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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
288/308

276.白く淡く

展開都合上、少し短めです。

『まったく――男竜(おとこ)って、どうしてこうなのかしら』


 いつものように。

 またサギリが悪態をついている。

 何が気に入らないのか知らないけど、勘弁して欲しい。

 さっきからユニィも困ってるの、お前にも伝わってるだろ?

 そんな気持ちを込めて軽く睨むと、思いっきり睨み返された――相変わらず理不尽だ。


『おい。じゃれてないで行くぞ』


 マーロウの言葉に振り返ると、ステュクスおじさんとトリム兄貴は既に出発していた。


『そうだね。僕達も早く行こう』


 僕も慌ててユニィに声を掛ける。

 でも――あんなところどうやって行くつもりだろう。

 空に輝く淡い光を見上げた。


 それに――

 マーロウの言っていた『あの光。多分お前のスキルとも関係あるぞ』という言葉。

 その意味も気に掛かる。


『まぁ、行ってみればわかるよね』


 ユニィが背中に乗ったのを確認して。

 いつの間にか先を行くサギリの背を追った。



 ――――――


 ――本当にバカばっかりなんだから。


 『ついでだから』と訳の分からない所に行こうとするマーロウも。

 『進化の手掛かりがあるかもしれねーぞ』という言葉に釣られて従うリーフェも。

 『良いんじゃね』とか『そのぐらい構わん』とか言って反対しないその他二竜(ふたり)も。


 もうリーフェを連れ帰るという目的の大半は達成して、後は帰るだけのはずなのに――何故そういう発想になるかが分からない。

 先導するマーロウの背中を見る。

 そのまま睨みつけるようにじっ――と見ていると、その背中に振り下ろしたくなって、思わず尻尾を回してしまった。

 すぐに気付いて自制する。


 ――ちょっとナーバスになってるのかも。


 頭の中を切り替えようと、頭上の白い光を見た。


 なぜだかは分からないけれど、あの光を見ていると――心が凪いでくる。

 考えていたことが曖昧に。

 でも、あの日の幼き決意は鮮明に――


 自然と。

 地面を蹴る脚にも力が入る。


『――速く。もっと速く――』


 先程まで感じていたはずの怒りは――既に私の中から消えていた。


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