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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
238/308

226.2冊目

文章が分かりにくい部分を修正しました。

 情報の整理を終え、体を起こす。


 机上を見ると、相棒の前に1冊の本が置かれている。

 ――どうやら。

 既に1冊目を読み終え、俺を待たずに2冊目に移ったようだ。


 仕方がないと。

 俺は、相棒が先程まで読んでいた本を前脚で掴む。


 『門の遺跡と奇術師』


 表紙に書かれた題字をちらとだけ確認して。

 俺は本を床に置き――その表紙を開いた。



 ――――――


 《門の遺跡と奇術師》


 《魔人の到来。

  それは我等一族に「その時」を告げる。

  一族に代々伝わる伝承と等しく、此度も魔人は門を潜り現れた。


  長、魔人に向かいて問う。

  何故(なにゆえ)にこの地に現れたのかと。

  魔人、長に向かいて答える。

  為すべきことを為すためと。


  長、再び魔人に向かいて問う。

  為すべきこととは何事かと。

  魔人、長に向かいて答える。

  門を開き、力を巡らせ廻すが為すべきことと。


  その答えを聞きて、我等。

  魔人と共に歩むことを決意する。》


 冒頭からページを捲る前脚が止まる。

 勿論、期待するような情報があった訳ではない。

 むしろ。読む前に期待していたような「門の繋がる先」の情報は、この先を読んでも得られないだろう。

 だが――これは。


 俺の中で、音がする。


 初めは疎らに。

 やがて無視できなくなるほどに。

 そして今は雪崩れるように。


 認識が。

 崩れ去り――そしてまた新たに。

 そのまま俺はページを捲る。


 そこから先は、彼ら一族と魔人の旅が綴られていた。

 魔人の使う不可思議な術により、埋没した遺跡が発見され。

 魔人の持つ「()」により、遺跡がその息吹を取り戻し。

 魔人が取り戻した息吹が、その一族に富を齎した。


 やがて一族は村落を構え。

 村落は町となり――町は国となる。


 《我等。門たる遺跡の齎した息吹に酔う。

  豊穣なる実り。

  尽きせぬ水源。

  湧き出づるかのような色金(いろがね)

  酔いたる我等の目は曇る。


  ある日。

  王と成った長、魔人に問う。

  他に門たる遺跡は在るのかと。

  魔人、王に向かいて答える。

  既に開くべき門は無いと。


  王、重ねて問う。

  開かざるべき門は在るのかと。

  魔人、王に向かいてなお答えず。

  奇術の如く、黒き穴と共に瞬く間に消える。


  我等、酔いを知り醒める。

  魔人を探し、大陸を駆ける。海を渡る。

  しかし、何処(いずこ)にも魔人の姿はなく。

  奇術の如く、我等の前から姿を消した。》



 ――――――


 本を閉じる。


 ――分かった事を再び整理しよう。


 この本は、魔人が現れてから姿を消すまでの経緯が記されている。

 そしてその過程で、「鍵」を用いて多数の「門の遺跡」を起動したようだ。

 ここまでは――確定とみなしていいだろう。


 さらに。ここからは推定も混じるが――

 どうやら門の遺跡は俺が想像していたものと違って、転移の機能を持つものではないようだ。

 記述があったものだけでも、作物の実りや清浄な水の湧水、金属の生成等様々な効果を持っていたらしい。


 そして――本の中には明記されていない情報として。

 ――当時。

 魔人は今と異なり「忌避される存在」ではなかったようだ。

 少なくともこの本で言う「我等一族」にとっては、この魔人――奇術師は忌避すべき存在とは認識されていない。

 少し考えてみたが、その理由には歴史的な背景も影響しているのではないだろうか。

 この本が記されたのは1200年程前。当時は魔人に対して忌避感はなかったのだとしても不思議はない。

 魔人が一度世界を滅ぼしかけたのは、それよりも後の話だ。

 今現在、魔人が忌避される存在とされているのは――

 その時期に、それまでの魔人に関する友好的な記録が、全て破棄・ないしは封印されたからかもしれない。



 ――それにしても。


 俺は立ち上がり、机上に先程置いた1冊目に読んだ本を見る。

 どうやら、この二つの本には――特に奇術師の去り際において、矛盾があるようだ。


 どちらの本でも最終的に奇術師は人々の前から姿を消すのだが、その姿の消し方が大きく異なっている。

 1冊目の本では、旅の果てに遺跡の中に消え。

 2冊目の本では、逃げるかのように王の前から姿を消している。

 だが――この矛盾については情報が少なすぎる為、どちらが真実か判別することができない。

 気になるところではあるが、今は考えるだけ無駄だろう。

 俺は首を左右に振り、思考を切り替えた。



 ――残るは3冊目。どんな情報が得られるのか。

 それを持つ、相棒の手元に視線を送った。


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