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108マリアンヌの過去~後編~

108話更新しました

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「15歳の誕生日の朝私はいつも通り王様の様子を伺いに行きました」

マリアンヌは遠い目をし当時の事を思い出してる様だ。


「王様おはようございます、お加減は如何ですか」

「おーおマリアンヌいつもスマンのう、ほれこの通り元気じゃよ」

「余りご無理はしないで下さいませ」

「分かっておる、ところで今日はマリアンヌの誕生日じゃったのう、幾つになった?」

「王様覚えていてくれたのですか、今日で15になります」

「当然じゃ、そうかもう15になるのか月日が経つのは早いのう、ワシも歳を取るはずじゃ」

「ご自愛下さいませ」


「ところでお前にだけ話しておきたい事があるのじゃ」

「何でしょうか」

「実はのうワシもそろそろ王位を退こうかと思おておのじゃ」

「えっ、そんな」

「まあ待て今すぐではない、ワシは次期国王にはアレクと考えておるがどう思う」

「えぇ、アレク様なら申し分ないかと思います」


「それでマリアンヌに頼みがあるのじゃよ」

「何なりと」

「アレクと共にもっと豊かで民が笑える国にしてほしいのじゃ」

「勿論でございます」

「それとなマリアンヌよワシの本当の娘になってはくれぬか」

「えっ、どうゆう事でしょうか」

「アレクと一緒になって欲しいのじゃ、これは王としてでは無く父としての頼みじゃアヤツもお前に好意を寄せている様じゃしな」

「王様頭を上げて下さい、とても光栄な話です、私で良ければ喜んでお受けいたします」

「ありがとう、これで心置き無く退位出来るわい」



「父上至急御報告したい事があります、入ってよろしいですか」

「アレクか入れ」

「失礼します、んっマリアンヌ、来ていたのか」

「はい、アレク様おはようございます」

「あぁ~おはよう、ところで父上今しがたバッカスより緊急の伝令が届きました、バッカスの北部で謎の病で倒れた者が多数死者も出ている模様、至急応援を要請との事です」

「誠か、アレク直ちに兵を集めバッカスに出発するのじゃ」

「ハッ」

「マリアンヌ済まぬがアレクに同行してくれないか」

「はい、勿論でございます」

「折角の誕生日、盛大に祝ってやりたかったのだが申し訳ない」

「そんな、お気になさらずに」

「頼んだぞワシの可愛い娘よ」


「・・・それが王様と交わした最後の会話となりました」

「嫌な事を思い出させてしまいましたね、ごめんなさい」

「いえ、気になさらないで下さい」

「なぁマリアンヌ俺が奈落で聞いた話とは少し違う気もするんだが」

「あぁ~あれは出会ったばかりの人だったので信用出来なくて、でも嘘では無いです、でもごめんなさい」

「イヤ気にしなくていい、当たり前の事だスマン話の腰を折ってしまったな」


「いえ、では続きをお話しします、私とアレク様はバッカスに向かい色々調査をした結果ダンジョンから毒物が漏れ出ていたのを突き止めました」

「ダンジョンから?何かおかしいですね」

「カレンさんのおっしゃる通りです、今までそんな事は一度も無かったのに何故と疑問を抱きました、そして嫌な胸騒ぎがしたのです」


「もしや何者かが仕組んだ罠か」

「えぇ、その可能性も否定出来ませんでした、私は急ぎダンジョンに結界を張り、毒に侵された人達を治療し急ぎ国に戻ろうとしました」


「確かに王様とバッカスの件は繋がっている可能性は高いなってか同一人物の仕業なんじゃねぇ」

「私も同じ事を考えていました、ですが全てを終わらせるのに数ヶ月かかりました」


「私とアレク様は急ぎ王国に戻ると何と王様が危篤状態でした」

「そんな・・・」


「私は王様の治療に入りましたが体内からは毒物らしき物は検出出来ませんでした」

「では王様は病気だったのですか?」


「私も最初は病気だと思いました、しかし微かでしたが心臓の鼓動が二つ聞こえたのです」

「二つですかそれは一体?」

「王様の胸に耳を当てると間違いなく鼓動は二つ鳴っていました、一つは今にも途切れそうな弱々しい鼓動、そしてもう1つは不気味なほどに猛々しい鼓動です」


マリアンヌは一段と険しい表情になる

そして怒りで顔全体が薄紅色に染まっていく


「私はコレが原因だと思い浄化を始めましたがソレは浄化では取り除く事が出来ませんでした」

「恐らくは魔法かそれに類似するものでしょうね、私は見た事も聞いた事もありません」


カレンも知らない術

では神簇では無い、冥府は元々表に出て来ない

だとすれば

「もしかしたら魔族の仕業なんかなぁ~」

「魔族まさか、いやでも今の魔族ならやりかねませんね」


マリアンヌは続きを話し始める


「それから暫くして大臣のカウパーがアレク様を連れて部屋を出て行きました」

「はぁ何の為に?」


「私も後で聞いた話ですが、王位継承問題です」

「王様がまだ生きてんのに笑えん冗談や」

「カウパー大臣はもう助からないと確信していたのでしょう、第2王子のヘスカー様の派閥のトップにいるカウパー大臣はこれを好機ととらえ打って出たのでしょう」


「実にくだらん、全く何処の世界も跡目争いはガヤが引っ掻き回すクズ展開が多いわ、権力とか利権とかクソくらえや」


「朝方王様の鼓動が止まった時もう1つの何かが王様の胸で弾けました、部屋中に血と肉片が飛び散りそれは悲惨な光景でした」

「爆弾だったのですか」


「分かりません、ただ私は部屋に駆け込んで来たカウパー大臣に王殺しと言われ王宮の地下の牢獄に幽閉されました」


「誰かが仕組んだ罠やな、恐らくはカウパーとかいうクサレ下道も仲間やろ、何かムカついてきたわ」


「私は結局何も出来ず処刑の日、王様を死なせた罪悪感に苛まれながら処刑場に向かいました、そして首を落とされる瞬間」

「あのゲートが現れたって訳か」

「はい、私はそのゲートに飲み込まれ気付いたら奈落にいました」

「お辛い思いをされましたね」

「私はまだ死ねません、王様の仇を取るまでは」

マリアンヌの瞳には青白い炎がメラメラと立ちこめていた。






109話「いざバラカス大陸へ」をお楽しみに

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