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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
279/308

267.怒り

『おい。いい加減に機嫌直したらどうなんだ?』


 ――おじさん(極悪竜)が何かを言っている。

 反省の色など、欠片すらも見えない。

 ――いや。

 いくら反省していたとしても、()()気なんか全くないけれど。


『おじさんの事、見損なったよ。そんな(ひと)だとは思わなかった』


『――めんどくせぇ奴だな』


 おじさんがイライラし始めているみたいけど、無視無視。

 僕はおじさんに背を向け、扉に相対した。


 何度調べても、こちらから開く方法は見当たらない。

 やはり、扉を開くためにはむこう側から開く――つまり、外から扉を開けてもらう必要があるだろう。


 とはいうものの。

 当然、外から扉を開けてもらうことは容易ではない。

 これまでも何度か扉を叩いてみたけれど――無視をしているのか、聞こえても黙っているのか。

 一切――反応がない。


 ――だけど。


 僕は扉の下部に唯一開く、横長の穴を見つめた。


 おじさんが仮眠中の僕を起こさなかったせいで、失われてしまった好機。

 僕の腹時計が間違っていなければ、()()()()だ。


 『サーチ』の術を使う。

 対象は『魔性』の因子。つまりは魔物。

 僅かに走る冷たい感覚と同時、周囲に広がる紫色の光。

 そして――


 ――やっぱりだね。


 光の中の一つが。

 ゆっくりとこちらに近づいてくるのが分かる。

 ――そう。

 待ちに待った昼食の時間が訪れたのだ。


 『サーチ』の術がなくとも、扉の外側に感じる気配。

 僅かな動きの後に、お皿によそわれたお粥状の穀類が二皿。

 扉下部の穴から差し込まれて――次の瞬間、僕は。それを二皿とも平らげた。


『おい。てめぇ何やってんだ?』


 おじさんが詰め寄ってくる。

 だけど、僕にも言わなければいけない言葉がある。


『朝食の時、ちゃんと起こしてくれなかった罰だよ!』


『――――ぁあ?』


 おじさんがどすの利いた声を上げたけど、僕も引くことはできない。


『何か文句あるの?』


『朝飯食えなかったのは、てめぇの自己責任だろうが』


 おじさんの言葉。

 その語尾は震えていて、怒りがしっかりと滲み出ている。


 ――そろそろかな?

 扉の外側から走り去る気配を感じ、僕は一息ついた。


『ねぇおじさん――もう良いよ。多分、誰かを呼びに行ったから』


『あ? んなことはどうでも良いんだよ。てめぇ、さっきのはどういう了見だって聞いてんだよ』




 ――――あれ?

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