Ep.03(43) 神道十二界
ーー神道十二界。
それは、神々の世界"デウス"にて、12名の選ばれた神が、神王より国を与えられ、その国の長となり、世界の安寧と神王の守護に努めた者たち。謂わば、王と世界の"矛と盾"である。
そんな彼らも、千年同様、この地球に再誕していた。
そして今日、彼らは再び集結するのであった。
〈ニューカレドニア首都ヌメア〉
人口約10万人の小さな島国で、"天国に一番近い国"と呼ばれている。
そんな小さなこの国にも神が舞い降りた。
国民はその者の存在・力を見るや否や、すぐに白旗を振った。
以降、この国は天使神の治める領土となった。
その天使神が治める国の、とある建物内に彼らは呼び出される。
豪勢で大きな部屋。中央には円卓のテーブル。背もたれの長い椅子が12脚時計回りに並べられており、椅子には既に8人が腰掛け、残りの4人をじっと待っていた。
だが、集合から20分が経過した頃、待たされてるこの状況に、我慢ならない1人の男が遂に痺れを切らした。
「ーーおい、マルア!! なぜ残りの連中は姿を見せぬのだ!! まさか、隠れ遊びでもさておるのでなかろうな!! いや、そうか。貴様、三級以上にはビビって連絡しなかったな!?」
人名:武蔵 寿 第五級上位 竜神。
赤い皮膚に尖った爪、背中には立派な両翼。怒っているせいか、腰から生える尻尾が左右に大きく揺れる。
遅刻や些細なことにめっぽう厳しい最年長者で、何かに例えて話すのが特徴。
目覚めた国 :カナダ
デウスでの領国:竜ノ国
神力系統 :破攻
「だだ!! ふざけるな!! あたいは、ちゃ〜〜んとみんなに伝えただ! 来ねぇのはあいつらが頭悪いからだだ!!」
人名:マウナ・バルハール
第十級上位 山神
スラっとした体型。童顔。丸眼鏡。体の至る所から木の枝が生えている。頭にはなぜかゴミ袋と、山訛という方言が特徴。
目覚めた国 :ネパール
デウスでの領国:山ノ国
神力系統 :守護
「まぁまぁ。4人のうち3人が遅いのはいつものことじゃないですか。もう少し待ちましょう、ね?」
人名:尊 迦玄
第十二級上位 天使神
白い羽。子供。小柄。一人称ボク。
最年少で、9歳を迎えた時に上位に選ばれた天才。
頭がよく、計算高い戦いをする姿から戦略の天使と呼ばれている。
目覚めた国 :ニューカレドニア
デウスでの領国:教ノ国
神力系統 :破攻
因みに、彼が今回の神座の主催である。
「"激甘!!" 尊よ、お主は相変わらず甘ちゃんよのぉ!! 若さ故か!? 若さ故なのか?! 人に厳しく、自分に尚厳しく! 拙者のようにそうあれ!!」
人名:凶禍 権
第七級上位 鬼神
目覚めた国 :ポーランド
デウスでの領国:鬼ノ国
神力系統 :破攻
「・ ・ ・ッ、落ち着け。 ・ ・ ・ッ、誰かを責めても良いことはないぞ」
人名:モルト・ヴァイス
第八級上位 死神
目覚めた国 :チェコ共和国
デウスでの領国:死ノ国
神力系統 :破攻
「そんなことよりも、meの美しさを見てごらぁ〜んんっねっ! 落ち着くざますよ??」
人名:リアム・ラエル
第十一級上位 妖精神
蝶のような羽。誰よりもド派手な格好。そして見た目通りのナルシスト。"美こそ強" それは彼の口癖でもあり、美しいものには優しく、そうでないものには辛辣。自身に欠点はないと豪語しているが……全員から嫌われている。
目覚めた国 :アイルランド
デウスでの領国:美ノ国
神力系統 :守護
「Zzz〜〜〜グルル。Zzz〜〜〜グルル。Zzz〜〜〜グルル」
人名:宏憐
第六級上位 獣神
神道一の巨漢。顔から足の指先まで茶色の体毛で覆われており、顔が全く見えない。
基本的に、体格だけではなく、全ての動作が大きい。
それが起因してなのかは不明だが、誰よりも体力の消費が早く、常に寝ている。もちろんイビキも大きい。
目覚めた国 :エクアドル
デウスでの領国:獣ノ国
神力系統 :破攻
「わははっ! 相変わらず、協調性のかけらもないっすね! 神道、最高っすww」
