妹
「アリスさん、何をやっているのです!」
「すみません……」
「貴女はこの国の王女なのです!なのになんですかその姿は!」
僕は今、メチャクチャ怒られてます。
僕はエロゲーのことに気を取れれすぎて、忘れてしまった。
アリスは、この国の王女であることを。
「なんですかある座り方は!もう一度やり直し!」
「はい!」
今僕は、マナー教育の最中である。
王女にとっては当たり前のことだ。
「アリスさんが久しぶりにここに来てくれたらと思いきや、マナーのこと全部忘れたじゃありませんか!」
最初は記憶でなんとかなるだろうと思ったが、そうはいかなかった。
なんと、アリスのやつ、いつもマナー教室をサポてる!
その気持ちはわからなくもないが、君ほんとに王女なの!?
こういうことで、僕はわがまま王女のせいで、先生の怒りを受けでいる。
「見ててくださいアリスさん、アンジェさんを!」
「その品性高潔さ、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花のような姿!それこそが王女であるべき姿なのです!」
横を見ると、そこには一人の美少女がいた。
アンジェ第二王女、僕と同じくこの王国の王女で、ゲームのヒロインでもあり、僕の妹でもある。
長い金髪、穏やかな顔付き、まさにザ・王道お姫様のようなキャラ。
ゲームの中だと、彼女はその美し容姿と優しい性格で、民から慕われている。
でも今の彼女は……
「!」
「(椅子の後ろに隠れた……)」
僕が彼女を見た瞬間、彼女を脱兎の勢いで逃げた。
嫌われているかな……僕って。
「どこを見ているんですか、アリスさん?」
「はい!すみません!」
結局その後も、僕とアンジェは目があうことはなかった。
「アンジュ!」
「……!」
「アンジュおはよう」
「おは……よう!」
「ちょっと!……行っちゃた」
僕とアンジュの関係は、とてもじゃないが仲良くとは言えない。
彼女は基本、部屋に籠ることが多い。
たまに家でお互いに会うことはあるが、いつも先のように僕から逃げる。
まあ、昔の僕はわがままお嬢様だから、何か怒らせことをしたかもしれない。
でも、さすかこのままのわけにわいかない。
ヒロイン同士で、それもせっかく兄弟になったから、出来れば仲良くなりたい。
それに、前世の僕は一人っ子だから、こんなに可愛い妹ができるなんてまさに夢である。
だから僕は決めた、自分から攻めること。
「マリアさん、アンジュと仲良くなるにはどうすればいい?」
部屋に戻った後、僕はすぐマリアさんにアンジュついでの情報を問いかける。
「お恥ずかしいなのですか、私はあんまにアンジュお嬢様と接していないので……」
「それもそうか……」
マリアさんは僕の専属メイドだから、アンジュのことが知らないのもおかしくはない。
「でもどうしていきなりアンジュお嬢様と?今まであんまにアンジュお嬢様の話をしないのに?」
「いや……いつも彼女に避けられじゃダメだらと思って……」
マナー教室で僕を避ける姿を思い出すと、心のどこかが辛くなる。
可愛い子に拒絶されるってこんなに辛いんだなって、改めて思い知った。
「それに、僕は一応彼女のお姉ちゃんだから、だからちゃんと姉ちゃんらしいことをしたいんだ」
「……」
「マリアさん?」
「わ”た”し”感”動”し”ま”し”た”!!!!!!!!!!!!」
「え!?」
黙っていると思いきや、マリアさんは急に泣き始めた。
「どどどうしたの!?」
「だって!あの唯我独尊お嬢様が!お姉ちゃんとしての責任感を!”感”動”す”る”し”か”あ”り”ま”せ”ん”!!!!!!!!!!!!」
「あの、僕、バカにされてない?」
「心配しないでください!このマリア、全力でお嬢様のお助けします!!!!!!!」
「あ……ありがとう」
そこから、僕はマリアさんからたくさんアドバイスを貰った。
「贈り物か……」
マリアさんからよると、まずは贈り物からすべきと。
贈り物をあげることによって、アンジュの僕への警戒心を減らすということ。
「厨房、使ってもいいかな?」
前世の僕は甘いものが大好きで、甘いもの欲しいさのあんまりに、自分からお菓子を作るようになった。
やはり贈り物をするには、甘いものが一番かと。
だから僕は贈り物として、アンジュにクッキーを作りたいと思った。
最初、マリアさんは「お嬢様、火を使ってはいけません!」と心配してたけど。
僕が作ったクッキーを食べた途端「う”ま”い”!!!わ”た”し”は”幸”せ”も”の”で”す”!!!!!」と泣き始めた。
そんなにうまいなのかな、僕のクッキー?
