44.影を追う
今回は短めです。
「またね。リーフェ」
「キュロちゃんまたねー!」
今日もソニアと共にリーフェを見送る。
最近では、いつもの光景。
でも、いつまでもいつもではいられない。
――先日のフォリアの町へのおつかいで。
私にも少しだけやりたいことが見えてきた。
巨人族の――ええっと――ライリーさん。
ライリーさんに、なぜお花屋さんをやってるか聞いてみたの。
だって――ライリーさんの見た目のイメージとお花屋さんのイメージが、全く合わないんだもん。
そしたら――「ラズウェルがいたから」だって。
あんまり詳しくは教えてくれなかったけど――以前冒険者をやってた頃に、ラズウェルさんに命を救われたみたい。
その後契約者になって――一緒に何かできる仕事ということで、お花屋さんを始めたんだって。
「儲かってないんだ」と口では言ってたけど――何だか素敵だなぁ。そういうの。
だから――私も。
リーフェと一緒にできるお仕事。
そういうお仕事がしたいな――って。
幸い私達に向いてそうなお仕事もありそうだし――ね。
「おねぇちゃーん。早く帰らないとかぜひくよー」
ソニアの言葉に意識を戻す。
「待ってよ。ソニア!」
肌寒さを感じる夕陽の中。
私はソニアの影を追う。
巣立ちの日までは――あと半年と少し。
――――――
微睡みの中。僕は進化樹を眺めている。
ユニィと出会って進化してから、進化樹の見方も変わってきた――と思う。
それまではオリジンやその他の5回進化に至る進化条件を夢想している――だけだった。
でも例えば最近は――
『『パワーラプトル』からの進化先は――えぇっと――『マスキュララプトル』と『ヘビーラプトル』で、種族傾向としては――』
このような感じで、2回進化のクラスから3回進化のクラスへの進化傾向を調べている。
その結果は今のところ予想通りで、大半の3回進化は2回進化の時の特徴が強化されたものだった。
数少ない例外は2つ以上の特徴を併せ持つ複合型のクラスなので除外して考えると――3回進化時点では、クラス特性の強化が進化のカギということで間違いなさそうだ。
例えば、先程の『パワーラプトル』の例でいくと、そのまま頭骨の中身を筋肉に置き換えると『マスキュララプトル』。
力を質量に求めると『ヘビーラプトル』といった具合で、いずれも「力」という特徴を強化する進化となっている。
うん。
この辺りは脚竜族全体の経験則とも一致しているね。
――そうすると。
視線を進化樹の根元側に戻す。
『リトルゼノラプトル』
その進化先を順当に考えると――たぶん成竜になると同時に『ゼノラプトル』に進化するんだと思う。
――では、その先は?
先程の進化傾向を頭に入れて、『ゼノラプトル』つまりは『リトルゼノラプトル』の特徴をもう一度考えてみた。
その1。
異空間と接続する穴を開けることができる。
――これはスキル検証の結果、僕達四にんが出した結論だ。
――以上
うん。
分かってたけど、やっぱり情報が足りないね。
単純にこれだけの情報の中で考えると――異空間とか接続とか――穴開けとか――特徴はこのぐらいかなぁ。
最後の一つには何故か心擽られる気がするけど――
うーん。さっぱり分かんないや。
情報を増やすために――僕もマーロウの調査を本格的に手伝った方が良いのかも。
明日マーロウに話してみよっと。
成竜まであと半年。
時間は長いようで――短い。
次話から2章最終エピソードです。
3章以降に向けて軌道調整がなされる――予定。




