ギルド
光陰矢の如し。
時間はびっくりほど過ぎていた。
僕は十歳から、十五歳になり、アリスとしての生活も慣れた。
体付きもトレーニングのお陰で良くなり、強くなることへ確実に進んでいる。
ただ、その無駄に大き胸はなんとかしてほしいものだ。邪魔だし、重いし。
そして、困ってることはもう一つ。
「むむむむ……お姉様の、ポニーテイル、美味しいです」
「あの、アンジュさん?」
朝起きると、妹のアンジュは当たり前の様に隣に寝てて、そして僕の胸を揉みながらポニーテイルをしゃぶってる。
「おはよございますお姉様、今日も綺麗です」
「まずは離れててくれないかな……?」
「あらあら、私としたことが」
「いやいや、わざとだろう」
歳を重ね、僕とアンジュの関係は上手く進み、今はただの仲良し姉妹……
のはずだが……
「どうしてここにいるの?」
「お姉様を起こしにきてら、お姉様がおいしいそうね寝てて、ついに……」
「おっぱいを揉み、ポニーテイルをしゃぶったと?」
「そうです」
「な訳あるか!」
アンジュの距離感は、明らかに近い。
ボディタッチはもちろんのこと、セクハラ紛いのこともしに来る。
昔の寂しいさの反動かもしれないが、でも……
「君、他の人にも同じことしてない?」
「そんなことありません!そんなことをするのはお姉様だけです!」
「それならいいが……」
まっ、仲良しはいいことだ。
表のアンジュは僕と違ってまともな王女様だしな。
「僕に甘えたいのは別にいいが、もうちょっと節度があってほしいな」
僕はそう言いながら、アンジュの頭を撫でる。
「はい、お姉様!」
「(お姉様の優しい顔、素敵~)」
「お……お嬢様たちが!!!!!!!!!!やってる!!!!!!」
「え?」
「ちっ……邪魔が来ました」
部屋の前にいるマリアさんが悲鳴を開けた。
そうか、他人から見れば、僕はベッドでアンジュと一緒に寝ている。
え……?
「アンジュ、なんて裸なの!?」
今まで布団に被られてるから見えないが、まさかアンジュは裸である。
これならやっている見えるだろう。
「す!すみません!私、お嬢様のそういう欲を見抜けなくって!不肖マリア、お嬢様をご奉仕します!!!!」
「やー、お姉様のえっち」
「何やってんだ君らあああああ!!!!!!!!!!」
僕、妹と使用人の育ち方を間違ったのかな?
「よし、今日はギルドへ行きますか」
昼、トレリングに行ったら師匠がそう言いだした。
「とりあえず、お姉様を離してくれませんか?カリンさん」
「なんでよ~アリスちゃんの筋肉、触り心地いいだもん」
「お姉様の筋肉は私のものです、誰にでもあげません」
「アリスちゃんは私の弟子です、筋肉を育てたのも私です、あなたにあげません」
「むむむ……!」
「むむむ……!」
アンジュは暴走した一件以来、僕と同じカリンさんの元に弟子入りした。
それにして、何言っているのかはわからないが、相変わらず仲良しだな、この二人。
「仲良くしてるとこ悪いが……」
「「仲良くありません!」」
「仲良いじゃないか……ギルドへ行くってどういうことですか」
「そうだね、忘れるとこでした」
「忘れないでください、年増さん」
「うるさいわ!それより、今日は、アリスを連れてギルドへ行くことにする」
「でもどうして?」
「もうそろそろギルドでクエストを受けるのもいい年頃と思いました」
「クエスト!?」
クエストって、あのダンジョンとかで魔物とやり合うクエスト!?
別に僕からすれば強くなれればどうでもいいんだが。
「私は王女ですよ!そんなとこ行ってもいいんですか!?」
「大丈夫、王様に『アリスちゃんが冒険者になりたいらしい』って言ったらあさりと受け入れました」
それでいいのか、お父様!?
「あの、私は?」
「え?アンジュちゃんはまだ聞いてないですけど」
「どうしてですか?私もお姉様と一緒にクエストしたいのです」
「だって……」
「ど う し て で す か ?」
「わかりました、今度聞いてみますから……」
まさかアンジュもクエストがしたいとは、お姉ちゃんびっくり。
でも今度は流石にお父様でも受け入れないだろう。
ちゃんとした姫がなくなったら、国の未来が危ないし。
すまんね、アンジュ。
「じゃ、僕行ってくるね」
「行ってらしゃいお嬢様」
「今度は私も連れて行ってくださいね!」
こうして、僕たちは屋敷から離れ、街にいるギルドへ向かう。
「ここがギルドか……」
街へ到着し、ちょっと歩いたら、明らかにザ・ギルド的な建物が現れた。
強そうなおっさんたちが中に集まってて、可愛いらしい受付嬢、たくさんクエスト内容らしい紙が貼ってるボード。
改めて自分はファンタジー世界で生きているということを思い知った。
ギルドに入る途端、周りが騒ぎ始めた。
もしかして姫であることがバレた?って思いながらソワソワした。
そんな僕を構うずに師匠は「クエストを見に行きますね」と言い、僕を一人にした。
おいおいおい、これでいいのか、我王女ぞ?
「(ソワソワするアリサちゃん、可愛い〜)」
なんか寒い気配がしたけど、気のせいかな?
そんな感じで棒立っていると、一人の冒険者は僕の方へ来た。
もしかして、身分がバレたか!?
