Ep.22 正統継承者
〈虎影 神域〉
千年の真っ白で何もない神域とは違い、虎影の神域は、床一面全て畳でできており、まるで道場みたいな場所であった。
そんな畳の上に、グレンとキゼルはみっともなく倒れ込んでいた。
「クソ、、クソジジイ…… 手合わせなのに本気でやりやがって!! おいキゼル、大丈夫か?」
「だ、、大丈夫に、見……えるか。 くそ、ムカつく……」
神域に入るや否や、虎影は2人に「かかってこい」の一言。
余裕ぶった態度が気に食わなかった2人は、同時に飛びかかったーーが即返り討ち。
そして今に至るのである。
「はぁぁ、この程度じゃ先が思いやられるのぉ。ちょっとばかし神力も上がっていて、正統継承者にもなったというのにこのザマか…… 残念残念」
ックソ、言いたい放題言いやがってクソジジイめ。絶対に燃やしてやる。
悔しさのあまり、また挑もうとするグレンをキゼルは止めた。そして、ゆっくりと起き上がり、その場に正座し、
「師匠、見ての通りまだまだ雑魚です。こんなんじゃダメなことくらい言われなくても分かってます。
強くなりたい、千年様の役に立ちたい。ですので、ご教示お願い致します」
「ホッホッ、相変わらずキゼルは弁えておる。何度も教えたが、勝てない相手には挑むな。逃げる、もしくは時間を稼ぎ助けを待つ。死=負けであって、逃げるは負けじゃない。挑む権利は誰にでもあるが、通用するかは別の話。今の段階の己らじゃ此方には勝てん。だから修行する。肝に銘じぃ」
何度も言われていることなのにグレンは全く理解出来なかった。が、なんとなくキゼル同様頭を下げた。
「そいじゃぁまずは、正統継承者についての話でもするかのぉ。まず正統継承者になるには3つの条件をクリアする必要がある」
3つ?! そんなにあったのか? 1つしか思い浮かばない……。
「うん、そうじゃあな、順を追って話そうか。まずはグレン! 後継とはなんじゃ?」
当てられたグレンは「楽勝だぜ!!」と勝ち誇った顔をするが、言うまでもなく彼は馬鹿である。
故に、この質問は当然だがわかるわけもない。
直後、「うーーん」と首を傾げた瞬間にゲンコツを食らった。
「いっってぇぇ!!」
「前に教えたじゃろうが馬鹿者が!! はぁ……ならキゼルが代わりに答えぃ」
「はい(ざまぁ) 後継とは、新種じゃない血統者や、新種ではない芽吹のどちらかに該当するものが選ばれます。つまり、自身と同じ神通力を持つ神格保有者、別名※"覚醒者"が存在している場合は必然的に後継となります」
※覚醒者
族種が神族となり、普通の神通力者とは全く違う存在として扱われるもの。噛み砕いていうと、神そのものである。
因みに、新種は今までに存在しなかった神通力者なので、前任者がいない。そのため、神格できるようになれば神族へと自動的に繰り上がる。
「その通りじゃ。なら次もグレン! 後継から正統継承者になるには、"天告"が必要になるわけじゃが、その天告とはなんじゃ? 分かっとるとは思うが、2度目はないぞ。心して答えよ」
再び指を差されたのはグレン。「やばいやばい」という焦りが全身から伝わる。
それを見て「はぁ」と呆れた虎影が、彼にゆっくり近づき、拳を振り上げた間一髪のところで、
「あっはいはい!! 天からお告げがあるやつ!! えっと確か、"次時代の神となる者に告ぐ"、なんちゃらかんちゃらって言われる!! それが天告!」
天告とは、未だ解明されていない謎の1つで、天から選ばれたものだけに聞こえる声のこと。("天からのお告げ"を意味する)
声の正体や、選ばれる基準などは不明であるが、次に神として覚醒するものは必ず天告があるとされている。
「ーーうむ、よろしい。ならここからは、今のを踏まえて新しいことを教える。しっかりと頭に叩き込むのじゃぞ?」
2人は姿勢を正し、まっすぐに男を見つめた。
「良い面構えじゃ。よいか? 天告は、複数いる後継の中から、たった1人が選ばれる。そして、そのものが正統継承者となるわけじゃが、ここで条件2つ目、正統継承者になるには、『死』を経験する事が必須となる」
「死……ですか?」
「そうじゃ、死じゃ。人は死ぬ直前に、あらゆる感情を抱く。恐怖・恍惚・憎悪・悲観など。人によって抱く感情は違うが、必ず何かを感じる。そして、その感情は、生きている時よりも遥かに濃く、強く、激しい。そういった、『死』以外では体感することの出来ない強化・増幅された感情こそが、命源細胞の覚醒に繋がると言われている」
「死がトリガーになるってことですね」
「そういうことじゃ」
「はい師匠! 俺たちは3つの条件をクリアしてるから正統継承者なんですよね? 死の経験と天告。この2つは理解したし、身に覚えもある。ですが残り1つが、さっきから考えてるのですが、どうも思いつかなくて……。本当に俺たちは正統継承者になったのですか?」
「ホッホ、気が早いのぉキゼルは。ちゃんと話すから待てぃ。ーー良いか? 死の経験と天告、そしてもう1つの条件は、覚醒者の血液を飲むこと、である」
・ ・ ・はぁ?!
