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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
47/308

46.変化

今回短めです。

『なぁ。リーフェ』


『ん? 何、マーロウ?』


 僕は、マーロウと一緒に文献を調査していた。

 もちろん調査しているのは「ホラ吹き奇術師」に関連しそうな逸話の類だ。


『お前さぁ――』


 僕は文字を追う目を一度上げてマーロウの顔を()()()()

 マーロウが僕の目を見た。


『本気で手伝う気あるのか?』


 僕は前脚で広げていた()()を傍らに置くと、抗議する。

 いくらマーロウ(親友)でも、その言葉は許せないよ。


『確かに僕が読んでるのは「物語」だけど――過去の逸話が、物語として語られているかもしれないじゃないか』


 僕は文献のタイトル――「天衣の巫女と失われし頭環2」――に視線を移す。


 ――どこにヒントがあるかなんて分からないからね。

 それにほら。

「ホラ吹き奇術師の」の逸話の中にもあったじゃないか――彼は失われし聖環を懐から取り出してみせた――って。


 僕はもう一度マーロウの顔を見る。目を見る。


『――それ、先月発行されたばかりの冒険物語だろ? 俺も読んだ――っていうか、俺の本棚から持ってきたんじゃないのか? それ』


 僕は()()をそっと背中に隠した。

 ――ごめん。ちょっとだけ文献を漁ることに疲れてたんだ。



 僕の反省した態度(平謝り)が功を奏したのかは分からないけど――はぁという溜め息と共にマーロウの態度が軟化した。


『確かに根を詰めすぎても良くないし、休憩がてら何か食い(狩り)にでもいくか』


『流石マーロウ。話が分かる!』


『当然、お前が主体で狩る(おごる)んだからな』


 ――うん。まぁそうだよね。



 ――――――


『――今日も空振りかなぁ』


『ま、仕方ないな。そんなすぐに結果が出るなんて、甘い訳ないだろ』


『えー。そうかなぁ――』


 僕達は村の外に向けて広場を歩いていた。


 文献調査はとにかく肩がこる。おなかがすく。

 僕達脚竜族は動いていないと落ち着かない種族(いきもの)だ。

 だから、調査の合間には外での狩りという()()が必要なのだ。



『あら? 二竜(ふたり)でデートかしら』


『なんだよサギリ。僕達より先に『エルダーラプトル』になったからって、上から目線は無いんじゃない?』


 そんな僕達の前方から現れたのはサギリだ。

 彼女はつい先日『エルダーラプトル』に進化した。

 そして――


『マーロウもすぐに成竜(おとな)になるんだし、リーフェの手伝いばかりしてないで、自分磨き(進化因子の追求)でもしたら?』


 そう。『エルダーラプトル』になってから、僕達との付き合いが悪い。

 今日も村の外で速く走るための訓練をしていたようだ。

 誘った僕らにも『子竜(こども)は良いわね』とか言ってたし。


 ――それって、誕生日が少し早いだけでしょ?

 サギリは今日も理不尽だ。


 それと比べて――


『ああ。俺は元々「知識」を追求してるからな。全く問題なしだ。それとも――お前が代わりにリーフェと調査するか?』


 おお。それでこそ我が親友(とも)

 それに比べて――僕は宿敵(サギリ)の目を見る。瞳の中を見る。


『――何よ』


『1か月後――』


 僕は言葉を切る。


『――僕の進化(2回進化)を見て驚かないでよ?』



 ――――――


 ――私は最近少しおかしい。


 気付いたのは成竜となってすぐ。

 いつもの様にリーフェとマーロウに誘われたんだけど――思わず断ってしまった。


 何故かは――分からない。

 気付いた時には、断った上に『子竜は良いわね』とまで言ってしまっていた。


 ――私がこんな憎まれ口を叩き始めたのはいつからだろう。

 随分と前で思い出せない。


 でも。それでも。

 なんだかんだ言って三竜(さんにん)で行動していたし、それが居心地良かったはず。


 それなのに、今は――

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