そして今、僕はアンジュの部屋の前で立っている。
「アンジュ、いる?」
僕はドアを叩き、そして間も無くドアが開いた。
「誰です……」
「よお」
「……」
パンッ!
僕だとわかった瞬間、ドアが閉まった。
「待って!待ってくれアンジュ!話があるんだ!」
僕は袋を持ち出し、香りでアンジュを釣れようとする。
「クッキーを作ってきたんだ、よければ一緒に食べてくれ!」
ガチャ。
僕がクッキーが入ってる袋を開いた瞬間、ドアも開いた。
「わたし……食べてもいいですか……」
「もちろん!」
「むむむ……むむむ……」
「あの、そんなに急がなくでも……」
部屋に入って、僕がクッキーを彼女に分けたら、彼女を一気に食べ始めた。
腹が減ってるのかな?いや王女だしそんなことはないか。
「ど……どうだった」
「すごく……美味しいです……」
「そっか、なら良かった」
先のたべっぷりからわかるが、クッキーを気に入ってくれたみたいだ。
「やはりすごいです……」
「?」
彼女は何かを呟いたが、僕には聞こえない。
「なんでも……ありません……」
アンジュは顔を地面に向け、どうやら僕の顔を避けているようだが。
やっばり僕って嫌われているのかな……
「それより……話は……なんですか……?」
そこで、彼女は本題を持ち出した。
そうだな、僕も腹をくくかないと。
僕は深呼吸し、次の言葉を放つ。
「今まで、本当にすみませんでした!」
「え?」
「何をしたのかはわからないが、アンジュは僕が嫌いだよね?」
「え?え?」
「今までしてきたことは謝るから、もう一度僕とやり直してくれないか!」
「僕は、君と仲良くなりたいんだ!お願いします!」
僕は深く頭を下げた。
「え!?待ってください!?なんの話ですか!?」
「え?」
アンジュは僕の言うことがわからないように、僕に問いかける。
「アンジュは僕のことが嫌いよね?」
「なんてそんのこと!?」
「だってアンジュ、いつも僕のことを避けるじゃん、この前だって……」
「ええ!?」
なぜアンジュは困惑しているのか、僕はさっぱりわからない。
「私はてっきり、自分の方が嫌われているかと……」
そこで、アンジュから思ったことのない言葉が聞こえた。
「え!?なんて!?」
「私、性格暗いし、弱気だし、それに……」
「そんなことない!」
「ひい!?」
アンジュの自虐の発言を聞いて、僕は思わず彼女の手を掴んだ。
「アンジュは可愛いし、大人しいし、素敵な女の子なんだ!」
「え!?」
「正直、僕なんかよりよっぽとお姫様らしい!」
僕は今までアンジュに対しての印象を思い出す。
彼女はあんまり笑顔を見せないが、たまり褒められる時は素敵な笑顔を見せてくれる。
普段の振る舞えだって、お淑やかで、使用人のみんなにも優しい。
実際、ゲームの中だと彼女は立派なお姫様だ。
「僕は君のことを嫌っていない!だから、僕と仲良くなってくれないか!」
僕は全力で、アンジュに問いかける。
「本当に……私でいいの……?」
「君じゃないとダメだ!なぜなら!」
「君はこの世で、僕の唯一の妹だからだ!」
「本……本当?夢じゃないよね?」
「本当だ!」
「私で……よければ……」
「はい!」
「私と……仲良くなってほしいです」
「もちろんだ!」
僕は彼女を抱きついた。
「これからも、よろしくな!」
「ありがとうございます……お姉様……!」
なんだかちょっとすれ違いがあったが、僕たちは仲良くになった。




