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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
262/308

250.優先すべきこと

まだしばらく短めとなります。

 その場所は――静かな場所だった。


 風は止み、うねりも細波もなく。

 音を立てているのは俺達だけ。


 ――そう。

 不自然なまでに凪いだ場所。

 それが例の地図の指し示していた場所。

 西の海の海底遺跡。


 船の上からぐるりと周囲を見回してみたが、目印になりそうな物さえない。

 一体、どうやってこの場所を探し出して地図に記すことができたのか。

 気になるところだが――今は他に優先すべきことがある。

 俺は首を振り、次々に湧き上がる興味を振り払った。


「何か感じるかい?」


「いいえ。何も」


 相棒とユニィの会話を聞きながら、こちらでも話を進める。


『おい。トリ何とか』


『いい加減に覚えろよ。トリ()だよ。トリ()。まぁトリムさんと呼べよ』


 ――ああ。そう言えばそんな名前だったな。


『そうか。しゃーないな。例の『ヴォイド』とかいう術を使ってくれ、トリサン』


『――お前。わざとだろ』


 ――何だ違うのか?

 すまんが、この頭。

 興味のない(つまらない)事は最低限しか覚えようとしないんだ。

 それよりも――


『つまらない事は、とりあえず置いておいて――だ』


『おい――』


 トリサンが何か言い掛けたが、つまらなそうなので無視して話を続ける。


『術を使ったら、海底まで潜ってくれトリサン。ああ、そうだ。この辺りは水深何mだ?』


『深さ120~150mってところだな。周りと比べると少し浅く――いや、言っても意味ないな。お前人の話聞いてないんだろ? どうせ』


 そうか100mは超えているのか――遺跡がユニィのスキルに反応しない理由は、水深かもしれねーな。

 距離が離れるからなのか、間に水があるからなのか。それとも両方か。

 そいつは分からないが――少なくとも、近付いていけば何等かの変化が起こるだろう。


 ということで。

 さぁ、早く術を起動してくれ。トリサン――


 ――――ん?


『おい。早く『ヴォイド』の術を使えっつっただろ? それとももう疲れたのか?』


『――――わーったよ。面倒くせぇけど、ここまで来たらやらざるを得ねぇしな。行くぞ『ヴォイド』』


 ――ようやく使ったか。ワガママばかりで本当に困った奴だ。


 術が起動してから。

 さほどの時間を置かず、船が空気の球体を纏って再びゆっくりと沈み始める。


 ――そういや、今から潜ること言ってなかった気がするな。まぁ、仕方ないが。


 俺は、再び首を振って不要な思考を振り払うと。

 ユニィの様子に変化が無いか観察しながら、海底に辿り着くその時を待っていた。


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