2.目が覚めたら二人の娘とイチャコラと
いつの間にか眠りに落ちていた。
「あー熟睡してたわ。今日はつかれたからなぁ」
体を起こそうと床に手をついた感触でそこが畳の部屋だと思い出した。
夕方の涼しい風の入る夏の午睡、やっぱり畳は良いよなぁ。
旅館かな?あれ、こんな部屋いつ取ったっけ?
そうだ勅使川さんだ。
課長に連絡入れなくちゃ
背広のポケットから携帯を取り出すが充電が切れている。
あれ?切れるの早いな。
寝汗をかいて気持ち悪い。
上着を脱ぎ捨てネクタイを外す。
のどが渇いた。
部屋の中はもう薄暗くなっている。
ライトも欲しかったが仕方がない。
充電器は車か・・
めんどくさいから連絡は後でいいや。
適当な性格が顔を出す。
2,3日ゆっくりしてれば良いって言ってたし。
あれ?勅使川さんが行方不明で・・あれ?・・
勅使川さんと会ったよな俺。
記憶が混乱している
夢と現実が混ざり合ってぐちゃぐちゃだ。
「ストレス溜まってたのかなぁ、俺。課長が休めといったのはそのせいなのか?」
自分の勝手なご都合まで混ざり合って頭の中がぐちゃぐちゃになってる。
いや、俺は山で足をすべらせて、異世界に飛ばされた夢を見ていて・・どこかに運び込まれた?
「あ、勅使河原さんの奥さんが・・」
繋がらない記憶をつなごうとして頭がボーっとしてきた
トントントン
引き戸をノックする音だ
トントントン
「失礼いたします」
引き戸が開かれ、逆光の中だが和服姿の女性のシルエットとわかる
「やっぱり」
「大変失礼致しました。お休みになられてましたか?」
「いえ、今さっき起きたところで」
「明かりをつけますね」
部屋の中央まで入ってくると片手を上に上げた。カチッと言う音とともに部屋が明るくなる。
今どき白熱電球。
あ、奥さんじゃない。
再び戸の近くまで戻り、座っているのは中居姿の若い女性だ。
「お食事をお持ちしましたのでご用意致します」
そう言って立ち上がると次々に料理を運び込み、テーブルに並べていく。
あっけにとられていると、
「お飲み物はビールでよろしいでしょうか」
薄いガラスのコップを持たされ、ビールが注がれた。
「いやぁビールだよ。もうのどが渇いてさぁ、あぁうまいぃ
カァーーーッ最高だよ」
一気に飲み干すともう次が注がれる。
ニコニコと微笑みかけてくれる仲居さんがカワイイィ最高。
「フゥー」
二杯目を半分ほど飲んで息をついた
その間にもう一人女の子が飯櫃やら鍋やら運んでくる。
こっちの子も若い。
「今日は暑いよね、和風で風情が有って良いけど、着物大変じゃない?でも君ら可愛くて最高だわ」
「ふふふ」
「若いねぇ、君たちバイトの子?」
若い女の子の笑いがこぼれる。最高だ。
「もう今日は仕事大変でさ、汗だくになっちゃったんだけど、疲れて寝ちゃったんだよね。風呂は何時までやってる?」
腕時計で時刻を確認しようと思ったが無い。
あれ?背広のポケットかな?と思って横を見たら、背広をハンガーに掛けてくれてるじゃないですか。
「あ、ありがとう」
「大変申し訳有りません。本日はお風呂をご用意出来ないもので、ご容赦くださいませ」
「・・・・・・・・・・・・」
思考が硬直した
女の子が一人部屋を出ていったかと思うと少しして湯桶を持って戻って来る。
「そう言えば勅使河原さんが風呂はないって言ってたな」
勅使河原さん?あれ?