人名:グロム・ラーシュ
第四級上位 雷神
神道随一の優男。そしてイケメン。デウスではかなりの人気者。着飾りもかなり派手。
しかし、モテる一方で"チャラチャラ"と彼を呼ぶ者も多くいた。
※チャラチャラ→チャラいの意。
因みに、山神が恋をしている神でもある。
目覚めた国 :ベネズエラ
デウスでの領国:雷ノ国
神力系統 :破攻
個性的で社交性のかけらもない彼らが、神道十二界である。
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それから更に数分後。彼らが待つ部屋の巨大な扉が、ゆっくりと音を立てながら開いた。
姿を見せたのは、日本で千年と一悶着あった、あの波 憂愁であった。(第二級上位 水神)
憂愁は、待たされていた他の神道に見向きもせず、自分に用意されたであろう席にゆっくりと歩き、静かに席についた。
その姿を見た武蔵は、机を「ドンッ」と殴り、
「おい、波!! 貴様、我々を待てせておいて謝罪もなしか!? 赤子じゃあるまい。 謝らんか!!」
「謝罪? なぜじゃ? 妾は貴様らより遥かに忙しいのじゃ。遅れて当然のことではないか? そもそも、妾より下等な貴様らを待たせて何が悪い? 舐めた口を聞いて申し訳ないと謝罪をするのは其方ではないか? 武蔵よ」
「ガキが……」
2人の会話で険悪なムードになる……かと思われたが、何故か他の神道はそれを見て笑っていた。
「相変わらず憂愁は態度がデカいだだなぁ。でも、またこうして武蔵のお説教がを見れるのはなんか嬉しいだだ!!」
山神マルアの言う通り、デウスでも2人はこんな感じだった。それを懐かしく思い、皆は笑っていたのだ。
「お前達、笑うな!! 我が子じゃないのだぞ? 甘やかしてはならん!!」
すると、開いたままになっていた扉から、1人の男が物音1つ立てずに、ササっと部屋に入り、空いている席に腰掛け、
「もう良い。どうせ、第一級は待っていても来ない。さっさと話を始めろ。いつまで、儂を待たせる気だ」
その男の発言に、数秒、皆の思考が止まり、先ほどまで騒がしかったはずの一室が静寂に包まれた。
「はぁ……おいっ! 何をしてる。はよぉせんか。儂の時間と貴様らの時間の価値は同じではない。ったく、相変わらずノロマな連中だ」
再び男の声を聞き、ようやく理解した。この男は、遅刻をなかったことにしようとしているのだと。
「……シャーマ。それは流石に無理があるだだ」
「何が?」
「見るだだ。武蔵、呆れて口が開きっぱだだよ?」
「武蔵よ、いつにも増してアホ面だな。なんかあったのか?」
堂々としている彼の姿に、さすがの武蔵も、
「も、もうよい。疲れた」
第三級上位 炎神 シャーマ・ハイズヴェルム。彼は、遅刻を無かったことにした。
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それから更に数分が経つ。しかし、残り2人が現れる気配はない。
「尊、どうするだだか?」
「う〜〜ん、第一級はいつものことだとしても、第九級の百済さんが来ないのはちょっと予想外ですね」
「百済っちはほら、美人だから。ナンパかなんかされてんっすよ! 第一級はそもそも天明様の呼びかけにも応じない人っすからね。もういいじゃないっすか?」
「"同意!!" ナンパが何かは知らんが、百済は問題ないだろう! あいつは守護だからな。死にはせんっ!!」
「そう……ですね。わかりました! じゃあ、百済さんは会えたらぼくから直接伝えておきます」
本当は全員に来て欲しかったけど……仕方ない。
2人を待つことを諦めた一同は、今回のこの発起人でもある、天使神 尊 迦玄を中心に話し合いを始めた。
「まず、最下位の僕の呼びかけに応じてくださり本当にありがとうございます」
「そういうのは良い。妾、礼は言われ慣れてる。さっさっと本題に入れ」
「あ……すみません。(言わなかったら言わなかったで怒るくせに……)
