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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
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40.ポーターと子供達

「ここが運送ギルドかな?」


『多分そうだよ。ほら』


 僕達は、南門前の広場に面した大きな建物の前にいた。

 その建物にはさっきから何竜(なんにん)もの脚竜族が出入りしている。

 騎竜契約者の半数がポーター――という薬師ギルドでの話を考えると、ここが運送ギルドで間違いない――と思う。

 ユニィも分かってはいると思うんだけど――ちょっとしり込みでもしてるのかな?


 ――ちなみに、ここまでの道順はラズ兄ちゃん達に教えて貰った。

 お小遣い(カラメル焼き)も貰ったし、やっぱりラズ兄ちゃんは優しいな。

 巨人のタインさんとはあまり話せなかったけど――ユニィはすっかり打ち解けてたみたい。

 また今度ユニィと一緒に遊びに来ようかな。


 僕がそんなことを考えている内に、ユニィの覚悟も出来たようだ。

 小さく握りこぶしを作っている。


「行こう。リーフェ」


 僕達は並んでその建物の中に入った。



 ――――――


 人の判断力は簡単に低下する。


 私はその日もギルドの休憩所で休息をとっていた。

 別にさぼっていたわけではない。

 仕事を終えた後の体を休めるため。そして――新たな情報を得るためだ。


 私達ポーターは、その名の通り人や物を運ぶだけの仕事――と世間では思われているかもしれない。

 まぁ、その認識は()()正しい。


 確かに、人や物を目的地へと運ぶこと。それが私達の仕事だ。

 だけど――そこには()()()という言葉が付け加えられる。

 道路事情や魔物の発生状況は当然。確実性を求めるなら各国の景気、政情から流行りの娯楽に至るまで。

 情報はいくらあっても困るものではない。

 これができない奴はいつまで経っても三流(Eクラス)だし、いつの間にか姿()()()()()()()()


 だから私はギルドで休息をとる。

 ――決してさぼっているわけではない。

 例え右手にアルコールの入った器が握られていようと――だ。



 その日の情報は――新たな騎竜持ちの話題だった。

 何でも、門の外にいるところを見た奴がいるらしい。

 しかも契約者の方は、成人したかしていないかといった年頃の少女。

 こいつは期待の新人か?

 ――ってことで、いつもよりも人が多い。お前達暇だな。



 話題の騎竜持ちが現れたのは、昼も大きく回った時間だった。


 ――()()()じゃないか。一目見て思う。

 いや。契約者の方ではない――騎竜の方の話だ。

 見た事のない模様をしているが、あの大きさはリトルラプトルのはずだ。


 私の胸の中で好奇心が膨らむ。

 ――私の記憶が確かなら――普通、子竜(こども)の脚竜族は契約をしない。

 だが、実際にそれ(子竜の騎竜)が目の前にいる。

 私は思わずその子達に声を掛けていた。


 いつもより酔いが回っていたのだろうか。


 ああ。

 ――人の判断力は簡単に低下する。



 ――――――


「なるほど。ポーターの仕事には、人を輸送する仕事、物を輸送する仕事、人に付いて荷物を持ち運ぶ仕事があるんですね」


「そうだね。一括りにポーターといっても色々だよ。使うものは鞄一つだったり、馬車や竜車だったり。この辺ではいないけど、船を使う奴もいるんだ」


 僕達は運送ギルドの休憩所――みたいな所のテーブルを囲んでいた。

 今僕達に色々教えてくれているのは、ジョディさんという黒髪のお姉さんだ。


 突然()()声をかけてきた時はびっくりしたけど、僕の返事が聞こえていないのにもびっくりした。

 てっきりどこかの誰かの契約者で、(脚竜族)の声が聞こえるものだと思ったんだけど。


 ――あと、まだお昼なのにちょっとお酒臭いのにもびっくりした。

 さっきから飲んでるの――お酒だよね?



 そんな風に、酒好きお姉さんからポーターの話を聞いている時だった。


「そこを何とかお願いします!」


 その声に思わず振り向く。


 僕の目に入ったのは受付のカウンター。

 ――その前で、薄汚れた格好の少年が大きな声を上げていた。

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