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KAN NAGI〜〜神様実在、地球に襲来?!  作者: ヤチ ヒトニカ
神道十二界編
58/76

Ep.17(57) まさかの参加



     〈ニューカレドニア首都ヌメア〉



 前回、神座(カミザ)が開催された場所。ここに、第一級氷神(ヒカミ)、第三級炎神、第五級竜神(タツガミ)、第六級獣神、第九級女神、を除いた神道十二界7名が再び集まる。


「いきなりどうしたんっすかねシャーマさんは。主催なんかしたことないのに」


 第四級雷神(ライジン)"グロム・ラーシュ"


「だだ! あたいもビックリしただだよ!

急にシャーマから神座の開催を宣言しろなんて言われたからなぁ。しかも、獣神を省けだ、第一級を絶対に呼べだ、無茶苦茶だだよあいつ!」


 第十級山神"マウナ・バルハール"


「"不明!!" 主催であるシャーマは未だ来ていない! それに、神座無遅刻・無欠勤の武蔵(タケクラ)(竜神)もいないとは、何事だ!!」


 第七級鬼神(オニガミ)凶禍(キョウカ) (ゲン)


「・ ・ ・ッ、確かに武蔵がいないのは不自然だな。いつも1番に来て、「遅い」と悪態をついているあいつが……」


第八級死神"モルト・ヴァイス"


「……武蔵さんは、多分来ないと思います。今はそれどころじゃないですから……」


第十二級天使神(アマツカガミ)(ミコト)迦玄(カゲン)


「それどころではないとは、いったいどういうことじゃ? 神座よりも優先すべきことが、武蔵如きにあるというのか?」


第二級水神(ミズガミ)(サザナミ)憂愁(ウレイ)


「そ〜〜んなことより、meは今日も美しい。皆そう思うだろ〜〜?」


第十一級妖精神(ヨウセイシン)"リアム・ラエル"


 今までにないほどの欠席者の数に、集まった7名は、表情には出していないが、それぞれが違う形で動揺していた。


「つうか遅いっすね主催のシャーマさん。遅刻常習犯ではあるっすけど、主催なら時間は守ってほしいっす」


「そうだだなぁ。主催がいないと何も出来ねぇだだ」


「そんなことより、(ワラワ)の問いは無視か(ミコト)? 武蔵が来ていない理由を知ってるなら今のうちに言うておけ」


明らかに1人だけ顔色の違う尊。そんな彼を気づかって、憂愁はそっとするよりも、抱えてるものを吐き出せという意味で、しつこく話しかけている。(言い方はちょっとアレだが……)


「"不安!!" 顔色が優れてないぞ尊よ! 何があった? 拙者たちに話して楽になれ!」


全員の視線が俯く尊に集まる。


「……はい。実は、武蔵さんの元従者で、いまは僕の仲間である(ウツミ)(ゼン)さんのことなんですが、」


 ようやく勇気を振り絞り話し始めた尊。しかし、タイミングが良いのか悪いのか、皆の集まる部屋の扉が勢いよく開き、怒りに満ちたシャーマ・ハイズヴェルムがようやく姿を見せた。


「ーー遅れた、"すまない"。早速、始めようか」


 一同は驚いた。遅れてくるのはいつものことだが、それに対し彼が謝罪したことなど1度たりともない。

それが逆に皆の不安を煽った。


「……うん? おいマルア。なぜこんなに人が少ない? 今日は全員集まれと言ったはずだ。 言われたことすらできんのか貴様は」


「だだ!! バカ言うなお前! あたいの仕事は声かけることだだ! 連れてくるとか、集めるとかは無理だだ! あたいのせいにするなだだ!」


「わかった。言い訳は後にしろ。ーーおい、武蔵はどうした? まさか、(ワシ)の招集だから来てないのか? あいつナメてるのか?」


「あぁシャーマさん。そのことなんすけど、ちょうど今、尊っちが話そうとしてて……」


「尊が? 貴様何か知ってるのか? なら早く言え」


いや、シャーマさんのせいで話途切れたんすけどね……。


「はい……。単刀直入に言います。僕の護衛隊、クアレオスと慈禅が……殉職しました」


 尊の報告を受け、全員が一様に驚愕した。


「"驚嘆!!" 嘘だろ!? 慈禅は竜神(タツガミ)の正統継承者だぞ!? その情報は確か?」


「はい……僕もその現場にいたので間違いないです」


 尊は、アメリカで起きたあの出来事を、グレンから聞いた通りに、嘘偽りなく皆に伝えた。


「本当に……すみません。僕に力がないばかりに……」


 武蔵の欠席理由にそんな事情が……。暫く、誰1人として口を開く者はいなかった。


・ ・ ・


「……武蔵の件は了解した。とりあえずこの件は後にしよう。いまはシャーマの話を」


 怒りで声が震えてはいたが、憂愁のおかげでシャーマは話すキッカケをもらった。


「じゃあ、早速話をするが、まず参考人を部屋へ入れる。ーー入れ」


 扉の外で待ち、シャーマの合図で部屋の中に現れたのは中位(チュウイ)獣連(ジュウレン)猛仔(モウコ)


