る未来かもしれねえ、だが決して諦めちゃならねえ諦めなければ道は開けるお前さんも心を強く持って耐えるのだ」
良かった怪しまれたんじゃない様だ
しかしスゲーこんな絶望しか見えない現状でも希望を持って強く生きている
「はい、強く生きます」
熱い台詞につい反応してしまった
「ワッハハ、うんそれで良いぞ、まぁこのセリフもある人の受け売りだがな、あの人が居るから俺達はこんな状況でも強く生きて行ける」
「そんな凄い人がいるんですね」
皆に希望与えるまさにリーダーの器だ。
「君は会ってないのかね」
「えぇまだお会いしていません」
「そうかでは今から挨拶に行こう、俺が案内してやる、ところで君の名前は何だ俺はブァルカスだ」
「ジンと言います」
「ジンか良い名だ」
俺はブァルカスの後を歩いて行く
少し歩いて行くと大きな小屋が見えてきた
「着いたぞあそこだ」
ブァルカスは扉をノックして
「新入りが入所して来ました、挨拶がしたいそうなので連れて来ました、よろしいでしょうか」
~なんか刑務所みないなやり取りやな~
すると中から声がして
「どうぞお入り下さい」
と、か細く優しそうな声が聞こえてきた
ブァルカスは振り向くと頷き
「中に入れ」
と促す
俺は中に入ると
周りをに数人と1人の男が座っていた
年の頃は20代後半の優男で無精髭は生やしているがどこか高貴な雰囲気を感じる
「こんな所に連れて来られてさぞ驚かれた事でしょう、ですが絶望してはいけませんよ希望は必ずあります」
「はい」
「君の名前は?」
「ジンです」
「ジン君か、申し遅れました僕はアレクと言います」
「アレクさんですかコチラこそよろしくお願いします」
~んっアレ?、アレクって何処かで聞いた名前なんだが~
誰の話に出てきた人物だっただろうと必死に考えそして思わず
「あぁ~~」
と叫んでしまった
アレクは驚いて
「ジン君どうかしましたか?」
「もしかして前国王の御子息アレク第1王子ですか」
アレクは更に驚いた顔をして
「ジン君何故その事を知っているのですか、僕の素性は一部の者しか知らないはずですが」
俺はマリアンヌの事を話すべきか悩んだ
もしかしたらこの中に敵のスパイが潜んでいるかも知れない
そして俺が出した結論は
「話しても良いですが、出来れば他の人にはあまり聞かれたく無いので退室してもらえるなら話します」
と小声でアレクに告げた
アレクは頷き
「皆の衆済まないがジンと二人で話をしたい、席を外してくれないか」
周りにいた者はブツブツ言いながらもアレクの指示通りに小屋を出ていく
「実はアレク王子の事はマリアンヌから聞いていました」
アレクは驚きと同時に歓喜の声を上げる
「そ、その話は本当ですかマ、マリアンヌは生きているのですかゲートに飲まれて死んだと聞いていますが」
「シー声が大きい、誰が聞いているか分からないので小声で頼んます」
「ス、スマナイ」
「偶然ですが俺もあのゲートに飲まれたんです、そこでマリアンヌと奇妙な出会いをしましてね、まぁ話は長くなるので省略しますが、そして今俺と共にこの国に来ていますよ」
「何とマリアンヌはこの国に・・・」
アレクは笑いながら泣いていた
「俺達の目的は今の王国を壊す」
「壊すとは」
「上層部を全て排除するという事です、俺はこの街に来るまで幾つかの町を見て来ました、今のままじゃ遅かれ早かれこの国は確実に崩壊すると思ってます」
「そんなにヒドかったのですか」
「いつ暴動が起きても不思議では無いでしょう」
「そうですか、もうそんな事になっていたのですか何も出来なかった僕の責任申し訳ないです」
「アレク王子が責任を感じる事はありません、今の王国の奴らが悪い、私利私欲に走り己の事しか考えてないないバカどもがね」
「ですが僕はそれを止められ無かった、でももう逃げないジン君僕も一緒に連れて行ってくれないか」
「それは出来ませんね、俺達が一掃した後誰がこの国を守るんですか、それはあなたでしょう、それにこれは俺達の目的の為でもあるんで」
「しかし」
「しかしもかかしも無い、それにこの件にはまだ裏がある気がするんですわ、ですからその時が来るまで大人しくしていて下さい」
「わ、分かった」
「ではこれで失礼します、アレク王子が生きていた事をマリアンヌが知ったらさぞ喜ぶやろう良い土産が出来た」
「ジン君、僕からの伝言を伝えてもらえるかい」
「ええですよ」
「では生きていてくれてありがとうと、後くれぐれも無茶な事はしない様にと」
「必ずマリアンヌに伝えます、では」
俺は急ぎ小屋を出て塀を飛び越える
「あの人ならこの国を任せられるな、しかしこんな意外な再会もあるんやな~」
俺は闇から光り輝く街並みの中へと戻る。
113話「歌劇団」をお楽しみに




