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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
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264.部屋の中

第7エピソード。遂に視点が戻ってきます。

 ――うん。

 まずは落ち着いて、状況を整理してみよう。


 未だ朦朧とする頭を少しだけ持ち上げて、周囲の状況を確認することにした。

 僕達が今居るのは石造りの部屋の中。

 広さは5m四方ぐらいだろうか。人族であればともかく、僕達脚竜族にとっては狭い部屋だ。

 部屋に窓は無く、四方の壁の一つに金属製の扉があるだけ。

 部屋の中も隅の方にヘンテコな形の壺が置いてある他は、家具と言えるようなものもなく――随分と殺風景な印象だ。


 そして。

 そんな部屋に二竜(ふたり)きり。僕とステュクスおじさんは、押し込められているんだけど――

 ()()()()にも目の前のおじさんは、いびきを立てて眠っている。

 こんな所でぐっすり眠れるなんて、本当に呑気なものだ。どんな神経をしているんだろう。


『ねぇ、おじさん。いつまでも眠ってないで、あの扉を開ける方法を考えようよ』


 おじさんの腰回りを尻尾の先で軽く(つつ)く。突く。突く。

 いつまでも起きないので、徐々に動きが雑になる。えい。


『――あ? ああ。やっと起きたのか。相変わらずどこでもぐっすりと眠れる奴だな――中々起きないから俺も眠ってしまったじゃないか』


『何言ってるのおじさん。ぐっすりなんて眠れるわけ無いでしょ? 仮眠は取れたけど、体感的には9時間ぐらいしか眠れてないよ』


 やっと起きたと思ったら、本当にこの(ひと)は何を言ってるんだろうか。

 少し気に食わないけど、でもまぁ。

 今はそんなことよりも――


 僕は、振り返りながら言葉を続けた。


『そんなことより、ここから出るためにはあの扉をどうにかして開けないと』


 改めて扉を見る。

 無機質なこの扉。開こうと思ってもこちら側にはノブも何もない。

 何度見ても、あるのは扉下端の横長の穴だけだ。


 何か分からないかと扉に近づいて、穴に顔を近づけてみたけれど――床が少し見えるだけで何も分からない。

 それじゃあと思って、尻尾で扉を軽く叩いてみたけれど――ドンと重たい音がするだけで、びくともしそうに無い。

 単に尻尾が痛いだけだ。


『そんなもの、叩いたとこで開くわけ無いだろう?』


 後ろからの声は無視して、もう一度、二度。扉を叩く。

 尻尾の痛みと共に、ドンドンと音が響いて――やっぱりそれだけだった。


『誰か来てくれないかと思ったけど――駄目だね。聞こえないみたい』


『奴らが来ても無駄だろ。どうせ話なぞ通じないからな。それよりも、助けの方はどうなんだ? お前の契約者達も()()()に来たんだろ?』


『うん。手紙は受け取ってくれたみたいなんだけど――まだここからは遠いみたい』


 そう答えて『サーチ』の術を起動し、『力』の加減を変えて探ってみた――けど。

 昨日よりは近づいていることは分かるけど、100kmとか多少精度良く分かる範囲には居なくて、もっと遠くだということしか分からない。


『そうか。せめて俺の術が奴らに効けばこんなことにはならなかったんだがな』


『そうだけどそうじゃないよ』


 おじさんが漏らした呟きに――僕は昨日の出来事を思い返していた。

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