252.計画と現実
「無理だな」
しばらく祭壇を視ていた相棒が、こちらへと振り返る。
『やっぱりお前もそう思うか? この遺跡は――既に稼働中だろ?』
「ああ。その上、私達には止め方が分からない」
俺と相棒は顔を見合わせ――お互いの考えが一致していることを確認した。
――参ったな。
正直、これは想定外だ。
俺達は――この場所で、遺跡を起動させることばかり考えていた。
当然、勝算はあった。
それがユニィの存在だ。
リーフェの話では、遺跡のそばに近寄る度に悪寒を感じて体調を崩し――その度に当該の遺跡では何らかの騒ぎが起きていたそうだ。
リーフェの奴はあまり気にしていなかったようだが――これはつまり。
ユニィが居れば、起動の為に遺跡毎の「鍵」を用意することなく、どんな遺跡でも強制的に起動させることができるということだ。
――そう。
そしてこの遺跡は、リーフェの術と同様に空間を繋ぐものである可能性が高かった。
つまり俺達の計画は、ユニィがこの遺跡を訪れることで遺跡を起動させ、空間を繋ぐ「門」を開く――そういう計画だったのだ。
だが――遺跡は既に稼働中だった。
そして、やはりこの遺跡は空間を繋ぐ機能を持つ遺跡だった。
ここだけ聞くと手間が省けただけに聞こえるかもしれない。
だが、当然そんな上手い話があるわけがない。
問題はこの遺跡の門――今現在、祭壇上で水を噴き上げているその門が繋がる先だ。
相棒とふたりで何とか門を潜れないか試しているのだが――上手く行く気配がない。
水の勢いが強すぎて、そのままでは門を潜ることができないのだ。
かと言って、一度停止させようと遺跡を調べてもその方法が分からない。
相棒の言葉通り「無理」だった。
そうだな。あと何かできるとしたら――俺は周囲を見渡す。
サギリの奴は早々に諦めて、その辺で寝そべっている
ユニィもしばらく奮闘していたが、今は諦めてその傍に座っている。
だが――あいつはどこだ?
あいつの術であれば、噴出する水の勢いを無視することができるかもしれないんだが――
俺はもう一度、周囲を見回してみる。
だが、やはり。
この遺跡を見つけた後ぐらいから、その姿が見えない。
『ヴォイド』の術が解除されないところを見ると、すぐ近くには居るはずなんだがな。
――仕方ない。
ユニィに頼んで、まずはあいつを探してもらうとするか。
そう考えた時だった。
『あー。やっぱ格別に旨ぇな』
背後から聞こえた声に――思わず尻尾を叩きつけたくなった。