ついに、刻導(コクドウ)の思惑が動き始める。


猛仔が部屋に入るや否や、彼の姿を見て全員が驚く。


「外にいるのはわかっておったが、中位風情が神座に出ることが……いや、今はよそう。いったい何があった? 妾に話してみよ」


姿を見せた猛仔の全身はボロボロで、体の至る所に流血の跡。只事ではないとすぐに全員が察知する。


「ま……まず、時間を作ってくれてありがとうございますだワン。今回ワンが、皆さまに伝えたいことは1つ……。獣神(ジュウシン)様……いや、獣神(あいつ)が、野良(ノラ)大蛇(ダイジャ)、そして堺若(カイジャク)様を……殺害しました」


猛仔から伝えられたその言葉に、一瞬耳を疑うも、猛仔のいまのボロボロな姿と、涙を流すその表情が、彼らに「事実」であると錯覚をさせた。


「ま、待つっす!! あり得ない……あり得ないっすよ!! なんで宏憐(コウレン)さんが中位獣連、それも自分の正統継承者を殺すんっすか!?」


「"虚偽!!" おい猛仔! 虚偽だと言ってくれ! あいつが……あいつが神王様を裏切るわけがない!!」


 皆が一様に猛仔の発言が虚偽であると、彼を責め立てる。しかし、この男だけは違った。


「静まれ!!!!」


 シャーマの怒号に皆は声を止め、小刻みに震えるシャーマに視線が集まる。


「ーー虚偽であれば、儂が神座など開くわけがない。虚偽であれば、猛仔は儂が殺してる。だが、そうじゃないから、今こうして話をしているんだ。この件には、裏付け……証拠がある」


 そういうと、シャーマはズボンのポケットから携帯を取り出した。


「だだ? なんだだそれは?」


「これはこの世界で流通している携帯というやつで、堺若がこれを中位獣連1人1人に一台ずつ渡している」


 シャーマは説明をしながら、画面をポチポチと触り、ある写真を開いた。


「まず結論から言うが、宏憐(コウレン)七福(シチフク)陰道(インドウ)と繋がっている」


 シャーマは全員に、宏憐と七福陰道が接触し、話している現場の写真を見せる。


「ーーこいつ、確か穢毘諏(エビス)とかいうやつっすよね? 七福の中でも1番顔が割れてる」


「そうだ。しかも、こいつは七福陰道の核。この時に、宏憐が粛清しているのなら、死亡情報が出回っているはず。だがそれがないということは、これとない証拠になる」


「・・・ ッ、しかしこれが何だという? 宏憐が仮に裏切り者だとして、堺若たちを殺す理由にはならない」


「"理解!!" なるほど、その証拠を宏憐に見せ、問い詰めた結果、あいつらは死んだと言うことか」


「その通りだ」


まとめると、堺若は2人の密会現場を目撃。それを写真に撮り、後日宏憐を問い詰める。その結果、逆上した宏憐に殺された、ということだ。


ちなみに、この写真は七福陰道が作った合成写真。実際には、宏憐と穢毘諏は接触していない。


「1つ聞くが、なぜ猛仔(貴様)は生きている? 妾が宏憐の立場であれば、証拠を知っていそうな者は全員殺す。猛仔(貴様)だけ生きているのはおかしくないか?」


(サザナミ)、こいつは中位とはゆえ守護の神だ。守護領域さえ展開できれば、逃げれる」


「だだ、確かにそうだだな。あたい弱いけど、守護の領域さえ展開できれば、憂愁からも逃げ切れるだだ」


「まとめよう。宏憐は裏切り者で、中位獣連並びに、自身の正統継承者を殺めた。それはつまり、王の意向に反したということ。であれば、我々は神王法7条4項に従い、獣神宏憐の死罪を決定せざるを得ない。そのために貴様らを集めた」


分かってはいたが改めて聞かせる宏憐への処遇に、皆は口を閉ざした。


ワンワン。ここまでは想定通りだワンーーだが、こっからどうなるかが未知数。いい方向に転んでくれワン。


「よし、考えてもあれっすから、とりあえず宏憐さんに会いに行きましょ! そこで話して、判断すれば、」


「バカか貴様は。宏憐が「はい、裏切り者です」なんて言うと思うか? 妾なら、いや誰であっても絶対に言わない。つまるところ、対話は無意味。法に従い、殺すのが手っ取り早い」