「いやいやいや、血を飲む?! はぁ? 飲んだ覚えねぇぞ俺?? つうか、神通力者が神通力者の血液飲んじゃダメだろ!? なぁキゼル!」
グレンは必死に虎影の話を否定した。しかし、キゼルは目を細め、何かを思い出そうと必死に考え込んでいた。
「ほれ、よぉ思い出せ。誕生日の日じゃ。ほれ、誕生日」
「ーーあ!! 思い出した…… そういえば昔、俺とお前、誕生日だっていって千年様に赤いものを飲まされた……」
「誕生日……?」
〜〜〜〜
「へい! グレン君、キゼル君! おたおめおめ〜〜。どうぞ!! 愛を込めて作った千年オリジナルジュースでぅえ〜〜すっ!!!」
「おぉぉぉぉお! 千年様の愛……愛!! 美味しく頂きます!!」
「うぇ〜〜、めちゃ不味そう……。俺飲みたくねぇ」
「じゃあお前とはもう口聞かないし、遊んでやらん」
「はい飲む飲む!!」
〜〜〜〜
「あぁぁぁあ!! あの激マズジュースか?!」
「おい! 不味いとはなんだ不味いとは! 個性的な味と言え!……うん? 待てよ……あれ? え……まさか……」
「ホッホ、己らがその時飲んだのが覚醒者の血、つまり炎神と雷神の血液じゃよ」
2人は顔を真っ青にしながら、声を荒げて驚いた。
「ししし師匠!! そんなはずが……だって、神通力者が他の神通力者の血液を飲むと……」
「そうじゃ、体が拒否反応を起こして、嘔吐する。じゃがそれは異なる性質の神通力者の場合のみ。同じ性質の神通力者であれば、何の問題もない。というか、それをすることが神格への第一歩となる」
※因みに、血統後継者の場合は、生まれた時点で同じDNAを持っているため、血を飲む必要がない。=正統継承者になるための条件は2つとなる(死の経験と天告)
未だに信じられない話で、キゼルは開いた口が塞がらずにいた。
一方でグレンは、
あれ、じゃあ俺正統継承者じゃなくね??
だって、千年が見てないところで血液ゲボしたし……。でも天告あったよ……な? あれ……うん、まぁいいや!!
「じゃあここまでの話をまとめるぞ? まず、"覚醒者の血液を飲む"。これにより、覚醒者と後継の間に契りが生まれる」
※契り
無関係だったもの同士に生まれるもの。血液を飲み、契りが出来ることで、代々受け継いできた神格の器が出来る。
「次に"死の経験"。これにより、命源細胞が覚醒する。それを終え、天に選ばた者には"天告"がある。そして、その者が正統継承者となる……っておい、聞いておるのか?」
「お、おう。聞いてるよ……」
「・・・すみません、自分もちょっとビックリで頭が……」
満身創痍の2人を見て、話を少し中断する。
ホッホ、詰め込みすぎたか? いや、これくらいで根を上げるようじゃまだまだ。甘やかしてはならんぞ虎影よーーホッホ、なんじゃい。やはり此方の弟子じゃ。これくらいじゃ根を上げんか。
少し時間を貰い、色々と整理を終えた2人は、再び虎影に真剣な眼差しを向けた。
「よし、続けよう。この3つの条件をクリアし、正統継承者に選ばれた者のみに"神格"の権利が与えられる」
キゼルが頷く横で、グレンはわかりやすく理解していない顔をしていた。
「では俺とグレンは、血も飲んだし、つい先日、千年様の神域で死を経験し、天告があった。つまり、俺たちには神格の権利があるってことですね?」
「うむ、その通りじゃ」
うぅ! やはり千年様は意味のない行動はしない!!!! 俺を殺したのも、俺を強くするため。 つまり、認めてるが故の殺め!! 感極まり!!!!