現実と夢の記憶が錯綜する。
「あれ?ここ旅館だよね、俺、誰につれてきてもらったんだろ」
どうしても記憶が繋がらない気がする
「フフッ高木様のお世話をさせていただきます。勅使河原の娘でさおりと申します。よろしくお願いいたします」
「さおりの妹のしおりと申します。高木様、お風呂はございませんが、お背中の汗をお拭きいたしますので、コチラにお背中お向け下さい」
座布団ごとグルっと90度回されてバランスを崩すが、しおりに背を支えられ、あぐらの両足を投げ出しはしたがひっくり返ることはなかった。さおりは前に回って俺の両足の間に膝をつき、俺のYシャツのボタンを外し始める。
「えっ?」
あまりの手際の速さに言葉が継げずボケッとされるがままにその姿をただ見ている。
ベルトを緩めるとシャツの裾を引っ張り出す。
袖のボタンを外すために前へ倣えの姿勢を取らされ、シャツが剥ぎ取られたあともその姿勢のまま硬直した。
さおりがシャツをハンガーに掛け、もう一つの湯おけを取りに言っている間に、しおりは背中を手ぬぐいで拭き始めている。
しおりが戻り俺の手を優しく握ると片腕づつ優しく汗を拭いてくれる。
上目遣いで見つめられ、俺は緊張してしまい身動きができなかった。
腕を持ち上げ脇を、そして胸を拭き始めた頃にはさおりの顔が密着するほど近づき、思わず目を瞑ってしまう。
目を瞑ってしまうと、優しく触れる手の感触がよりダイレクトに強く脳味噌に痺れをもたらす。
脇腹、下腹と進むにつれ、もう俺の脳味噌は300m上空まで登ってしまって・・・
「高木様?髪の毛を流しましょう」
後ろからしおりの声が掛かる。
さおりが俺の横に回り、赤子を抱くように俺の首を支えながら、俺を仰向けに倒してくれて、また違うところに歩いていった。
仰向けになった俺の首の下に柔らかいものがある。
薄目を開けて状況を確認すると着物の裾を捲り上げた素足の太もものうえに俺の頭が乗っている。
しおりの両ふとももの間に湯おけが置かれ、その上に俺の頭が有る格好だ。
しおりは片手で頭を支えながらもう一方の手で優しく頭を湯で濡らし、何度か髪をすすぐと、なにかを手に取り髪を泡立てて行く。
髪の毛をこすられて頭が左右に揺れる。俺がもう少し視線を左に向ければしおりの両足の奥は丸見えだろう
ヤバイ、耳たぶに触らないでくれ、いや気持ちいいんだが、だめだ。
「足をすすぎますね」
足元からさおりの声
靴下を脱がされ、素足にさおりの手が触れる。
くすぐったい。
「おしりをすこし上げて下さい」
「えっ!」
思わず体を起こそうとするがしおりに頭を抑えられる
「動かないでください、動くと私濡れちゃいますので」
為すがままに腰を持ち上げればスルスルとズボンが脱がされ、ハンガーに掛けられる。
さおりはその足で扇風機を頭の近くに持ってきて、新しい布をしおりの渡すと湯おけを片付ける。
しおりは頭を支えながら髪の水気を拭き、扇風機の風を当ててくれている。
足元ではさおりが温かな湯で足指を丁寧にすすぎ、その手は脛、ふくらはぎ、ももへと進んでいく
髪の毛の水分も粗方軽くなったが、しおりの手は優しく髪をなでてくれている
高木の高木はもう目一杯まで硬直している。
そう、こっちの世界へ来たときに高木の身体は若返っている。
恥ずかしさに両手で顔を覆ってしまった。
しおりはその両手を胸元に持っていき、自分の手を俺の両目の上に置いた。
最後の着衣が脱がされて温かな布で隅々まで清められていく。
優しく握られ上下にこすられた後、布とは違う温かな柔らかい濡れた感触。
若い体はすぐに吐出に至り、その後拭き清められた。
その感触にまたムクムクともたげてくる高木だが、
さっきまで白い霧に覆われていた思考がスッキリとしてくる。
他にもスッキリしたようでスッキリしきれない事があるけど・・・