「・・・ッ、そうは言っても、獣神を失うのは痛くないか? 数的有利がだな……」


「痛くない。これは断言できる。いようがいまいが、妾には関係ないし、奴が刻導に入ったところで、妾の脅威にはならない」


「"相違!!" 考え方が違うぞ波!! 拙者らが危惧しているのは、刻導との衝突じゃ。宏憐を狙うとなると、仲間である刻導も黙っちゃいない。そうなれば、この星で巨大な戦が始まることになる! 犠牲は……考えたくもない。つまり、いま奴に接触するのは、」


「だから関係ないと言うておる。2度も妾に同じことを言わすな下級風情が」


ワンワン。ワンワン!! 狙い通りの方向だワン。いいぞいいぞ、このままーー


「僕が口出せることではないのかも知れませんが、皆さん、選択肢が2パターンになってませんか?」


尊の発言を受け、シャーマが問う。


「どういう意味だ?」


「宏憐さんを殺すか、宏憐さんと直接話し合うかで今議論していますが、そもそも、猛仔が嘘を付いているという可能性も大いにありますよね?」


「ワン!! 天使神様、それは酷すぎるだワン、」


「黙れ。被害者か知らないが、中位如きが神聖な神座の場で勝手に発言するな。妾が許さん」


「ワ……ワン。申し訳ございません」


「尊、続けよ」


「はい。 もしですけど、例えば、敵の狙いが、僕たち神道を内部から崩そうとしている。そうだとしたら、宏憐さんを陥れている可能性も十分にあり得るのではないでしょうか?」


クソ……神道最下位で、最年少だから不安要素に入れてなかったワン。そういえば、尊迦玄(カゲン)は天才だったワン。……どうする? やばいワン。


「なるほど、確かに一理あるな。世界の変化に乗じて、何者かが仕掛けてくる可能性も大いにある。さすが、戦略の天使だな」


「そうっすね。尊っちの考えには納得がいったっす。でも、そうなると、結局どうすれば……」


 尊の発言を受けて、一旦冷静になる一同。しかし、彼だけは違った。


「宏憐が裏切り者だろうが、嵌められていようが関係ない。接触している証拠と、堺若たちが死んだという情報がある以上、法に従いあいつを殺す。儂ら神道にできることはそれだけだ」


「いやですから、それが全てデマだったら、」


「くどい!! 従わないのなら、貴様らも王に対する背信行為とし、ここで儂が粛清する」


ワンワ〜〜ン!! 堺若様の仰った通りだワン! やはり若い、やはり浅い。迷うことを嫌い、1度決めたら突き通す性格。何より、神道で1番神王に対して思いが強い男は、やはりシャーマ・ハイズヴェルムだった!! そして、こいつが暴走すればあの女が黙っちゃいないワン。


「待て、妾より下位の貴様が妾に命ずるな。何様のつもりじゃ?」


「黙れ。貴様であっても、儂の決断に従えないなら、」


「ほぉ? 妾に挑むというのか(ワッパ)? 勘違いしているようだから教えてやるが、それは威勢がいいとは言わない。ただの無謀。何より、妾に対する無礼じゃ。覚悟はできておるんだろうな?」


「待つっす2人とも!! 一旦落ち着いてください!!」


「・・・ッ、俺はシャーマに賛同する。どんな理由があろうと、神王様に背く行為を俺は認めない」


「"呆気!!" ヴァイスよ、お主はたわけか?? シャーマはただの主催で、決定権はない。それに従うというのか? 拙者は宏憐を信じる! あやつが裏切るなんて有り得ない!!」


「皆さん落ち着いてください!!」


「だだ!! あたいもシャーマに賛成だだ! もうやるしかないだだ!!」


「meは如何なる時も中立。神王様以外には従わな〜〜い。だって、美しいから」


 一触即発。完全に敵の思うつぼ。皆の神力で今にも建物が倒壊しそうになるーーそんな時だった。


!??!?!!?


 全員が強烈な気配を感じ、一斉に動きを止めた。


「ま……マジっすか?」


「これは流石に驚いただだ……」


 静まりかえる室内に、扉の奥から「コツコツ」と鳴る足音だけが響き渡る。


 そして、扉がゆっくりと開くと同時に、室内の温度が一気に下がる。


「さささ寒いワン」


「ーー遅れた。続きからでいい、進めろ」


 ヒーローは遅れてやって……くる?? まぁ何はともあれ、災厄の空気は、"真白(マシロ)(ミオ)"の登場で一変する。


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