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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
26/308

25.検証の結果は

ユニィ視点は今回までです。

「テレポート!」

『次元刃! 次元爪! 次元牙!』


「クイックタイム!」

『時空断裂!』


「えーと次は――キッチンタイマー? 何これ?」


『ユニィ! ダメだよそんな中途半端な気持ちじゃ! スキルの発動には強い想いが必要なんだから!』


 リーフェの激しい檄が飛ぶ。だけど――


「ねぇ、リーフェ。あとどのくらいあるの」


『うーん。もう少しかな? マーロウ! 残りはどれだけ?』


 向こうの木陰で本――書庫から借りてきた(勝手に持ってきた)珍しい本らしい――を読んでいたマーロウさんが返事をする。

 ちなみに、サギリさんは時間が掛かりそうだということで、『終わったら呼んでよね!』と言って、検証が始まって早々に走りに行ってしまった。


『ん? ――ああ。あと12、3ってとこだな』


 ――ああ。ようやく終わりが見えてきた!


「キッチンタイマー!」



 私達は、当時の長老の記した(記憶)に基づいた『キーワード』候補を検証している。

 検証としては、単純に作ったリストの上から順番に、()()()()()()()()()()()()()『キーワード』候補を念じたり、叫んでいるだけなんだけど、これが中々難しかった。

 元々、伝聞による情報のため記述が曖昧な上に、技や術の名称も殆どわからない。それに、技や術の名称がわかるものについても、その名称が『キーワード』とは限らない。そのため、100以上の『キーワード』候補をリーフェと一緒にそれぞれ試すことになった。

 でも、結局――


『――全滅かぁ』


 リーフェが呟く。心なしか、少し元気がない。


 ――うん。やっぱりそう甘くはないよね。


 途中何個かいけそうな気がしたんだけど――『キーワード』を念じても叫んでも何の反応もない。

 ただの気のせいなのか、『キーワード』が間違っているのか、それとも何かが不足しているのか――絶対いけると思ったんだけどな『キッチンタイマー』。


 そんな私達にマーロウさんが声を掛けてくる。


『あー。まぁ気落ちすんなよ。もしかしたら、進化を重ねないと使えないのかもしれねぇし』


「――ありがとうございます。そうですよね。今は使えなくてもいつかは――ですよね」


 私は決意を新たにする。――待っててね。『キッチンタイマー』!




 ――あ。それと、サギリさんは私達が『キーワード』候補の検証を終わった5分後に戻ってきた。

 その時リーフェに対して、『さすが』とか『うっかり』とか言ってるみたいだったけど――あの二竜(ふたり)、リーフェが『宿敵だ』とか言ってる割には、すっごく仲良さそうだよね。


 ――――――


『それじゃあ次は、今使える術の検証だな』

『リーフェ。あなた今まで一竜(ひとり)でスキル検証してたんでしょ? その結果を共有してよ』


『――うん。それじゃあ今まで分かっていることを僕から説明するよ』


 リーフェがこれまで『ポケット』について、スキル検証した結果をみんなと共有する。

 収納という基本効果。発動範囲に収納できるものの大きさ。個数。そして収納できないもの。

 あとは、収納したものは状態を維持して時間経過しないこと。そして、私とリーフェで『ポケット』の中身は共有されること。


 これらの結果について、四()()で再検証する。


 入れるものを変えながら、私とリーフェで『ポケット』を使う。

 さっきと同じ単純作業に思えるけど、私はこっちの検証の方が好きかな?

 だって、実際にスキルが発動する方が良いもの。



 そうやって検証した結果、新たに分かった特性が一つあった。

 それは、収納したものは『収納した時の状態を全て維持できる』ということ。つまり、熱いとか冷たいとかだけじゃなくて、スピードとかも維持できちゃうみたい。

 落ちてくる石を収納した後に取り出したら、そのままのスピードで地面に落ちてった。

 ――何だか怪我しそうなので、ものを出すときは気を付けよっと。


 そしてもう一つ、『ポケット』の使い方についてみんなで知恵を出し合った結果――この術の特性を生かして、熱いものや冷たいもの、傷みやすいものの「保存」とか、私とリーフェの間での小さなものの「転送」に使うのが良いんじゃないかという話になった。

 特に「転送」については、手紙を転送すれば情報のやり取りもできるし、もしかして凄く使えるかも?

 お手伝いの予定とか、特訓の予定とか、遊ぶ予定とか。

 急な変更でも対応できるようになるよね!


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