こんな事までやるなんてやりすぎじゃないか。
どうなってるんだ。
最後まで黙ったまま至ったくせに勝手すぎる思考が浮かんできたわけだが、どうにか口に出すのは押し留めた。
生涯初めての経験に感謝の念が先に立つ。
「どうしてここまでしてくれるんですか?」
「父から、高木さんは王族に連なる高貴なお方かもしれないと聞きました」
「高貴なお方ならこうしたお世話をして差し上げるのはコチラの世界の習俗ですので、高木さんはお気になさらずコチラのやり方にお任せ下さい」
そう言いながら、袋から出された新品のパンツを両手で広げて待っている
幼児がされるようにそこに片足ずつ差し入れると、パンツは上まで引き上げられた。
「父のものですが新品ですので」
余分なことは言わなくて良い。
さおりは浴衣を両手でささげ、着せる用意になっていたが
しおりが
「上の下着はお召になりますか?上は新品がございませんでしたので私のものなのですが・・
きれいなものですので失礼でなければ今日の所はこれで・・」
しおりが広げて見せてくれたのはウサギちゃんのプリントされたTシャツだ。
若返って少し華奢になった高木の体型にしおりのTシャツはサイズが合いそうだ
「あ、それで構いません」
(いや、最高だろ)
浴衣を着せられ、帯を締められ、再び思考が復活した俺は、腹が減っては戦は出来ぬと、食前に戻りビールを注がれる。
さっきのは一戦とは言わないよね、俺、されるがままだったし。
肉の入った鍋の下の固形燃料に火が入れられる。
里芋やら人参やらの煮物はさっきまでまだ少し温かかったのだろうが、冷めても充分美味い。
塩の強い漬物は白飯によく合うが、
冷めた飯には温かい汁をかけろと勧めてくれる。
素朴な料理だがどれも俺の口に合うものばかりだ。
俺、この生活が続くなら元の世界に帰らなくてもいいかもしれない。
帰っても俺は少年の姿になったら仕事は続けられないし、やったとしてもバイトがせいぜいだ。
身分証明はどうすれば良い、15、6歳の顔で27歳ですって言ったって信用されるはずがないし
証明書の写真の顔と違っちゃうだろ。
どうにかならないかなぁ・・
どうにもならないよな・・
勅使河原さんと相談するのが一番いいのかも
あの人はよく知ってるはずだし・・
飯を食いながら、自分が籠絡されてることも自覚してきた。
ハニトラだよな、これって。
さおりとしおりの顔を見ながら
とりあえず巻かれて見るかと、また再び適当な性格が顔を出した。
「さっきね、俺のことを王族と連なるうんたらって言ってたでしょ?あれってなんなん?」
「父が言ってましたよ。高貴な方かもしれないって」
「父も王族と血縁が有ってこの世界に来たんです」
「勅使河原さん王族なの?」
「王族ではないんですがそれに連なる血族ということで一応子爵の位を頂いてます」
「子爵?貴族ですか・・何か西洋っぽいね」
「まぁ父が作った官位なので・・王弟の娘婿なので子爵あたりが良いんじゃないかと」
「あ、奥さんこっちの人って言ってたわ」
「こっちでは血のつながりってすごく重要視される。向こうとは違うと父は言います」
「お母さんだけ向こうじゃ君たちもさみしいね」
「あ、奥様はお母さんじゃないです」
「え、あ・・あっちとこっちに・・あぁ」
「まぁそれも向こうと違うことの1つらしいですね」
「俺もこっちのことを知らないといけないのかなぁ・・出来たらこっちのことを教えてほしいんだけど構わないかな」
「それはもちろん、喜んで。そのために居るんですからwどうしましょうか、この国の始まりの神話当たりからお話しましょうか」
「そこからですか。うん。ありがとう、お願いします」
そう言うとさおりは少し身を正すように体を左右に動かし、しおりは目を輝かせて乗り出すようにその顔を見つめた。