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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
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48.悩めるふたり

竜生(じんせい)って、どうしていつもこう――ままならないんだろ』


 リーフェが前脚を見ながら、何か呟いている。

 先週のあの日(覚成の儀)以来、リーフェはずっとこんな調子だ。


 どうやら、進化したクラスが思ってたのと違ったみたい。

 リーフェは『なんか付いてる』としか言わなかったから、どんなクラスなのか良く分からなかったんだけど――

 見た目が一回り大きくなったぐらいで、模様とかも前と同じだったのが――ショックだったのかな?


 でも、結果的には()()()()()()に進化したみたいだし――サギリさんも『流石リーフェね』って()()()()じゃない。


 そう言って励ましてみたけど――まだ元気が出ないみたい。

 ちょっと重症なのかも。


 でも今日は――

 重要な相談があるから、そろそろ気を取り直してほしいな。


 なんて思うのだけど。


『きっと何かあるはずなんだ。きっと――』


 やっぱり、もう少し時間が掛かりそう。

 今日はもう諦めた方が良いのかな。



 ――――――


 ――はぁ。


 ()()を見て、思わず溜め息が溢れてしまう。


 今僕が眺めているのは進化樹。

 そう、先日僕が進化した()()クラスだ。


『どうしてこんな事になったんだろ』


 思い返しても何の心当たりもない。


 いや――本当にそうだろうか?

 僕は自問自答する。


 記憶の隅から隅まで。

 それこそ、わずかに残る前世の記憶まで。

 記憶という名の箱という箱を全てひっくり返して。


 だけど――

 やっぱり何の心当たりもない。


 僕は悩む。

 ただ――悩む。


 ああ。


 ――『エルダーラプトル’』の『’』って、どうやって読むの?



 悩みに悩んで――紙に書いてユニィに聞いてみた。


「――『ぴょん』で良いんじゃない?」


 目を細めながらこう答えてくれた。

 何の感情も伝わってこなかった。



 ――――――


『ありがとうユニィ。何だかスッキリしたよ』


 今まで悩んでいたのが嘘みたいだ。

 ――ユニィに相談して良かった。

 僕は心からの感謝の気持ちを伝えた。


 ――自分の好きなように読めば良い。


 そのシンプルな答えに気づかせてくれたから。

 そして――


『ユニィも何か悩んでるんじゃないの? 僕で良ければ何でも聞くよ?』


 そう。先程から悩みと決意の気持ちが交互に伝わってきていたのだ。

 ――『ぴょん』の時以外。



「――うん。――あのね」


 ユニィがポツリポツリと話し始める。


『うんうん。それで?』


 今日の晩御飯でも明日のおやつでも、何でもどんと来いだよ!


「私ね。リーフェに相談があるの」


 ――ん? 僕に?

 まぁ――草団子以外ならありがたく頂くよ?


 僕は目線で先を促す。


「私ももうすぐ誕生日が来て大人になるでしょ?」


 ――あれ? もしかして真面目な話?

 僕は思わず首を傾けてユニィを見る。

 『それっておいしいの?』のポーズだ。


「それで――大人になったら村を出ようかなって」


 僕は黙ってユニィの言葉を聞く。


「だからね――リーフェにも一緒に付いてきて貰いたいの」


『もちろんだよ!』


 僕は迷わず即答した。

 だって、まだまだユニィと冒険したいし、何より僕達はパートナーだからね!


「――うん。うん。ありがと――」


 僕の答えを聞いて――何故かユニィが泣きそうになっていた。そんなに悩んでたのかな?

 そして――


「それでね。――私、ライリーさんとラズウェルさんみたいに――私とリーフェが一緒にできる仕事が何かって考えたの」


 ユニィの声が、少しずつ熱を帯びた声に変わる。


「そしたらね。これしかないって」


 まぁ、お仕事と言ったら――半分経験者みたいなものだし、()()しかないよね。




 ――3分後。


『却下だね』


 うん。

 ソニアみたいな上目遣いをしても駄目だから。

 「いっぱい練習したのにー」とか言われても駄目だから。


 だって――凄く不吉(全てを失いそう)だから。

 因みに作者は『’』を『ダッシュ』と読んで(呼んで)ました。

 ――この話を書く前までは。


 今では『’』は『ぴょん』にしか見えません。ユニィさん凄いっす。


 ※読者の皆様はご自由にお読み下さい



 次回第2章の最終話です。

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