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覚醒

「この私にこんなことして、お父様が許す筈がありませんは!」


目の前にいる男に、女の子が叫んでいる。


でも女の子の抵抗的な態度に当てられるにも関わらず、男は冷静である。


「ククク、喚くがいい、むしろその方がいい」


女の子を見下ろし、男はとびっきりな笑顔を見せた。


「なにせ、あなたがどう叫んでも、助ける人が来ないからな、ハハハハハ」


「この下衆が……!」


女の子の罵倒を無視して、男は背中の方を見て、何かを手招きした。


「残念だが、あなたがこうして強がられる時間もここで終わりだ、君もそう思うだろ、森の魔人」


「その通りでございます」


すると、男の後ろかな、何者かが姿を現した。


それは、木の様な皮膚を持ち、体のところどころに枝の様なものが生えてる大男の姿であった。


「なんですのあなた! 私にどうするつもり!」


「それは、ね?」


「わかりました」


「きゃ」


気付けば、女の子の足元から木の蔓が地面を破って、女の子の足や手に絡みつく。


「離せ、離しなさい!」


「あとは君に任せた」


女の子がどう足掻いても、木の蔓は動かない。


木の化け物はそのまま歩き、女の子に近づく。


「この女を犯せ」


「何……」


「分かりました」


そう言った後、男は背中を向け、この場から離れた。


「やめろ!何するのですか!来るな!来るな!」


女の子は恐怖のあんまりに、涙を流し、泣き叫んでいた。


「大人しくしていれば、痛いことはしない」


「やめろ……!やめてください……!ああああああああああああああああああ」


「あああああああああああああああああああああ」


「おう、やっと起きたね」


僕は叫びながら、地面から飛び上がった。


慌てて周りを見だたす、そこにはただ夜の森と、燃えているキャンプファイヤー。


男も、木の化け物も、どこにもいない。


「ここは…… ここはどこ!?」


「落ち着いてください」


すると、目の前で見覚えのある姿が現れた。


「師匠……!」


「怖い夢を見たかもしれないが、今は安全です」


「夢…… 今のは……」


僕はドキドキしながら、先まで見た光景を思い返した。


男、森の魔人。


間違いない、僕が見たのは前世で見たエロゲのエロシーンだ。


そして、あれが、今の僕が向かってる未来。


そう考えると、僕は怖さのあんまりに震えが止まらない。


「倒れる前のこと、覚えていますか?」


「倒れる……前?」


師匠の言葉を聞いて、僕の意識は現実に引き戻された。


倒れる前の僕は、確かに……


「何を怖がってるのかは分かりませんが、あなたは先まで一人でサイクロプスは倒しました」


「そうだ…… 僕は……」


「今のあなたには、怯える物などいない、だから落ち着きなさい」


「あ…… はい!」


そうだ、僕は強くになるために、師匠の元で修行している。


あの光景は、僕の未来なんかじゃない。


僕は自分の力でエロシーンを倒し、みんなを救うんだ。


「ありがとうございます、師匠のおかげで落ち着きました」


「それならいい、あなたも起きた所で……」


師匠はそのまま立ち上がり、森の方に向かって……


「うわ!?」


戻った時、彼女はサイクロプスの死体を手で引いている。


「今からは反省会です」




「今日のあなたのパフォーマンスは悪くありません」


キャンプファイヤーの周りに座り、僕たちは反省会を始めた。


「鞭打でサイクロプス倒すという発想は良かった、流石です」


「ありがとうございます……」


「でも」


師匠の「でも」を聞いて、僕は思わず息を止めた。


今からは僕にとって大事な話だ、ちゃんと聞かなければ……!


