諸葛孔明よ矢を奪え
俺の名前は諸葛孔明。天才だ。遠い異国の言葉でジーニアス! 我が国、蜀の矢が不足している。劉備玄徳の命により、3日で10万本を用立てないといけない。そこで敵国から奪う作戦を立案した。
1日目。まずは敵国の武器倉庫を襲う作戦。これは送り込んだ兵士が敵に見付かり捕まってしまった。少数精鋭だったのに。1日潰してしまった。ぷんすこ!
2日目。次は自信がある。て言うか劉備のマキシマムプレッシャーだ。早く用立てろと。作戦はこうだ。敵国に使者を送り、帰りに武器倉庫から矢を10万本猫ババしてもらう算段だ。集まった使者の数は5人…………無理ゲーじゃん。少数鈍鋭だよ。取り敢えず、5人の使者を送り込んだ。しかし、また捕まったとの一報が来た。ぷんすこ!
3日目。劉備のマキシマムプレッシャーが更に強くなる。耐えられない。そうなれば逃げちゃおう! 俺は息の掛かった者を数人連れて舟で河を下り、蜀から逃げ出した。だって劉備が怖いんだもん。舟には生きた豚を数十匹連れてきた。当面の食料にはなる。順調に河を下ってると思いきや敵兵に見付かってしまった。岸壁から矢を放ってくる。どんどん敵兵が集まってきた。ヤベー。舟に刺さった矢の重さで転覆してしまう。豚のけつにも矢が刺さる。ブヒーブヒー五月蝿い。
背に腹は代えられない。俺は蜀に戻る事にした。だが劉備に怒られるだろう。俺は玉座の間でまな板の上の鯉状態だ。劉備が玉座に座った。
「よくやった、孔明。褒美は何がいい?」
「へ?」
「陽動作戦とは考えも及ばなかったわ、ワッハッハ」
「へ?」
「お前が舟で陽動を掛けていた頃、1日目、2日目に送り込んだ兵士と使者が手薄になった武器倉庫から矢を10万本荷車に載せて盗ってきてくれたわ」
「あ、え、睨んだ通り作戦成功です」
「で、褒美は何がいい?」
「きゅ、休暇を」
「よろしい。暫し休め」
俺ってやっぱりジーニアス? 結果オーライだな。
「ところで孔明。何故、豚を連れて行った?」
俺はドキッとする。ここまで良い感じで話が進んでたのに。どう誤魔化そう…………? そうだ!
「そ、それも作戦ですよ。陽動をすれば敵兵に見付かり矢を放たれます。豚の体重により舟の復原力を保つものです」
「なるほど。流石は天才と呼ばれる男だ、ワッハッハ」
「ハハハハハ」
セーーーフ! セフセフ!
俺は束の間の休暇を楽しむのであった。
ーーおわりーー