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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
35/308

34.なりたいものなれるもの

 今回はユニィ視点です。

 いつもよりも短めです。

『おやすみなさい』


 私は『ポケット』を使ってリーフェにおやすみのメッセージを送る。

 そして、日課の計算の()()()を始める。


 以前は本当に寝る前にメッセージを送っていたんだけれど――リーフェって夜はかなり早く寝ちゃうみたい。

 いつもおやすみのメッセージを()()読んでることが分かったから――最近は早めに送ることにしている。

 どちらにしろ、リーフェからはめったに返事が来ないんだけどね。



 ――あの薬草採取の日から3週間が過ぎた。

 あの日から今日まで色々あって、あっという間の3週間だったと思う。


 まず驚いたのは、カロンさんの所に私達宛の報奨金が届いていたこと。

 マルクさんが「クオルツ村の薬師」――ってのを覚えていて、密猟者捕縛の報奨金の一部を送ってくれていた。

 全部で銀貨5枚――って、カロンさんに返済する額と同じだったんだけど、流石に全部貰うわけにはいかないから。

 半分は薬草が取れなかった分としてカロンさんに渡して、残りの半分だけ――薬の代金の一部に充てさせて貰った。

 カロンさんは「真面目ねぇ」と笑っていたし、リーフェは少し涙目になっていたけど。

 そこは譲れないと思ったから。ごめんねリーフェ。


 でも、これで今までのお手伝い分と合わせて、ずいぶん返せたかな?

 計算して確かめてみる。

 ――うーん。残り18回分――かな? まだちょっと計算には自信がない。


 次は――カロンさんから教えてもらったんだけど、ネザレ湿原でネザツレ草が取れなくなった理由が分かったみたい。何だかネザレ湿原には魔物が沢山いて、その魔物が悪さしてたんだって。

 だから今、ネザレ湿原ではその魔物退治が行われているみたい。

 ――魔物。ちょっと背筋が寒くなる。あの時、その魔物がすぐ傍に居たってことだよね。

 出会わなくて本当に良かった。


 あとは――そうだ。

 あの時リーフェが使った『ポケット』だけど、いつもより大きな穴が開いていた――と思う。

 リーフェも『僕も成長したんだよ!』とか言ってたけど――

 帰ってきてから使ってみたら、いつもと同じ大きさだった。

 なんでだろう?



 他にも細かいことはあったんだけど。

 ――うん。考え事をしていたら少し眠くなっちゃった。

 私は机からベッドへと移動する。



 ベッドに寝ころびながら。

 私は()()()について考える。


 ――あと1年弱。


 私が成人して独り立ちする日。しなければいけない日。

 ――12歳の誕生日まで、既に1年を切っている。


 そろそろなりたい職業を決めないといけない。

 まずは見習いから始めるんだけど――私はまだ決めることができない。

 リーフェと出会う前は、漠然と村で農家のお手伝いをするのかな――ぐらいしか考えていなかった。

 でも今は――


「冒険者かぁ」


 私は呟く。


 ネザレ湿原でマルクさんに話を聞いたとき。

 今まで冒険者は強い人がなるんだと思ってたけど、そうじゃない在り方もあることに気付いた。

 今まで考えてもみなかった冒険者。

 もちろん、向き不向きでいえば向かない職業だとは思うけど。


 なりたいもの。

 なれるもの。


 ――この1年はそれを探していこうと思う。



 目を瞑る。


 ふ――と。

 リーフェの言葉が聞こえてきた気がする。


『――待っててね。進化の枝葉の先の先――』


 ――あーあ。あんな風に無邪気に目指せるものがあったら良いのにな。


 次回から第4エピソードです。


 次のエピソードはもう少し肩の力を抜けるエピソードになる……はずです。

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