頬を赤くしてモジモジするキゼルとは対照的に、グレンはジタバタしながら、
「わ、か、ら〜〜ん!! 何が? どれが? はぁ? 言ってる意味がちっともわかんねぇ! もっとバカにもわかるように教えてくれよ! あ、教えてください!」
「はぁぁ」と深いため息をついた虎影は、キゼルに「己が説明せい」と言わんばかりに、顎をクイクイと動かした。
「(押し付けやがってクソジジイめ)
いいかグレン? お前は何の神通力者だ?」
「はぁ? 炎に決まってるじゃん! まさか、お前もバカになったのか?!」
あぁウゼェ。
「じゃあ、お前と同じ神通力を持っている神は誰だ?」
「何なんだよさっきからぁ。
(あ、もしかしてバカにもわかるように説明してくれてるのか? だとしたらナイスキゼル!) シャーマだ! シャーマ・ハイズヴェルム!」
「そう、炎神だな。それを踏まえて、もし仮に炎神が死んだ場合、次の炎神となるのがお前だ。神格の権利が与えられ、正統継承者になったってのはそういうことだ」
・・・!??!
「待て、じゃあシャーマ死んだら、俺神じゃん!!」
そう言ってるだろうが!! あぁ、疲れる。
「へぇぇ、それが正統継承者ってことね〜〜。え〜〜、でもなんか神になれるのは嬉しいけど、シャーマが死ぬのは嫌だなぁ。あいつあぁ見えていいやつだしーーあっ!! いいこと思いついた! 炎神2人体制ってのはどうだ!? それなら、なんか色々よくね? うわっやべ、俺天才!!」
「安心しろ、お前は変わらず間抜けだ。
いいか? 神格は、同性質の神通力者の中で1人しかできない。分かりやすく言うと、炎の神通力者の中から、炎神は1人しか誕生しないということだ。つまり、2人体制ってのは絶対に無理だ。ですよね?」
「うむその通りじゃ。絶対に、同性質の神通力者の中から神は1人しか誕生しない。それが世の理じゃ。では次に神格について話そう。神格とは、心臓内にある命源細胞を完全解放し、神の姿になることを指す。簡単に言うと、命源細胞と1つになるってことじゃ」
命源細胞と1つに…… ??
「師匠よろしいですか?」
「うむ」
「命源細胞と1つになった場合、命源の生成方法はどうなるんですか?」
「おぉ、良い質問じゃ。よいか? 命源と完全に一体化するのが神格。即ち、全身が命源細胞になると考えてよい。よって、体内にわざわざ吸収せずとも、空気中の命源が勝手にまとわりついてくるようになる。考え方としては、空気中の命源に触れる度にそれが自身のものになるってことじゃ。拒否はできない。つまり、無尽蔵に神通力が使えるようになる」
体内生成なしで無尽蔵に神通力が使えるのか。そりゃあ神族と俺らで階級が違うわけだ。
「では、なぜ神格できるものは、普段神格状態ではないのですか?」
「うむ、それは簡単なことで、神格状態が続くと、絶命するからじゃ」
「「ぜ、絶命?!」」
2人の驚いた表情に少し「ニヤ」っとした虎影は、2人に背を向け、何やら空間に文字を書き出した。
【神格時のメリット・デメリット】
【メリット】
・神通力並びに神力の大幅強化
・脳が活性化され、あらゆる判断能力・処理速度が大幅に向上する
・命源細胞への負荷がなくなる=命源細胞の許容が無限になる。
「まずはメリットから話すぞ。とその前に、1つ問うが、命源の吸収は無限に出来るか否か。理由も合わせて答えてみぃ」
このアホはどうせわからない。俺が答えるか。そう、キゼルが思った矢先、グレンが声高らかに手を上げた。
「はいはいっ!! 答えは否!! だって細胞には許容量があるから! 吸い込み続ければ細胞に影響を及ぼして……あれ、なんだっけ?」
そこまで分かってて……つうか答えまでいけないなら黙っとけアホが!