「今のあなたの弱点もはっきり見えました」


「僕の……弱点」


「要するに、基本能力の不足です」


「基本能力って、どういうことですか?」


「あなたはちゃんと私の教えを学び、吸収してくれました。でも、体はそれについていってない」


師匠は手はあげ、二つの指を伸ばした。


「まずは判断力、あなたはサイクロプスの四つの手の防御を見抜くことができませんでした」


「返す言葉がありません……」


「でもそこは心配することではありません、あなたはまだまだ未熟です。これからもっと戦闘で経験を積めば、判断力も上がります」


「そうですか……」


「もう一つの問題点は、基本の身体能力です。あなたは鞭打が無ければ、サイクロプスを傷付くことができません。要するに……」


すると、師匠は隣にいるサイクロプスの死体を見て、手を伸ばした。


「覇!」


「うそ……!?」


師匠はそのまま手刀で、一瞬でサイクロプスの頭を切り落とした。


「こう出来るようにならなければなりません」


いくら相手は死体とは言え、あの岩の様な筋肉を、まるでバターを切るバターナイフのようにあっさりと、簡単で切り落とすとは。


今の僕ではできない芸当だ。


「どうすれば、このようになれますか!」


「そうですね、普通なら長い時間がかかりますが……」


師匠はサイクロプスの死体に向かって、手を動かした。


「『フロー』」


呪言を言った後、死体は空に浮かび、キャンプファイヤーの上に移動した。


「『バーナー』、『エアカッター』」


キャンプファイヤーの炎が一瞬で大きく燃え上がり。


そして、空気の刃が死体を細かく切り刻んだ。


「師匠、何しているんですか?」


「ちょっと待っててください」


炎に焼かれる肉は、段々と変色し、焼肉の香りが伝わり始めた。


「よし、『エアカッター』、『フロー』」


そう言った後、隣にいる木の一部が切り落とされ、僕の手元に飛んでくる。


その形は、まるで皿の様だ。


「これはどういうこと……」


「出来上がりました、サイクロプスのステーキ、食べてみてください」


僕の疑問を構わず、師匠はステーキを僕の皿に移した。


今の状況には疑問しかないが、先まで戦っていることもあって、ステーキの香りは激しく食欲をそそり、気付けば口の中は唾液でいっぱいになった。


「頂きます……」


そのままステーキを口に入れ、噛むと……


「おいしい!」


サイクロプスの肉は少し硬いが、油はいっぱい乗っていて、調味料が入れなくても濃厚な味をしている。


「まだまだありますから、もっと食べてね」


「ありがとうございます!おかわりお願いします!」


ステーキのあんまりの美味しさに、僕は腹がいっぱいになるまで食べ続けた。


「もう食べれない……」


「かわいいですよ、アリスちゃんの食べっぷり、こっちまで腹がいっぱいになりそうです」


よく見ると、師匠の顔は笑顔でドロドロで、手もなぜか自分の胸と足を掴んでいる。


「あの……師匠、大丈夫……あっ!?」


「始めたようですね」


師匠に話掛けたいところ、突然僕の体が火がついたのように熱く感じ。


それだけじゃない、ところどころの筋肉が、不自然に動いている。


先まで膨らんでいる腹も、一気に普段の大きさに戻り、まるでお腹にいるものが吸い取られたのようだ。


視界が曇り始めた、いや、僕の体から出る水蒸気が視界を邪魔したのだ。


「はぁ……はぁ……これは…… 一体!?」


「覚醒です」


覚醒はどういう意味かは考える余裕もなく、僕はただただ体に異変の辛さに耐え続けた。


そして、何分か、それとも何十分後、体の辛さがやっと消え、僕は疲れのあんまり地面に倒れ込んだ。


「覚醒って、どういうことですか……?」


「今から説明しますね。人の魔力には二種類があります、活動用の魔力と魔法用の魔力。生命の源そのものは、活動用の魔力なのです。どんな生き物でも、体は魔力によって動いてます、たどえ魔力が少ないあなたでも」


師匠は僕を抱き上げ、座る姿勢に戻してくれた。


「だから、魔力の量は、多少身体能力そのものを影響してます。普通の生活には無関係ですが、戦闘になると話が違います。今のあなたは、燃料が足りないキャンプファイヤーみたいな状態です、だから身体の持つ力を完全に発揮できません」


「なら、どうすれば活動用の魔力の量を増えるですか?」


「そのためり、サイクロプスの肉を食べさせたのです。サイクロプスみたいな上級魔物の中には、大量な魔力が潜んでいます。それの肉を食べることで……」


師匠は手ものにいる木材を、キャンプファイヤーの中に投げる。


「肉の中の魔力はあなたの活動用魔力になり、あなたの身体能力を上げることができます」


「じゃ、僕はここに連れてきた理由は……!」


「今からあなたの課題は、上級魔物を倒し、食べることで、今まで足りなかった活動用魔力を補うことです!」


師匠の話は聞いて、僕の心臓ドキドキが止まらなかった。


やっとはっきり見えた、強くなるために、僕がやるべきこと。


「ちなみり魔法用の魔力は増えますか?」


「増えません、魔法用の魔力は別種類なもので、一生変わることがありません」


「そっか……」


自分は一生アンジュのようにかっこいい魔法が使えないことを知り、僕は少ししょんぼりした。


「残念することはありません、あなたは魔力が足りない状態でもサイクロプスを倒せた」


僕の気持ちを悟った師匠は、僕は肩を掴み、そう言った。


「逆に言うと、魔力が十分な状態なあなた、とてつもなく強いことは確かです」


「そっか…… 確かに!ありがとうございます!」


それなら、今の僕がやるべきことは、ギルドでもっと依頼を受け、魔物を倒すこと!


「よっし!やるぞおおお!僕は、強くなる!!!!」


「頑張ってください、楽しみしていますよ」


張り切ってる僕は気付かなかったが。


後ろにいる師匠は、夢で見た男に負けないほどの笑顔をしていた。


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