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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
282/308

270.魔人族

体調不良につき短めです。

「ようやく見えてきたな」


 相棒の呟きに『ああ』とだけ返す。

 薄闇の中。遠目に見える石積みの塀(人工物)が、その存在を主張している。

 あれがリーフェが捕らえられたかとかいう魔人族の集落なのだろう。


「大丈夫かな。リーフェ」


『大丈夫でしょ。バカ竜は死なないって言うじゃない』


 ――サギリの意味不明な理論は置いておいて。

 俺は、聖国の蔵書室で読んだ本。その内容を思い出しながら答えた。


『大丈夫だろ。魔人族だからと言って好戦的な種族とは限らないからな』


 魔人族が忌避すべき存在とされるようになったのは、恐らく500年程前の「魔王」と呼ばれた魔人族の大魔。その出現による所が大きいだろう。

 その討伐に当たった「勇者」や「聖女」と呼ばれた者たちの冒険譚の一節として、魔人族である「魔王」の暴虐が描かれており、その暴虐のイメージが魔人族自体を忌避すべき存在として認識させるに至ったのだ。


 ――まぁ、このふたりには理解できないようだがな。


 まだ何か呟いているふたりを無視して、背中の相棒に話しかける。


『このまままっすぐ向かうのか?』


「ああ。余計なことはせず、普通に訪問した方が良いだろう」


『――そうだな。お前達も行くぞ』


 そうとだけ告げて、俺は駆けだした。



 ――――――


「みちくちなく!」

「かだひふたざけまうすぬき!」


 向けられた槍と、意味が分からなくとも強い口調の言葉。

 黒いローブを纏った魔人族達による思った以上に強烈な歓迎に、思わず顔をしかめてしまう。


 ――あいつ。一体何したんだ?


「我々の言葉が分かるものを呼んでもらえないだろうか」


 そんな中でも、相棒は冷静かつ穏やかに対応する。

 身振り手振りを交えた言葉に徐々に落ち着きを取り戻したのか、槍を向けていた魔人族達も構えを解いた。


「また表の客じとは、何かおきたのか?」


 ――と。

 集まってくる人々の中から、聞き取ることのできる言葉が掛けられた。


「これはお騒がせしてすみません。私達はこの者達の様な脚竜族を探しているのですが――心当たりはありませんでしょうか?」


 相棒がその言葉の発生源――杖を突いた老人に問う。


「――あの者達。それなら先程逃げた。お前達仲間か?」


「いえ。捕らえるために探しているのです」


 ――リーフェの奴、やはり何かやらかしたようだな。

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