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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
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259.入山許可

「やっぱり時代はこれだよなこれ。お前もそう思うだろ?」


 ――朝早くフォリアの町を出発し、俺達は今。

 ネザレ湿原に最も近い町。シュ何とかの町の冒険者ギルドに居た。


 そして――先程から何故か。

 黒髪の少年が俺の背中を撫でながら、何事かを呟いている。


 ――やけになれなれしいんだが、こいつ本当に誰だ?


 俺には心当たりがない事からすると、どうせまたリーフェの知り合いだとは思うんだが――今朝の奴らといいこいつといい、あいつの知り合いはこんなのばかりなんだろうか。

 尻尾で振り払う程ではないんだが、やたらと鬱陶しい。

 ――頭に少し痛みを感じ、逃げるように相棒へと視線を移す。


「――調査の為、立ち入りを――」


「理由は理解――管理区域の為――」


「であれば、こちらで――」


 どうやら、ギルドの受付――いや、多少偉い奴に代わったか?

 とにかくそいつと交渉を続けている。

 かれこれ15分ほどだろうか。サギリの奴は待ちきれずどこかに行ってしまったが――俺も行けばよかったな。


『――にしても入山許可とか。面倒くせー話だな』


「仕方ないんですよ。マーロウさん」


 思わずこぼした呟きが聞こえたのか。

 同じく相棒の方を見ていたユニィが、こちらを振り向き答える。

 ――と同時に目を丸くした。


「――って、何してるんですか? えーと――」


「アールだよ、騎竜っ子ちゃん。久しぶりだな」


「ユニィです――じゃなくて。それよりその(ひと)、リーフェじゃないので止めてもらえますか?」


「――そうなのか?」


 ようやく背中の手が止まる。

 少し気になる言い方だが――鬱陶しい動きが無くなったので、まぁ良いだろう。


「話は通してきたぞ」


 そんな話をしている間に、相棒も戻って来た。

 後ろに見知らぬ黒髪の青年と金髪の少年を連れているが――あれだけ長々とやっていたのだ。

 恐らく、お目付け役という奴が付いたんだろう。

 そう思っていると、後ろの二人が頭を下げた。


「皆様、私はマルクと申します。今回の調査に同行させて頂くこととなりました。事情は既に伺っています」

「バーツです。よろしくお願いします。――ほらっ。アールも行くよー」


 ――しかも。

 どうやら、このなれなれしい少年も同行するらしい。


「お。そうなのか? そりゃちょうどいいな――なぁ、バーツ。あの時の騎竜っ子ちゃんだぜ!」


「あっ、ほんとだ。えーと――確かユニィさんだったよね。お久しぶりです」


「――お前。いつもと何か違くね?」


 何だか賑やかな奴らだな――と考えたところで首を振る。

 いや――リーフェが居れば、俺達もこんなものか。


 騒ぐ少年達を眺める。

 しばらく眺めて――そろそろサギリを呼び戻そうかと考えていると。

 相棒と青年の話す声が聞こえてきた。


「――なるほど。それで入山規制が厳しくなったというわけですか」


「はい。ようやく薬草が増加に転じたというのに――嘆かわしい話ですよ」


「つまり――護衛も兼ねていると」


「――そういうことです」


 真剣な目で言葉を交わす二人。


 ――どうやら。

 ユニィの言っていた「仕方ない」という言葉。

 その言葉は真実の様だ。

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