106生還
106話更新しました
ここから新たな旅立ちの始まりです
楽しく読んでもらえたら嬉しいです
ブクマ、レビューなどして頂けたら更に嬉しいです
よろしくお願いします
「・・・・」
「・・・・」
「・・・主さん、起きて下さ~い」
アレグリアの声が脳に響く
「アレグリアか、俺は、まだ俺は生きているのか」
「当然です、生きていますよ、それと時間加速もおわりましたよぅ~」
「そうか、やっと終わったんか」
俺は起きあがろうと体を動かすが動かない
「主さん、今はまだ動けませんよ、少しの間はそのまま安静にしていて下さいね」
俺はマリアンヌに目をやり
「なぁマリアンヌは無事か」
「ご心配なく瀕死ですけど生きていますよ」
俺は安堵し
「そうか、俺達はこの地獄を乗り切ったんやな、感謝するでアレグリア」
「あら~もっと感謝しても良いですよ~」
声はおちゃらけているが
肉体的には限界に近いだろう
「では主さん、私は少し休ませてもらいますよ」
「あぁ、ありがとうな」
俺は天井に目をやり
「耐えた、生き残れた」
ここ1ヶ月の激痛はまるで悪い夢だったかの様に無い。
「まぁ晴々とまではいかんが、悪くない気分や」
マリアンヌはまだ意識が戻っていない
出来ればベッドまで運んでやりたいが
「俺も指一本動かせへんのよね~まぁ後2~3日もすれば動くでしょう、マリアンヌそれまで我慢してな」
この1ヶ月共に死ぬほどの痛みを味わってきた仲間だ
俺の中に絆みたいなものが目覚めている
「さてマリアンヌから答えが出る日も近いな」
あの時マリアンヌは楽になりたいと望んだ
俺はその意志に反して耐えろと言った
その選択の結論がもうすぐ出る
結果的にはこうして生きていられてるのだが
果たして
「俺は正しい選択をしたと思ってる、例えマリアンヌが俺から離れて行こうとも後悔は無い」
色々考えていたら強烈な睡魔がやってきた
人間とは何とも現金な生き物である。
「今考えてもしゃーない、休養は大切やからな」
俺は目を閉じ眠りにつく。
どれくらい眠っただろう
声が聞こえふと目を開ける
「マリアンヌ意識が戻ったのか」
恐らく泣いていただろう
その事には触れず意識が戻った事を喜んだ
「ジ、ジン私達は助かったのですか、時間加速はどうなりました」
「時間加速は終わったよ、俺達はあの戦いに勝ったんや」
「あ~あ良かった本当に良かった、ジンしかし私は聖職者としてあるまじき発言をしてしまいました」
「気にするな、あの苦痛に耐えられる奴なんて誰も居ないよ、俺達もアレグリアがいなければ間違いなく持たなかった、だから恥じる事なく胸を張って良いんだ」
マリアンヌは泣きながら
「良かった、本当に辛かったわ」
「あぁマリアンヌは頑張ったよ、もしその事を笑う奴や恥じれと言う奴がいるなら俺が絶対に許さん」
「えぇ、ジンありがとう」
マリアンヌ泣いて笑った
「とりあえず今はゆっくり休む事だ」
「そうね、おやすみジン」
「あぁおやすみ」
それから2日後
「あ~た~しい朝が来た~ぁ~~と、体が動くって何と素晴らしいんや」
マリアンヌはまだ起き上がれるまでにはなっていないが順調に快方に向かっている。
「さてとカレンさんも早く状況を知りたいと思うし俺も知りたい事が山ほどある会いに行くか」
俺は扉に掛けた封印を解く
ふと扉の横にある鏡を見る
「う~ん何処が変わったんやろ全然分からん、目線が高くなったから身長は伸びているんやろうけど、まぁどうでも良いや」
己の顔などに興味は無い
俺は扉を開ける
扉の横にいた警備兵が俺を見るなり
「ジン殿?ですよね」
「そうですけど何か」
「失礼しました、ここに来た時とは見た目がかなり変わられたので」
「そんなに変わりましたか、自分ではサッパリなので」
「ところでもうお体は大丈夫なのですか?」
「この通りです、それでこれからカレンさんに会って話をしたいのですが可能ですか」
「少々お待ち頂いてもよろしいですか」
「じゃあ俺は部屋にいますので」
それから一時間後
「ジン殿お待たせしました、カレン様の準備が整いました、今からご案内します」
警備兵の後をついていく
初めて見る扉の前で止まり
「コチラです、中にどうぞ」
「ここって前は無かったですよね」
「はい、最近完成したカレン様の部屋です」
警備兵が扉をノックし
「ジン殿をお連れしました」
そうゆうと中から
「どうぞ」
カレンの声が聞こえてきた
俺が部屋に入ると警備兵に
「ご苦労様でした、下がって良いですよ」
「ハッ」
警備兵が出て行くと
「ジン、よくぞご無事で」
「カレンさんをはじめ皆さんに心配をお掛けしてコチラこそすいません」
「こうして戻られただけでも私は嬉しいですよ」
「ところで幾つか聞きたい事があるんですが」
「えぇ、何でもどうぞ」
俺はまずこれまでの事をカレンに話した
冥府に飲み込まれた理由、マリアンヌの事、冥府には時間が無い事、コチラに戻ると止まっていた時間が動き出し元に戻ろうと加速する事を伝えた
「まぁそうだったんですね、私は冥府の事は良く分かりませんのでとても興味深い話でもありますね、それより聞きたい事とは?」
「聞きたい事はとりあえず二つ、まず俺が冥府に飲み込まれてからどれぐらいの月日が経ったのかと、後一つはパラミア達が出発してからの月日です」
カレンは少し考える仕草をし
「そうですね、ジンが飲み込まれてからは1年半以上、パラミアさんが出発してからは約1年位でしょうか」
その答えに愕然となる
「い、1年半!!、じゃあ1ヶ月で1年半の加速があったんか、そりゃ~死ぬ思いもするわな」
考えるだけで身震いがする
「そうか~パラミアは1年前にかぁ、随分と遅れたもんや」
もはや次の大陸にはいないかも知れない
だが
「俺も早く後を追わんといかんな」
「マリアンヌさんが回復するまで万全の準備を整えて下さい」
「はい、そうさせて頂きます」
カレンにお礼を言って部屋を出る。
107「マリアンヌの過去」をお楽しみに