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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
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283.導き

 ――『インスペクト』。


 再び頭上を見上げた俺は、迷わず術を起動する。

 先程は思考を誘導されてしまったが、()()()が分かっているのであれば問題はない。

 再び流れ来る情報に目を向ける。


 情報の中に紛れ込む『力』の流れ。

 微小なそれを意識し、受け流すように。

 情報のみを読み取っていく――――だが。

 すぐに、先程とは情報の流れが異なることに気付いた。


 こいつは――思考を誘導する『力』が強くなっているのか?


 いや、もちろん。

 今も『力』が微小であることには変わりない。

 だが――その微小な『力』が、感じ得る限り徐々に徐々に増しているのだ。

 まるで、俺達が長年術を使い続けることで成長し、その範囲や威力が増すように。


 しかし――俺の頭には、同時に疑問が浮かぶ。


 ――仮に成長だとしても、いくら何でも早すぎるんじゃねぇか?

 それに――先程まではこのような明確な『力』の増加は無かった。

 突然。しかも急激に成長するとなると――やはり、単なる成長とは考え難いのでは?


 いや――

 俺は頭を振った。

 今重要なのは、()()成長しているのかではない。

 それも興味をそそられる話だが、今は。

 ()()()()()()()この成長を止めるかの方が重要だ。

 このまま放っておいては、また思考を誘導されてしまうかもしれない。

 そうなってしまっては楽しめるものも楽しめないだろう。


 そうだな――何か。何か手掛かりは無いだろうか。

 俺は記憶を辿る。


 この場所、そして芯理の央樹についての情報は。

 全て魔人族の集落で入手したものだ。

 その中で手掛かりになりそうなのは――魔人族の老人との会話で得られた、一つの言葉。

 確か――「選ばれし者は、芯理の央樹に導かれる」だったか?


 芯理の央樹。

 その場所とそこに至る足跡(そくせき)ばかりに注視していたので、この言葉の意味についてはあまり深く考えていなかったが――


 そのまま俺は。

 再度。今度は大樹全体を俯瞰するように『力』の流れを注視して視た。

 すると先程のリーフェの言葉通り、俺以外の皆にも『力』が作用していることが分かる。

 つまりは――先程の俺と同じように思考を誘導されているのだろう。


 そう思っていたが――ふたりだけその様相が異なっていた。


 一人はユニィ。

 恐らくそのスキルに起因するものと思われるが、一人だけ流れ込む『力』が強い。

 少なくとも他の3倍は流れ込んでいるだろう。


 もう一竜(ひとり)はサギリ。

 他の皆と同じ様に大樹からサギリに『力』が流れ込んでいるのだが――

 サギリから大樹にも同種の『力』が流れていた。


 ――ユニィはともかく。サギリのこれは一体どういうことだ?


 俺は――自然と自らの口角が上がるのを感じていた。


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