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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
250/308

238.宝物庫

今回諸事情により少し短めです。

「――素晴らしい!」


 決して狭くはない――いやむしろ広すぎる宝物庫に、感嘆の声が響く。


「それでは、次はこれを()()くれないか?」


「ええ、もちろん。――それにしても。このような貴重な遺物を()()()()頂き、本当にありがとうございます」


「『慧眼』の持ち主が何をいまさら。私がこれらを蒐集しているのは、新たな知識を蓄える為。このまま宝物庫(ここ)に置いておいても、無用の長物。所詮、私のスキルだけでは限られた情報しか得ることができないのだよ。分かったかな? 分かったのであれば、さあ――さあ!」


 不自然に手足の細長いおっさんが、相棒に黒い石の嵌ったペンダントを差し出している。

 何か曰くのあるペンダントらしいが――

 まぁ、触れずに視るだけなら大丈夫だろう。


 それよりも――と、俺は脇の棚へと視線を向ける。

 おっさんは契約者じゃないので、脚竜族の声は聞き取れない。

 一緒に来てはみたものの、俺の出番はないはずだ。この機会に自由に視させてもらおう。


『インスペクト』


 棚には比較的小さな物が整然と並べられている。

 これらにどれほどの価値(情報量)があるのか。

 そう思って、ひとまずは()()始めたんだが――視れば視るほど中々に興味深い。

 流石は鑑定屋所蔵の品というところだろうか。


 精錬から2000年以上経過し、刃の朽ちた銅剣。

 『力』が(うわぐすり)と共に焼きこめられた、200年前の陶器の壺。

 レンズの表面に光術の残滓を感じる、1200年ほど前の単眼鏡。

 死の力を宿す、希少な真竜族の鱗。


 目に映る範囲の情報だけでも、その処理で脳が焼き切れそうに痛む程だ。

 だが、せっかくの機会を失う訳にはいかない――



「――おい。戻るぞ」


 相棒の声が掛かる。

 ――その瞬間。

 俺は自分が意識を失っていたことに気付いた。


 ――いつのまに? どのくらいの時間、気を失ってた?


 混乱する俺を他所に、相棒の言葉は続く。


「いつもの調子で没頭し過ぎたんだな。――ここには特殊な品物が多すぎる」


 ――その通りではあるが、それにしても気を失うというのは異常事態だ。

 それだけの力を秘めた物があったのだろうか?


 気に掛かる。


 気に掛かる。


 その()()が気に掛かる。


 俺は――目を瞑ると『リコール』の術を起動した。


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