8.可能性
眠る前の寝床の中。
僕は『進化樹』のスキルを使用する。
昼間はよく確認できなかったメッセージについて考察するためだ。
因みに、自分の姿はお昼に湖で確認した。
首筋から胸元に濃いグレーのラインが2本。背中から尻尾にかけて薄いグレーのラインが1本。
――中々カッコいい。
グレーラプトルというクラスは進化樹にないし、少なくとも3回進化までのクラスで灰色ラインの入るクラスは聞いたことがない。とってもレア。下手すると僕だけのカラーリングだ。
ついつい、ニヨニヨとニヤけたままみんなと合流して、引率のリネスさんに余計に怒られたのはご愛嬌ってヤツかな?
そうやってまたニヤけそうになりながらも、どうにか本題について思い出す。
危ない危ない。
ニヤけるのはいつでも出来るけど、進化樹の確認は余裕がある今じゃ無いと、やりにくいからね。
そして、目の前に広がる進化樹を。その端を改めて見る。
そこには確かに新たな分岐が発生していた。
しかも、リトルラプトルからエルダーラプトル以外への分岐である。
当然、昨日まではこんな分岐は無かった。
『リトルゼノラプトル』
ゼノというのが何かはわからないが、このまま成長するとゼノラプトルになることだけは容易に予想できる。
なぜこのクラスに進化したのか、このクラスにどんな能力があるかも分からない。でも。
『カッコイイ技が使える能力だと良いな』
一番重要なのはそこである。
ブルーラプトルの水撃爪。
イエローラプトルの感電脚。
レッドラプトルの炎熱牙。
こんな技が使える感じだと最高なんだけど、ブラウンラプトルの草花成長とかみたいだと、ちょっと微妙かな。
いや。便利なんだよ。とーっても便利だし、結構女の子受けは良いんだけどね。
ちょーっと僕の目指す方向性とは違うんだよね。
ごめんね。ブラウンラプトル。
とにかく、明日からはしばらくこのクラスの能力確認かな?
当然誰も知らないだろうし、自分であれこれ確かめていく必要がある。
2週間も外出禁止だし、色々試すにはちょうど良い時間と思うことにしよーっと。
それにしても、進化樹が新たに分岐するものだなんて初耳だよ。
つまり、ここにあるクラスは今まで誰かが切り拓いたクラスということかな?
でもね。だとすると。
――進化樹の反対の端を見る。そこにある文字列を。
6回進化の先駆者だった『オリジン』。
6回進化に至る道も、そして到達点も一つじゃ無い?
――うん。
俄然やる気が出て来たよ!
待っててね。進化の枝葉の先の先!
ここまでで第一章です。