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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
255/308

243.結論

『――という訳だ』


 結論を述べた後、皆の顔を見る。

 顎に手を当て、何かを考えている相棒。

 目を細めるサギリ。

 目を大きく開くユニィ。


「つまり――天候を操る嵐術、または全ての『力』を減衰する死術。そのどちらかを使うことができるひとや物を探せば良いんですね」


『そういうことだ。できれば両方揃えたいところだな』


 頷きを返す。

 結局のところ、可能性が低くとも其々の使い手を探すことに落ち着いた。非効率的なのかもしれないが、見付からなかったとしても実際のリスクは低い。


 俺の言葉に、承知したと言わんばかりにユニィが頷いて――その姿を見て俺は思い出した。

 左前脚を差し出す。


『ああ、そういえば。お前達も金を出してくれ。あいつ(リーフェ)の分も入れて金貨6枚な』


 ――――ん?


 途端。

 様子のおかしくなったユニィに、俺の動きも止まる。


 ――おいおいおいおい。

 まさか――一年以上働いて、それっぽっちも貯まってないのか?

 リーフェの奴はよく、小遣いをいっぱい貰えたとか言って喜んでたんだが――()()()()()()だったのか?


 ――ああ。心なしか今日は冷え込むな。

 俺は窓の外に視線を移した。

 そういえば、もう少しで冬がやってくるんだったか。


『ねえ』


 いつも通りに。

 そんな空気を無視するかのように声が響いた。


『嵐術って嵐を呼ぶ()()よね? 緑色の』


 ――――へぇ。


 驚いた。

 あれというのが何のことかはさっぱり分からないが――嵐術を起動する際の瞳は、確かに緑色だ。


 俺は視線をサギリに戻すと、軽く頷いてみせる。


『――ほらユニィ。この前も会ったあのおじいさん。確かあの時、雨雲を呼ぶ術を使ってたわよね』


「そういえば――」


 どうやら当てがあるようだ。

 ならばとばかりに俺は振り返る。


『なあ相棒。お前はあの鑑定屋のおっさんのとこに行って、宝物庫にあった「真竜族の鱗」を借りてきてくれないか?』


「ああ――あれだな。わかった。交渉してみよう」


 ――よし。

 これで何とか風の対処には目処は立ちそうだ。

 後は――船長を初めとする、船員達の説得だな。


 難しい話ではあるが、結局金はないんだ。実際に術を使って見せて、説得するしかないだろう。


 再びユニィ達へと顔を向けた。


『そういうことだからな。お前達はそのじいさんとやらを連れてきてくれ』

『嫌よ』


 ――――はぁ?


 ノータイムで返ってきた訳の分からない(面白い)返答に、思わず口許が緩みかけたが――ぎゅっと締め直し、問う。


『何故だ?』


『連れてくるということは――一旦、都市(まち)の外に出るんでしょう?』


 そのじいさんがどこに居るのかは知らないが、この都市の住人じゃないということだろう。

 それを踏まえて、俺は頷いた。


『またあの行列に並べるわけないでしょ! 私はもう嫌なんだから。――――そうだわ! あいつよ、あいつ。あいつなら門を通る必要もないじゃない!』


「サギリ!」


 ユニィの制止も聞かず、飛び出していくサギリ。


 ――まあ、サギリが暴走するのはいつものことだ。

 普段なら放っておいても問題は無いんだが――今は時間が勿体ない。


 俺は、サギリを追って外に出た。

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