では早速ですが、神座を開催させて頂きます。今回主催を務めるのは、僕 天使神です。宜しくお願いします。では早速、まずは議題1"地球とデウスとの関係性"について」
そういうと、尊は机の下から何かを取り出し、皆に見せた。
「うわ……汚っね。なんっすかこれ? 俺っち汚物は無理っす」
「meも、汚いものは遠慮したい。目が濁る」
「すみません。綺麗にしたかったんですけど、色々あって。申し訳ないですが、大事なことなので見てください。これはこの国、ニューカレドニアの長が代々守ってきたものです」
尊が置いたそれは、古く錆汚れた黒い額縁、中にはたった1枚、文字の描かれた紙が入っていた。
「"不明!!" この世界の汚らわしい書物如きで拙者達を集めたというのか!?」
「はい、その通りです」
「・ ・ ・ッ、くだらない。俺は帰る」
死神モルト・ヴァイスが席を立ち上がるも、尊はそれを止めることなく、真剣な表情で話を続けた。
「ーー皆さんもご存知の通り、今いるここは地球という星です。デウスではない。じゃあ何故僕たちはこの地にいるのでしょうか。聞いたことも見たこともない、存在すら知らなかった星に、どうやって来たと思いますか?」
尊の問いかけに、立ち去ろうとしたモトル・ヴァイスも足を止める。
「それは簡単な質問っすね。神王様が俺っち達をここに連れて来たんすよ。あの御方以外に、こんな芸当は無理っすから」
「それはそうだと思います。ただ、どういう理由でですか? 僕たちをここに飛ばす意味が何かありますか?」
「それは、神王様に聞けば良くないすっか? 俺っちに言われても……」
ヘラヘラ話をする雷神グロム・ラーシュとは違い、尊の表情を一気に暗く重くなった。
「とても言いづらいですが、恐らくデウスも神王様も……もうこの世にはいません」
その尊を発言を聞き、全員が彼へ禍々しい殺意を飛ばす。
「最下位の分際で。貴様如きが儂らの王を愚弄するか。返答次第では灰すら残さず燃やすぞ」
「Zzz〜〜〜!!! 眠気の覚める不愉快な発言だ。羽を捥いで、グチャグチャにしてやる」
「どうする尊。謝罪じゃ妾たちの怒りは収まらんぞ?」
彼に対する怒りは神力となり、彼らのいる建物のあちらこちらに大きな亀裂が入った。
「怒りを収めてください。誰も神王様が死んだなどとは言っていません」
「"詭弁!!" いないは死んだと同義!! 今更撤回しても遅いわ!!」
「だから、この本を皆さんに見てもらいたいんです!!」
紙の入った額縁を全員の見える机の中心に置く。一同が見つめる先には、紙に書かれた、たった3行の文字。尊はそこを指差し、
「読んでください」
全員、尊の指す箇所を黙読する。すると、
「こ、これは……」
全員が、目を見開き驚く。そこにはこう記されていた。
『旧世界の封印 依代となる新たな星の創星 命源と それと共に生きる者のみ新星へ』
「な……なんなんっすかこれ? 俺っちにはさっぱり……」
「話についていけねぇだだ。どういうことだだ?!」
「馬鹿どもめ。要は、天明様がデウスを封印し、妾たちを新しい星、ここ地球に飛ばした。ということだろ?」
「その通りです、憂愁さん。まず、この本に書いてあることは恐らく事実です。当時、神和を有していたのは皆さんもご存知、天明様です。それに、そこに記してある、"封印"とは、天明様の神通力"封滅"を意味してると思われます。また、この世界には神通力者しか復活してません。理由はわかりませんが、そこに書いてある"命源と それと共に生きる者"とは、僕らの神通力者のことを指していると思われます」
「"不明!!" それはあまりにこじつけではないか?!」
「こじつけではありません。この本は、当初アフリカという地域で見つかったそうです。それからおよそ、700年後、この国の長が手に入れ、大事に保管していたと、この本を保管している地下の石板に書いていました。残想も確認済みです。つまり、この本は間違いなく、この星地球で描かれたということになります」