「お嬢ちゃん、何しに来た?」
その冒険者は、ざ・ファンタジー世界のキャラのような鎧を着ており、顔たちはなんか、中々悪そうに見える。
「クエストを受けにに来たけど?」
「冒険者?お前が?」
「そうだけど?」
僕は自分の服装を見る。
革で作った服の上に鎖帷子、冒険者に見えなくもないけど?
「ここは遊び場じゃないぜ?遊びたいのなら家に帰ってママのおっぱいでも飲みな〜」
「ははははっ」と、やつを含めて、周りの冒険者たちは笑い始めた。
なんという民度の悪ざ……
でもわからなくもないが、相手は真面目に冒険者やってるのに、そこで僕みたいないいとこのお嬢様が来たら、バカにしたい気持ちはある。
でもこっちだって遊びでやってるんじゃないけど。
「そんなにクエストしたいのなら、俺にはもっと楽しい『クエスト』があるぜ」
そう言いながら、あの冒険者は僕の胸を見つめる。
今度は体目当てか。
僕だってこんなエロい体になりたいわけじゃないけど、ヒロインだからこう設定されたの!
「うわ、キモ」
僕は思わず、彼をディスた。
「なんだあてめえ!?」
やばい、怒らせてしまった。
そして、彼を拳を上げ、僕へ殴りかかる。
おいおいおい!?冗談じゃないぞ!?いきなり殴るのかよ!?
僕は慌てて彼の拳を掴む。
「え?」
そして、力の流れに乗せ、彼の腕の方向を曲げる。
すると、彼は扇風機の様に、勢いのまま1回転、そのまま地面に堕ちる。
「え……?」
彼は何か起っているのかわからなく、ただ地面に座るだけ。
周りの冒険者も言葉を失った。
あれ、僕、何かやっちゃいますた?
正直、あの冒険者がこんなあっさりと僕の技に乗るとは、僕も思うわなかった。
「貴様……!俺と決闘しろ!!」
我に戻った冒険者はそう僕へ叫んだ。
え?決闘?どういうこと?
「試しにやってみて」
戻ってきた師匠、そう言いながら僕の肩を叩く。
おい、他人事すぎないか。
「今から決闘だ!冒険者・アレクス vs お嬢ちゃん・アリス!!!!!」
気付けば僕はキルドの訓練場に居て、周りにはたくさんの冒険者が集めた。
「可哀想なお嬢ちゃん、あんなにキレたアレクスを見るの初めてだ」
「でもあのお嬢ちゃん、あっさりとアレクスの拳を防げたぞ」
「どっちが勝つにせよ、今回の決闘は面白そうだ」
「ええええええ」
目の前に大きな斧を持ち、硬そうな鎧を着てる……アレクスを見て、僕はビビった。
僕には勝ってるのか、あいつを。
でも、これを売られた喧嘩だ、やるしかない。
「おいお嬢ちゃん、なんの武器も持ってないけど、俺を舐めているのか!」
「いや、この拳こそが僕の武器だ」
「やっぱ舐めてるんじゃあねえか貴様!殺す!」
「こっわ!?」
やばい、全力でやらないとこっちがやられてしまう!?
「試合開始!」
アレクス視点
このクソガキめ、この俺をバカにしやがって!
なにが拳が武器だあ!
泣いても知らねえぞ!
「試合開始!」
今かのこのクソガキを……あれ
あいつ、消えた。
パンッ!
足に、衝撃?
いつの間に、魔法?
バランスが保たない、堕ちる。
ガキ!?いつの間に、俺の前に!?
顎が、何かに触れられた。
視界が、ぐるぐるする。
あれ、俺は、一体……
「ダウン!!!!!!!!!!!!」
アリス視点
「試合開始!」
やるしかない!
僕はまず魔法を使う。
人体は、電子信号に操られるもの。
電子信号により、手足が動く、体は反応する。
そして、正しいとこに電撃を喰らえば、筋肉は一時強くなり、体の反応速度が上がる。
そこで、僕は足の筋肉と頭に薄弱な電撃を与え、足の筋肉を刺激し、頭から脳内麻薬を排出させる。
これによって、足の力が増え、頭の反応速度が限界まで高まる。
これが僕が自分の弱い魔力で思いついた、僕だけの魔法。
「『神速』」
脱力し、体を最大までリラックスする。
そして地面に落ちそう時、足に電撃を浴びせる。
一気に大地を蹴る!
そこから、最大限の速度で、アレクスへ突っ込む!
そこからアレクスの足へ全力のカーフキック。
アレクスのバランスを奪い、視点の高さを同じにする。
視線があった瞬間、僕は手をあげ、アレクスの顎に拳を当てる。
おやすみ、アレクス。
普通の正拳突きは、体全体から20箇所の関節を動かせるのが必要。
でもこの近距離で、確実にアレクスを倒すには、正拳突きの動作が多すぎる。
そこで、20箇所の動きを、肩、肘、手首の3箇所に減らす。
無駄な動きを封じ、確実で正確にアレクスの顎を打つ。
「『寸勁』」
顎の先端を確実に捉え、その力をてこの原理により、脳の方に伝わる。
そこから彼の脳はまるでピンボールゲームの様に、頭骨の中に激突を振り返す。
それが、脳震盪の症状。
彼の脳は激突のせいで機能を失い、やがてブラックアウトする。
「ダウン!!!!!!!!!!!!」
その間、実に二秒!!!
「おい!アレクス!大丈夫か!」
「嘘だろう!?」
「よくやりました、アリスちゃん」
「あれ……」
僕、強くねえ?




