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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
246/308

234.水球の主

『断る』


 海竜族の老竜(ろうじん)――いや。

 クソじじいの言葉が耳に粘つくように残る。


「しかし――あなた方の協力無くしては――」


『くどい。我等が隣人の頼みならともかく。人族の――それも脚竜族を救う為の協力の依頼等、受けるはずもない』


 相棒が交渉を進めているが、この態度。

 全くもって、取り付く島もない。


『おい――』


 これ以上続けても埒が明かないだろう。それに――

 俺は相棒に声を掛けた。



 ――――――


『無駄だ無駄。あの頭かってぇじじい。そんなんだから絶滅しそうになってんだよ』


『それは同感ね。ご老竜(ろうじん)は労わるものだけど――()()、一体何様のつもりなのかしら。切り上げるのがあと10秒遅かったら小石を投げつけてたわね』


 ――そいつは分かってた。

 だからこそ、早々に説得を諦めたのだ。

 ここで関係をこじらせても、何の得にもならないからな。


 ただ――30cm角ぐらいの石を、気軽な感じで小石と言うのはどうかと思うが。


『でも――他に当てはあるのかしら? 海竜族に頼めないとなると――『スイマー』のクラス持ちを探すとか?』


 俺は、少し先を歩く相棒を見る。


『だな。それも候補の一つだが――まぁ、やりようはいくらでもあんだろ。『潜水』と『水術』のスキルを持つ人族を雇っても良いし、海竜族の集落だって他にもいくつかはあるしな。そもそも、水の中に潜らなくても良いかも知れねぇ。少なくとも――あのクソじじいに頭下げる必要はねぇな』


『ははっ。クソじじいか。そいつぁ最高だ』


 ――突然。

 側面から声がした。

 反射的に目を向ける。


 波間に浮かぶ長い首――海竜族の若い男竜(おとこ)だ。

 一体何の用かは分からないが、あまり関わり合いになりたくないタイプだな。

 俺達は無視して先に進む。


『おい、ちょっと待てよ。アレだろ? 海に潜れて水の扱いに長けてる奴を探してんだろ?』


 無視して先に進む。


『おい! 待てよ! この前も助けてやっただろ?』


 ――この前? 一体何のことだ?


 気にはなるが、無視しようとして――相棒達の足が止まっていることに気付いた。

 どうやら。

 このままこいつを無視してやり過ごすことは不可能なようだ。

 諦めて、話を聞くことにする。


『――で。この前って何のことだ? 俺はお前なんか知らねーんだが』


『おいおい。お前がデカい蟻に襲われた時に助けてやっただろ。ほら水球(ウォーターハンマー)で』


『蟻?』


 おい。

 それってもしかして――サギリの顔を見る。


『お? 思い出したか? 本当は見物するだけのつもりだったんだけどよ。お前、なんかヤバそうだったからな』


 リーフェから聞いた話には水球は出て来なかった気がするが――サギリの顔から察するに、こいつの話は概ね事実であるらしい。

 ――だがな。


『そいつは俺じゃない。俺の親友のリーフェ――そいつを今から探しに行くんだよ』


 これだけは訂正させてもらおう。

 俺はあんなに訳が分からなく(面白く)はない。

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