「許容を超えると細胞の機能が著しく低下します。それによって神通力の威力が弱まったり、身体への影響が出ます。さらに許容を大幅に超えると、寿命の減少や神通力が一定期間使えなくなるという大きなリスクがあります。なので、戦闘時以外は、極力神力は抑えるようにしています」
「うむ、その通りじゃ。では話を戻そう。まず、メリットにもある『命源の許容』。これは、先ほども言ったが神格をすればなくなる。つまり、命源を無限に、ノーリスクで吸収し、神通力を発動することが出来る。更に、通常時よりも全ての能力が遥かに強化される」
「うんうん」と頷く2人に再び背を向け、続きの文字を書き出す。
【デメリット】
・身体への負荷が倍以上かかる
・神格時は細胞への負荷はないが、神格する際には相当な負荷がかかる。
その為、神格は1日に1回(個人差あり)が限度とされている。
・神格状態が長時間(個人差あり)続くと、脳の機能が低下し、自我がなくなる。
それによって最終的には、命源が脳を支配し、命源をコントロール出来ないまま、飲み込まれ、絶命する。
「ーーって……デメリット多すぎだろ!!」
おぉ、グレンの割には中々いいことを言った。ただ、言い方はアホ丸出しだがな。
「ホッホ、グレンにしては良い疑問じゃ。確かに、デメリットの方が多い。それだけ、神格というものは脅威ということじゃ。さて、デメリットを提示したところで、キゼルに問題じゃ。神格をする際に最も大事なことはなんじゃと思うか?」
大事なこと?? なんだ、神力の操作か? いや、それは当たり前すぎる。……となれば、、
「……神格をする、そしてそれを解く『タイミング』ですかね?」
「ほぉ、その心は?」
「これを見る感じだと、回数と時間の制限がある以上、神格は後手必勝だと思います。つまり、後に神格した方が有利ということなる、従って重要なのはタイミング……ですか?」
・ ・ ・
「ーー拍手じゃ。素晴らしい。キゼルの言う通り、神格時に必要なのは、やるタイミングと引き際じゃ。それを見誤れば一気に形勢は傾く。じゃあどうすればよいか? 次はグレン! ポカ〜〜ンっとしてる場合じゃないぞ」
「え? そんなもん簡単じゃん」
「ほぉ、どれ聞いてみようかのぉ。何故そう思う?」
「え、だって、相手よりも神格状態を長く保てばよくない? そうしたら、先手も後手も関係ない。それに、逃げるようなら解けばいい。1日1回はあくまで目安だろ? なら、複数回に分けて神格したり、2回でも3回でも出来るようになればいい。あ、と思います」
こいつ……ほんっと脳筋だな。
「ホッホッホッ! そうじゃなぁ、グレンの言う通りじゃ。ここに書いてある制限はあくまでも目安。己が変われば目安も変わる。そうなれば、どんな敵とでも優位に立って争える。じゃが、口で言うは易し。死ぬほど修練し、相当な神力量・身体、命源細胞の強度がないとただの妄言じゃ」
「わかってるよ! だから、修行するんだろ?! あ、ですよね?」
「うむ、そうじゃ。これから己らには、神格の方法と解き方。そして、神格しても耐えられる肉体と、緻密な神力操作の修行をしてもらう。死ぬ気でついてこい!!」
「「押忍!!!」」
想像つかない神格の修行。最初は虎影となんて……そう思っていた2人だったが、その思いはどこへやら。期待と興奮を抑えられずにいた。
そんな中、キゼルの足が止まる。
待てよ、今の話をまとめると……このジジイ、本気じゃないのにあんな強いのか?! ってことは、神格したら…… うぅ、何か寒気がしてきた。よし、考えるのはやめよう
「あ、なぁジジイ、、師匠〜〜。結局教えてもらってないけど、"神域"ってのはなんなんだよ! ずぅぅっと違う話してるからモヤモヤしてるんですけど!」
「はぁ……グレンは目移りが早いのぉ。それよりも、今までの話は理解しておるのか?」
「大丈夫! 後でキゼルに聞くから!」
ぜってぇ教えねぇよ。
「はぁ、思いやられるのぉ。まぁよい。神域とは、従操の1つで、魂と肉体を切り離し、魂のみを、命源の中に移動させる力のことじゃ。要は、肉体は現実に残したまま、魂のみを命源の中に移す能力じゃ。まぁ幽体離脱みたいなもんじゃよ」
「つまり、気体である命源の中に入れるようにするということですか?! じゃあ、ここは師匠の……」
「察しがよくて助かる。キゼルの言う通り、ここは命源の中じゃ。それを神域と呼ぶ」
なるほど……あの時、千年様に殺された感覚も、痛みもあった。意識や感覚もリンクしてるのか? だとしたら、神格の条件を満たすにはもってこいの場所だ。死んだのに死んでないとは……そういうことか。
「魂には記憶や感覚などの全てが残っておる。それを神域に移すことで、魂が核となり、肉体や命源、感覚・記憶の全てを複製する。それを可能にするのが神域ということじゃ。つまり、ここで死んでも魂が現実に戻って、肉体に帰還するだけのこと。
故に、神域は神格の条件を満たす『死の経験』にはもってこいの場所なんじゃよ」
「なるほど。今ある肉体や感覚は魂の記憶からできたものということですね」
そういうことか。博士があの時、千年様に殺されるというのに堂々としてたのは、あいつが神域での死の意味を知ってたからか。俺たちに悟られないように演技してやがったのかあの女!!
