表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
263/308

251.海底に見えたもの

 深く。深く。

 徐々に水面より届く光が衰え、闇がその色を濃くしてゆく。


 船員達も二度目ともなると慣れたもので、潜り始めこそ軽く騒いでいたものの。

 先日と同じ術と分かるや否や、暗闇に備えてかがり火に火を灯す余裕を見せ、今は皆完全に落ち着いた様子で周囲を警戒している。


『なあ。喪失感とか感じないか?』


『――は? 何言ってんのよ。意味が分からないんだけど』


 相変わらずの口の悪さだが――どうやら、今回は本当に意味が分かっていないようだ。

 ――()()()じゃ通じないのか?


『術を使うときに冷たく感じるだろ? アレだよアレ。『力』を一点に集める過程で、感じる感覚だよ』


 正確には『力』を集約した結果、『力』の失われた部位で感じる感覚なんだが――そんなことを言うと、余計に混乱しそうなので黙っておく。


『――お前にもユニィの感情が伝わってくるんだろ?』


『当然よ――ああ。そういうことね』


 どうやら――ようやく俺の言いたいことを理解してくれたようだ。

 俺の推定が正しければ、遺跡に近付けばユニィの――


『痛ってぇな。何しやがんだ!』


『何してんのはこっちのセリフよ。ユニィを、そんな遺跡捜索の道具みたいに扱ってんじゃないわよ!』


 ――ん? サギリの言葉に、何やら今の話が誤解されている事を理解した。

 ここは、誤解を解いておく必要があるだろう。


『そいつは誤解だぞ』


 ゆっくりと。

 分かりやすく、聞き取りやすく語る。


『遺跡()()じゃない。遺跡の万能鍵(マスターキー)として扱って――』


 ――――なぜか、甲板の端から端まで吹っ飛ばされた。解せない。




『海底に着いたぞ』


 トリサンの声に我に返る。

 どうやら、一瞬記憶が飛んでいたらしい。


 とっさにユニィに目をやるが――これと言って変わった様子は見られない。

 ユニィのそばに付いていた相棒にも目をやったが、首を左右に振って返された。

 ――恐らく遺跡からは離れているのだろう。


 少し拍子抜け感を感じながら、船の外側の景色を見渡して――俺は一つの間違いに気付いた。

 周囲に広がる石群と、目前で光を放ちながら水を噴き上げる祭壇。その光景を目の当たりにして。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