「ーーさっきから黙って聞いていれば。なんの根拠もない。そんな物、地球の誰かがふざけて書いたに決まってる。今すぐそいつを見つけ出して、血祭りにあげてや……」
尊の説明を受け、苛立ちを隠せないシャーマが、彼に詰め寄りながら本を触ったその時、彼だけが気がつく。尊の言っていることが本当なのだと。
「シャーマさん。気がつきましたか?」
「ーーこれは……いったい誰の神力の余波だ?! 触れたことのあるようで……ない。これは、一体誰が書いた!?」
シャーマの発言を受け、全員が本に触れ、そして気がつく。この本は、自分たちと同じ神通力者によって描かれたものだと言うことに。
「僕も初めは驚きました。僕だって、こっちの人族の読む本などどうでもよかった。でもその本には、紛れもない、神通力者の力の余波があるんです」
※力の余波
神通力者が意志込めて触れたものに起こる現象。
意思を込めた神通力者の痕跡が残る。(生き物以外に適応。)
「この文言を見る限り、確実に僕らが封印された後のことを記している。従って、これはデウスが無くなった後に書かれたということになります」
唖然とする一同。尊の話は続く。
「僕らが再誕したのはつい最近。でもこの本があるのはずっと昔からです。この時点で辻褄が合わない」
「・ ・ ・ッ。つまり、俺たちよりも前に目を覚まし、真実を知る者がいるということか?」
「はい、その通りです。そしてここからが本題です。これはあくまでも僕の仮説ですが、この書物にはデウスは"封印"と書かれています。思い出してください、天明様の封滅は、」
「"物"もしくは、"命源"に封印をする」
「シャーマさん、その通りです。つまり、まだどこかに"封印されたデウス"があるということです。それを探し、封印を解くことができれば、デウスへの帰還が可能になるのではないかと思います」
「デウスに帰ることができれば、再び神王様に会えるってことっすか!?」
「あくまでも仮説ですが、デウスの封印が解かれれば、そこに残った多くの国民や、天明様も復活するのではないかと思ってます。そのためには、神道の皆さんの協力が絶対です。どうか、手を貸してもらえないでしょうか。お願いします」
尊は、全員に深々と頭を下げた。
「僕は確かに最下位ですが、神王様を慕う気持ちだけは皆さんにも劣らないと自負しています。どうか、皆さんで神王様を救いましょう。そして、あの世界に戻りましょう」
本当はみんなわかっていた。この世界に再誕した時点で、誰1人として神王の力を感じていなかった。あの方は、死んでしまったんだということに。
それでも、こうして神王がまだ生きている可能性があるということが分かった以上、彼の懇願に背を向けるものなどおらず、
「バカめ。貴様に言われなくとも、儂1人でも探しておったわ」
「みっともない虚勢を張るなシャーマ。尊のお陰で兆しが見えたのだ。妾は素直に感謝するぞ。尊、よぉやった」
尊の願いは届き、どんよりとしていた空気が、一気に明るくなった。
「で、でも、どうやってその封印されたデウスを探すだだか?? もしかして手掛かりでもあんのか??」
「そう、そこなんです。この仮説にたどり着いてから、かなり考えましたが……」
再び暗い雰囲気に包まれる。
「"安堵!!" そこまでわかっているなら焦る必要もない!! ゆっくり探っていこうではないか!!」
「だだ!! 尊、よくやっただだ! あとは、みんなで力を合わせて頑張ろうだだ!!」
「あ、すみません。そうじゃなくて、」
「え??」
そういうと、尊は額縁を手に持ち、
「自分の頭で色々考えたんですけど……さっぱりで。それで、もう1回これを読んでみようと思って色々触ってたんです。そしたらこれ、、」
額縁から紙を取り出す。
「裏にも文字が書いてました(笑)」
分かりやすくズッコケる数人を横目に、他のものは本を凝視した。
『新星に神和有り 答えはそこに』
たった一行。これに何の意味があるのか、恐らくどんなに頭の良い人間でも理解のできない少なすぎるメッセージ。