「う〜〜ん、じゃぁあれか! 今いる俺は俺であって俺じゃない? いや俺か。あれ? つうか俺の本当の肉体は今どこにあるんだ? あ、現実か! え!? じゃあ現実の俺今どうなってんの?!」
うるせぇ……
「安心せい。ーー隔絶。これも従操の1種で、隔絶内にある肉体を隔絶外からの視認不可、また隔絶外からの干渉をできなくする力。
要は見えなくする、そこにないものとする力じゃ。だから襲われることはない。
ただ、魂の抜けた肉体は謂わば仮死状態。
数日程度であれば死にはせんが、神域に長居はできん。空っぽ状態の体は徐々に劣化するからのぉ」
因みに、隔絶は発動から約1週間と少しくらい経つと、自動的に解除される。
※発動者の神力量で前後する。
「よかったぁぁ。じゃあ何日かして戻れば大丈夫ってことだな! やったなキゼル!」
俺に変な同意を求めるバカが。
「さて、話も済んだことじゃ、早速修練に入るぞ」
「「はい!!」」
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一方その頃、
〈イギリス:バッキンガム宮殿〉
この国に出現した人外、アムス・ソレアのもとを1人の少年が訪ねた。
少年は、「神通力を持ってる。王に合わせろ」の一言。それを追い返そうとした警備数名を殺し、その後も入口で暴れ回った。
それをソレアは気に入り、御前に招き、話をした。
その中で、少年が『この星で生まれた神通力者』であることを知る。
念のため、種を渡し、神通力者か調べることにしたのだが、
「……キミ、この星で生まれた神通力者だったね? 真っ黒の命源花は初めて見たよ」
地球で生まれた場合は黒になるのか……それよりも、誰が力を?
「キミ、出身は?」
「生まれ? さぁ? あんま、自分のことわからへんねん」
出生不明……ね。
「そもそも、いつからこの力あんのかも分からへん。ただ、1つだけわかっとることがあるーー僕はかなり強い。役に立てると思うで?」
「ふっ、生意気ね。でも、ソレア気に入った。
無駄な詮索はしない。とりあえずキミは刻導、ソレアたちの仲間になりなさい。裏切ったときは……」
「心配せんでくれ。僕は強いけど、あんたよりは弱い。それくらいわかる」
「ふん、ならいい。ところで、名前は?」
「名前、、う〜〜んせやなぁ…… あ、ギムレット。
ギムレットでえぇわ」
「ギムレットね(偽名か)。じゃあ早速、キミに最初の任を与える。 各地に散らばったソレアの仲間に、この手紙を渡してほしいの。できる?」
「手紙? 渡すだけでえぇの?」
「うん。ちなみに刻導たちの居場所はキミが探して。渡すまで帰ってこないように」
「ふっ、なるほど。それで僕の力を試すってことやね? まぁそない簡単に仲間にしてくれるわけもないか。オ〜ケ〜。了解や。わかりやすくて助かるで。因みに、道中での殺しはありかな?」
「もちろんいいよ。その代わり自己責任で」
「りょ〜〜かい」
「よろしくね」
脅威、動き出す。




