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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第三章 若葉
71/308

68.胸を張って

今回はユニィ視点&マーロウ視点です。

短めです。

 一つ。ため息を吐く。


 今日、リーフェの所に研究者を名乗る人物――ノルディスさんが訪ねてきた。

 随分変な人だったけれど――脚竜族の研究者としては有名な人みたい。


 リーフェのクラスの珍しさとか、リーフェの『進化樹』のスキルとかに感動して帰っていった。

 とっても嬉しかった。とっても誇らしかった。

 そして――とても寂しかった。


 何だかリーフェだけが先に行ってしまいそうで。

 何だか私だけが取り残されそうで。


 だからかな?

 思わず「駄目」なんて言っちゃった。

 それに――


 ううん。

 こんなこと考えてちゃ駄目だよね。


 今は足手まといかもしれないけれど――

 私もリーフェに負けないように。

 いつかきっと――胸を張って契約者(パートナー)と言えるように。


 次の安息日は――そう。

 ロゼさんに王国北西部(この辺り)の道路や地形を教えて貰おうと思う。


 できれば『測位』のスキルも教わりたいけれど――

 そういえば、普通にスキルを習得しようとすると、どのぐらい掛かるんだろう?

 今度、ジョディさんに聞いてみようかな?



 ――――――


 脚竜族が居るのは村だけとは限らない。

 当然だが、人族の多く住む町にも脚竜族は住んでいる。


 彼らの大半は若者だが、中には老年の脚竜族もいる。

 彼らは村の長老達と比べて歴史には疎いが、その代わり情報網が広く他では得られない情報を持っているのだ。


 ――俺は今。

 王国北部に位置する人族の町――名前はシュ何とかだ――を訪れている。


 だがしかし――この人混みは何だろうか?

 冒険者ギルドや運送ギルドといった、脚竜族の集まりそうな場所を目指しているのだが――通りに人々が溢れていて、なかなかギルドにたどり着くことができない。


 しばらく戸惑っていた俺だが、疑問はあっさりと解けた。

 街行く人々の幾人かが「ぎんかん()()」という言葉を発していたのだ。


 (さい)


 つまりは――何らかの祭りが開かれているということなのだろう。



 俺は人混みに流されるように道を進み、やがて――広場へとたどり着いた。

 その広場も多くの人で賑わっていたのだが――俺の目を引いたのは広場の中央辺りに聳え立つ石像だった。


 10m程の高さの――人族の女性の石像。

 その右手には杖が握られ、左手には書物が握られている。

 その佇まいに。その視線に。何故か興味を持たされたのだ。


 ――やれやれ。


 気になったことは調べずにはいられない。己がことながら困った性分だ。

 俺はその石像の詳細を確認するため、広場の中央部分へと近付いていった。


 石像へと近付くに従い、人の壁は薄くなる。

 そして――視界から隠れていた()()が姿を現した。


『――これはリーフェにも伝えないとな』


 そこに続くのは女性に向け跪く男の石像。その眼前の台座には冠が乗っている。


 ――いや。問題はその男の服装だろう。


 これから式典にでも出るかのような正装。

 左目に掛かる片眼鏡。

 傍らに置かれた杖と円筒形の鍔付き帽子。


 ああ恐らく――この石像が示すであろうこの場面においては、何の違和感もないその服装。


 そして――町でも村でも荒野でも。

 かの童話の中の主人公が纏い続けた、()()なるその服装。



 俺は運送ギルドを目指し歩きだす。

 運送ギルドならば――仮宿にもできることだろう。


 ――この町にはしばらく滞在することになりそうだ。




 最近いいねを頂きました。

 ありがとうございます。


 文章力改善の参考にしたいので、今後も面白い話とか上手い展開とかありましたら、押して頂けると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] すいません。いいね押すの忘れてました
2022/04/15 13:44 退会済み
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