しかし、これを見た彼等だけはすぐに理解した。
これはとても重要で貴重なメッセージであることに。
「・ ・ ・ッ、そうか。神和さえあれば、全てが解決できる。そういうことか」
「そうです。ただ正直、皆さんもご存知の通り、神和を見つけるのも中々にハードです。下手したらデウスの封印を探るよりも難しいかと」
「カッハッハッ!! 気にするな尊!! お前は若いから知らんだろうが、天明様が神和を手にする前は、皆あの力を欲し、探しておったのだ。目標は高ければ高い方がいい! 登山と同じじゃ!! この武蔵寿、神王様のために、神和を手にすることをここに誓おうではないか!!」
「ははっ。ありがとうございます、武蔵さん。心強いです」
「バカを言うな。神和は儂に相応しい。貴様のような老いぼれに渡してたまるか」
「自惚れるなシャーマ。この場で地位が高いのは妾じゃ。それに、神和ほどの強大な力は妾にこそ似合う。其方らは妾のために見つけ出し、妾に献上すればよい。あとは妾が天明様を救うために貢献しよう」
「んんぬ!! 強大な力こそ、美しきmeに一番似合う!!」
「はいはい、みんな落ち着くだだ。とりあえず、今後のあたい達の任務は神和を見つけ出すことだだな」
「そうです! ただ、問題は他にもあります」
「問題だだ?」
「はい、ここからは議題2に入ります。内容は"反神王勢力について"です」
和やかなムードが一変、ピリついた空気が流れる。
「先程の文章を見たら分かると思いますが、残念ながら再誕したのは我々神道だけではありません。僕ら同様、反神王勢力もまた、この地にて再誕を果たしてます」
反神王勢力とは、神王の意向に反する神通力者を指す。(害種認定)
「皆さん、こちらを見てもらえますか?」
尊は、自分の座る席の後ろに用意してあったプロジェクターで、壁に資料を映し出した。
「おぉ〜〜! 凄いっすねそれ!!」
「グロムさん、ありがとうございます。こちらは、王直の千年さんから頂いた、刻導と七福陰道の再誕場所をまとめた資料です」
全員がモニターを注視する中、「え、なに? なんで?」とかなり焦燥する尊。
まぁ無理もない。この場において、1番の使い手である彼女から、こんなにも殺意を飛ばされているのだから。
「ーーおい、いま何と言った尊」
「なんだだ!? どうした憂愁」
え、なに……まじで。ぼ、ぼく何かした?
「どうしたんっすか、憂愁っち?」
「どうもこうもない。妾以外はやはり能無しのようだな。其方いま、その情報を"誰から"貰ったと言ったか?」
憂愁が反応したのは、尊が千年から情報を得ていたこと。しかし、それの何が悪いのか、他の面々はわからずにいたが、憂愁の凄みから察するに、尊の返答次第では……
「ち……千年さん……で、す」
「やはりそうか。それは可笑しな話ではないか?
奴は今、妾の思い人を探す任を請け負ってるはず。その任を放置して、まさか反神王勢力を探ってるとかではないよな? いや、其方がそうするように命じたのか? もしそうだとしたら、自惚れにも程がある。妾の任を放り出して、優先していいことなんかあってよいと思いか? 返答次第では、其方含めて海の藻屑とする。心して答えよ」
尊の鼓動が猛スピードで高まる。
にににに任務中?! き、聞いてないぞそんなこと。っ、千年さんめ〜〜!!!!
「えっと、、ですね、憂愁さん、いや憂愁様。これは勘違いというか、何というか……」
見るからにテンパる尊を見て、ゆっくりと立ち上がり、彼に歩み寄る憂愁。しかし、雷神グロムの「え?!」という声で立ち止まる。
「なんじゃ、今から天使の羽を妾が捥ぐというのに……うるさいぞグロム・ラーシュ!!」
「いや、憂愁っち、これ見てください……」
グロムはモニターに映る一点を、震えながら指差していた。
「うん? なんじゃまった……尊、これは真実か?」
憂愁ですら止まる文字。そこに描かれていたのは……
と、その前に、話は、鬼神と死神がクルコノシェ山脈で合流した頃まで遡る。




